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CoCの推奨技能はなくてもいい

はじめに

 クトゥルフ神話TRPGにおける推奨技能。それは一部のプレイ・グループでは欠かせない存在で、同人シナリオのトレーラーに記載されていることもあります。
 しかし、筆者はクトゥルフ神話TRPGの推奨技能はなくてもいいと感じています。
 この記事では筆者が推奨技能をなくすメリット、および推奨技能の取り扱いについて語ります。この記事はあくまで筆者個人の意見です。ご了承ください。

推奨技能の認識が人によってちがう

 そもそも、「私の考える推奨技能」の定義や認識は、人によって異なります。
「推奨技能は、あくまで”推奨”だから、取得すると楽しめる」と認識する人もいれば、「推奨技能を取らないと、探索者のロストに直結するレベル」と認識するひともいます。
 
上記のように、推奨技能にどれくらいポイントを割り振ればいいのか、推奨技能がどの程度の扱いなのかは、人によって異なります。
「推奨技能」という言葉だけでは、キーパーとプレイヤーによる、技能値のすり合わせは行えません。

シナリオのトーンをしっかり伝えればいい

 推奨技能がなくても、シナリオのトーン(雰囲気)をしっかり伝えれば、シナリオに沿った探索者を創れます。
「雪山で怪物に襲われる、極限状態のパニックホラー」と伝えれば、〈サバイバル〉、〈登攀〉、〈ナビゲート〉など、アクションや生存のために有用な技能を取ってもらえます。「夏祭りで出会った少女との、心温まる物語」と伝えれば、〈芸術/製作〉、対人関係技能など、ロールプレイやコミュニケーションが盛りあがる技能を取ってもらえます。
 シナリオがどのような雰囲気で、どういった探索者で来てほしいのか伝えると、プレイヤーもキーパーも齟齬がなく楽しく遊べます。

解決方法はたくさんある

 クトゥルフ神話TRPGの情報収集や難所の突破する方法は、いくつもあります。探索者のアプローチによって、活躍する技能は異なります。
 カルティストがアジトがあり、そこは3mの塀で囲まれ、入口には数人の警備員がいて、探索者がアジトの中に侵入するというシーンがあるとします。ここで、アジトに潜入する場合、複数のアプローチが考えられます。
〈登攀〉で塀をよじ登る、対人関係技能で警備員を懐柔する、〈隠密〉でこっそり忍び込むなどの手段があります。場合によっては、戦闘で解決することも可能でしょう。
 上記のように、探索者の技能によって有用な解決方法は異なるので、推奨技能を無理に設定する必要はありません。
 推奨技能を設定すると、プレイヤーの思考が「推奨技能に〇〇が設定されているから、こうすればいいだろう」とメタ的な発想になってしまう恐れがあります。

それでも推奨技能を設定したいあなたへ

「筆者の言いたいことは分かった。それでも推奨技能を設定すべきだ」と主張する人もいるでしょう。筆者はその考えも尊重します。
 プレイヤーとキーパーが気持ち良く遊ぶために、どのように推奨技能を提示すれば良いのか、いくつか案を出します。

まずは、シナリオのトーンをしっかり伝える

シナリオのトーンをしっかり伝えたうえで、具体的にどのような技能を推奨するのか伝えると良いです。
「このシナリオは、雪山で怪物に襲われる、極限状態のパニックホラーです。〈戦闘技能〉が高いほど、生存率が上がります。探索中で〈サバイバル〉や〈登攀〉があれば、特定の情報が入手できます」と話せば、シナリオのトーンとプレイヤーに取得してほしい技能が伝わります。

なぜ技能を推奨しているのか伝える 

 キーパーがなぜ特定の技能を推奨しているのか、具体的な数値を踏まえて伝えると、推奨技能の認識をすり合わせられます。
「このシナリオは、夏祭りで出会った少女との、心温まる物語です。少女と遊ぶために任意の〈芸術/製作〉は75%以上取得してください。〈心理学〉があると、フレーバーとして楽しめます。〈回避〉はシナリオの生存率に大きく関わります。具体的には50%以上ほしいです。」というように、数値を添えて具体的に話せば、プレイヤーは技能の役割や重みが理解できます。

キーパーが探索者の技能割り振りをサポートする

 上記の方法は、シナリオのネタバレにもなり得るので、苦手な人がいるでしょう。
 ネタバレを程よく避けつつ、キーパーが推奨する技能を振ってほしい場合は、キーパーがプレイヤーと相談して技能ポイントを割り振ると良いでしょう。
 相談する時間がないなら、キーパーがある程度技能を割り振った探索者や、プレロールド探索者(能力が割り振ってある探索者)を渡すこともありでしょう。
 こちらで技能を決めてしまえば、ネタバレを避けつつ、技能の成功・失敗のバランスを整えやすくなります。

おわりに

 推奨技能の取り扱いは難しいと感じます。推奨技能を提示すると、プレイヤーをコントロールしているような気持ちになりますし、自由度が減ってしまいます。
 筆者はプレイヤーの試行錯誤する楽しみや、探索者の特技に合わせた自由な発想を尊重したいので、推奨技能は設定していません。
 推奨技能を使いたいかたは、用法用量を守って楽しめるように推奨技能を提示してください。
 興味があれば、推奨技能を設定しないセッションを行ってみてくださいね。

 私が公開する年少探索者シナリオは、推奨技能がなく、発想次第で様々な技能が活躍します。ぜひともプレイしてください。

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