【シナリオ執筆】新クトゥルフ神話TRPGの新要素を取り入れたシナリオを作ろう。
はじめに
『クトゥルフ神話TRPG シナリオコンテスト2023』の応募期間が発表されました。『シナリオコンテスト2022』は総応募数が133作品あり、Role & Rollでシナリオコンテストを行っていた2021年以前と比べて2倍以上の応募がありました。
『シナリオコンテスト2023』も盛り上がることでしょうし、これを気に新クトゥルフ神話TRPGでのシナリオ執筆にチャレンジする人もいるはずです。
この記事では、新クトゥルフ神話TRPGの新要素を取り入れたシナリオ執筆の方法を載せていきます。
なにかひとつでもお役に立てることがあれば幸いです。
バックストーリーを取り入れる
新クトゥルフ神話TRPGの探索者作成では、バックストーリーという、探索者の背景を記載する要素が増えました。バックストーリーをシナリオで組み込むことにより、探索者がシナリオに関わる動機付けにもなります。
例えば、シナリオでバックストーリーの「重要な人々」にNPCに関するエピソードを記載することを推奨すると、探索者がNPCと関わる動機付けができます。また、キーパーは探索者のバックストーリーをもとに、ロールプレイに味付けができます。
ほかには、”新クトゥルフ神話TRPG ルールブック”175ページの「信じる人になる」を取り入れると、探索者のロールプレイが面白くなるでしょう。
例えば、シナリオ内で魔導書から呪文を習得するというシチュエーションがあるとします。そのとき、バックストーリーの「イデオロギー/信念」にオカルトを信じているか、信じていないかを記載していると、探索者のロールプレイが面白くなります。オカルトを信じる人なら、すんなりと呪文の習得を試みるでしょうが、信じない人は自分の「イデオロギー/信念」に従って魔導書の内容を信じないというロールプレイもできますし、「イデオロギー/信念」を曲げて、魔導書の内容を信じ、呪文の習得を試みるというロールプレイもできます。
バックストーリーをシナリオに取り入れると、ロールプレイが盛り上がることでしょう。
ボーナス・ダイスとペナルティー・ダイスを採用する
新クトゥルフ神話TRPGでは、「ボーナス・ダイス」と「ペナルティー・ダイス」という、新しいダイス・ロールの修正方法があります。このボーナス・ダイスとペナルティー・ダイスは、無理なく採用できる新要素です。旧版のシナリオ内でダイス・ロールにプラス・マイナス修正をかけていた部分をボーナス・ダイス、ペナルティー・ダイスに変換するだけでも構いません。
例えば、旧版で「悪路を自動車で走行中なので〈運転(自動車)〉を-20%でロールする」と処理していたところを新クトゥルフ神話TRPGでは「〈運転(自動車)〉をペナルティー・ダイスを1つ受け取ってロールする」と処理を変換すればいいです。
戦闘を調整する
新クトゥルフ神話TRPGの戦闘は、旧版から大きく変わりました。旧版と比べて工夫がしやすく、探索者・敵問わず火力が上がりました。新クトゥルフ神話TRPGにあわせて、戦闘のデータを調整するといいでしょう。
新クトゥルフ神話TRPGで、攻撃ロールの際にイクストリームが出ると、ダメージが最大値になることは注意が必要です。探索者をあっさりとロストさせたくないシナリオ作者は、何らかの工夫をしましょう。
新しく戦闘マヌーバーという、あらゆる近接武器で旧版の〈組み付き〉に近いことができるようになりました。旧版と比べて敵の無力化はやりやすくなっています。
“新クトゥルフ神話TRPG ルールブック”120ページの「表3:ほかの形態とダメージ」には、落下・炎上・車との衝突など、さまざまなシチュエーションのダメージがまとめてあります。ギミックを用いたダメージの参考になることでしょう。
戦闘の仕様が変わり、意識することは増えましたが、新クトゥルフ神話TRPGの戦闘はしっかり調整すれば、スリリングで楽しいものになります。
チェイスの採用を検討する
新クトゥルフ神話TRPGでは、「チェイス」という、新要素が増えました。クリーチャーからの逃走、謎の組織を追うためのカーチェイスなど、あらゆる「追いかけっこ」を楽しめます。
上記のようなシチュエーションをシナリオに取り入れる場合、チェイスの採用を検討しましょう。
しかし、チェイスはルールが複雑で、プレイヤーに説明を挟む必要があるので、チェイスを採用せずに、「追いかけっこ」の処理を簡易的に済ませるのもいいでしょう。
チェイスは、上手く調整して取り入れると盛り上がります。
狂気の扱いを工夫する
新クトゥルフ神話TRPGでは、狂気の処理に新しい要素が増え、狂気の表現の幅が広がりました。
「狂気の発作(サマリー)」という新要素では、その場にいる全探索者が狂気に陥った場合、時間を進め狂気から覚めて恐ろしいことが起こった後からシナリオ進めるという処理ができます。シナリオに「狂気の発作(サマリー)」になった場合の処理を記載しておくと、シナリオの恐怖感を深掘りできるでしょう。
狂気の副次効果として、「恐怖症とマニア」が増えました。特定の条件で狂気に陥った場合、探索者に特定の「恐怖症とマニア」を指定するのも面白いでしょう。
例えば、食屍鬼が潜む地下の洞窟で狂気に陥った場合、「閉所恐怖症」など、適切なものを指定するといいでしょう。
また、探索者が狂気的な状況に陥った場合、「バックストーリーをけがす」ことをシナリオで記載するのもいいでしょう。
例えば、探索者がクトゥルフが発するテレパシーによって狂気に陥った場合、バックストーリーの「意味のある場所」に「夢で見る深海。大いなる存在が自分を導いてくれる」とけがすように指定すると、狂気の印象付けにもなっていいでしょう。
新クトゥルフ神話TRPGでは、狂気を工夫し、探索者に植え付けることができます。
呪文の扱いを吟味する
新クトゥルフ神話TRPGの呪文は、より恐ろしいものになりました。一部の呪文は即座に使えるようになり、敵の魔術師や狂信者に習得させると、とんでもないことになります。敵が呪文をどう扱うのかはシナリオで記載があると丁寧でしょう。
また、探索者が呪文を扱う場合、“新クトゥルフ神話TRPG ルールブック”174ページ「キャスティング・ロール」を採用するか、検討しましょう。
「キャスティング・ロール」は初めて使う呪文が正しく行使できるかを判定するためのロールです。これがあると、呪文の恐ろしさやダイス・ロールのドキドキ感を味わえる反面、呪文が扱いにくいものになります。
シナリオの方向性やゲームバランスに合わせて、呪文をどう扱うかはしっかり吟味しましょう。
年少探索者でシナリオを執筆する
探索者を小・中学生にするなら、“新クトゥルフ神話TRPG クトゥルフ2020”「年少探索者の創造とプレイ」のルールを用いてシナリオを執筆しましょう。
「年少探索者の特性」や「お手伝い」など、通常の探索者にはない強みや、面白い要素が詰まっています。
年少探索者を取り入れると、おのずと新クトゥルフ神話TRPGでシナリオを執筆する理由が生まれます。
おわりに
新クトゥルフ神話TRPGでは、新要素がたくさんあります。上記の要素をすべて無理に取り入れる必要はありません。
能力値や技能を転換し、ボーナス・ダイス、ペナルティー・ダイスを採用し、戦闘を少し調整するだけでも、立派な新クトゥルフ神話TRPGのシナリオです。
みなさまが少しでも新クトゥルフ神話TRPGのシナリオ執筆にチャレンジしたいと思えると幸いです。