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CoCでは、キーパーからちゃんと技能を提示しよう!


はじめに

 (新)クトゥルフ神話TRPGでは、キーパーからちゃんと技能を提示しましょう。
「なんでだ! プレイヤーから技能を提示してもらったほうが、自由度が出るし、意思を尊重しているじゃないか!」と言う人がいるかも知れません。
 この記事では、キーパーから技能を提示することによるメリットと、プレイヤーから技能を提示してもらうことについて、書き連ねます。
 これは、あくまで筆者の意見です。特定のセッション・キーパーリングを批判する意図はありません。なにか参考になる部分があれば、幸いです。

キーパーから技能を提示するほうが、プレイヤーに優しい

 キーパーから技能を提示すると、プレイヤーはダイスロールが必要なほど難易度が高いことと、ノーロールでできることの境界線が明確になります。

 例えば、シナリオでキーパーが「銀色にきらめくペンダントがある。それには、蛇のようにとぐろを巻く龍の意匠が施されている」と描写したとします。
 ここでキーパーが「プレイヤーが技能を振れば、判明することがあります」とだけ言うと、プレイヤーは「え? どんな技能が使えるの?」と混乱したり、技能名を挙げまくる大喜利大会になって、無駄に時間を浪費します。
 ここでキーパーが「〈鑑定〉か〈芸術/製作(アクセサリー)〉に成功すれば、ペンダントの材質について詳しいことが、〈人類学〉か〈歴史〉に成功すれば、意匠について詳しいことが判明します」と言うと、プレイヤーはどの技能でなにが判明するのか明確にわかります。
 プレイヤーが「ペンダントを触ってみます」という宣言があれば、ノーロールで「ペンダントはかたいです」と簡単にわかることはどんどん伝えましょう。

 技能を提示することで、プレイヤーはどんな技能を振ればいいのか、明確に理解できます。

キーパーから技能を提示するのは、プレイヤーを縛りたいわけじゃない

「さっきの例を聞いている限り、キーパーがプレイヤーをシナリオになぞらせているだけじゃないか! 技能が大喜利になっても楽しければいいじゃないか!」と感じる人もいます。
 キーパーから技能を提示することで、プレイヤーを縛りたいわけではありません。プレイヤーは状況に対してやりたいことを宣言していけば楽しいセッションになります。

 例えば、「NPCの部屋に入りたいけど、部屋の扉に鍵が掛かっている。NPCは腰に鍵をぶら下げている、話し好きでスイーツが好きな女の子」という状況があったとします。
 こういった状況で、「NPCに〈手さばき〉をして鍵を奪いたいです!」という宣言でも、意図はまあ伝わるのですが、少し物足りなさを感じます。
「わたしはNPCから隙をついて鍵を奪いたいです!」、「じゃあ、自分はNPCと一緒にスイーツを食べて気をそらそう」と技能の宣言だけではなく、やりたいことの宣言をしたほうが、没入感が上がりますし、提案もやりやすくなります。
 この提案を聞いたキーパーは、「NPCはスイーツが好きなので、隙を作れるでしょう。ボーナス・ダイスを1つ受け取って〈手さばき〉をしてください」と、ノーロールで優位を取れる要素と、ダイスロールが必要な要素を判断して宣言ができます。 

プレイヤーから技能を提示してもらうことの問題点

 プレイヤーから技能を提示してもらうことの問題点は以下の通りです。

  • ノーロールでわかる情報にまで、技能を宣言される可能性がある。

  • オブジェクトに毎回〈目星〉、NPCと会話するたびに〈心理学〉など、技能を連打されてテンポが悪くなる。

  • 心の〈鍵開け〉など、つまらないことを言い出して、場を白けさせるプレイヤーが現れる。

  • そもそも、どんな技能を宣言すればいいのかわからない。

プレイヤーから技能の提案を受けてもいい場面

 逆に、プレイヤーから技能の提案を受けてもいい場面とは、どんなときでしょうか?
 それは、「〈機械修理〉が高いので、バリゲートを強化してみます」、「〈隠密〉が得意なので、忍び込みたいです」と言ったように、「これが得意だから、こうしたい」とプレイヤーから意図と意思を示してくれるパターンです。
「得意な技能を活かしたい」と伝えてくれるプレイヤーに対しては、可能ならばその技能を振ってもらい、活躍の場を設けましょう。

 また、キーパーが提示した技能に対して、技能の代用を求めるのも場合によってはありです。
 キーパーが「動物の遺体があります。詳しい状況は〈科学(生物学か動物学)〉で判明します」と宣言したときに、プレイヤー「〈自然〉で判定できませんか?」と聞いてもいいでしょう。キーパーは、そのまま判定を認めてもいいし、〈自然〉のハード難易度を求めてもいいでしょう。

おわりに

 キーパーからちゃんと技能を提示すると、「シナリオ上の難所を伝え、プレイヤーがどんな手法で乗り越えるか」明確にできます。
 プレイヤーの提案を聞くことで柔軟性や自由度を設けられます。技能のダイスロールを毎回ガチャガチャと振らせるのではなく、ルールブックの技能のページに書いてあるとおり、「簡単なことはノーロール、難しいことにダイスロールを求める」といいでしょう。そうするとメリハリがつき、ダイスロールで一喜一憂できます。

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