脳動静脈奇形③
救急車、初体験。
てんかんの診断を受けて、薬を服用していても痺れは続いていました。そりゃそうです、結果的にてんかんではなかった訳です。
そして、学校に続いて家でも私は倒れることになります。
家で兄と大喧嘩をしている時でした。理由は覚えてないですけど、ワーワー言い合ってお互い興奮していました。手の痺れがきてはいたけど、目の前の憎き相手を罵倒することに意識がいっていました。そしてそのまま、バタッと倒れたようです。
しかも今回は、兄が言うには呼吸も止まっていたらしい。「妹を殺してしまった」と驚いた兄は仕事に行っていた母に連絡を入れ、救急車を呼ぶことに。そうこうしているうちに呼吸は戻っていて、救急隊員さんの呼びかけで意識も戻ったそうです。(この辺は私の記憶がだいぶ曖昧)
歩くことが出来たので、自力で救急車に乗り込み、先日検査を受けた病院に。そこでまた検査を受けますがやはり異常なし。発作が起きている時じゃないと脳波とかは異常が出ないみたい。
そして最後に受けたCTで私の病気が分かることになります。
まず母親が診察室に説明を聞きに行ったのですが、全然出てこない。廊下で待たされている私は「遅いなー、夕方から見たいテレビあるのになぁ。こんなにかかるんならビデオ予約しとけば良かったなー。」なんて考えながら廊下の椅子でぼーっとしていました。
夕方の総合病院は人が少なくて、薄暗くてとても静かでした。
告知、そして検査入院へ
しばらくすると、母が診察室のドアを開けました。出てくるのかな、と思ったら、真っ青な顔してる。
「綾ちゃん、入っていいよ。」
ん?説明終わったんじゃないの?まだ帰らないの??と思いつつ入って促されるままに椅子に座りました。
お医者さんが難しい顔してCT写真が貼ってあるを光るボードを指さします。
「これ、綾さんの頭の写真です。見てみて。ここ、わかるかな。」
見てびっくりしました。
私の脳の中に、ピンポン玉くらいの丸い影が写ってる。
もうね、素人目に見ても、ばっっちり写ってんの。
なにこれ、こんなわかりやすいことある??
「わかる、ここにね、ちょっと良くないものがあるんだよ」
いやいや、先生、これちょっとじゃなくない!?やばいやつじゃない?と動揺しながらも、まぁ、先生がそういうんなら?そうなの??と、混乱した頭でやっと出てきたのは、
「はい、見えますね・・・。」だけだった。
「一見するとビックリするけどね、多分腫瘍とかではないから。この出来てるところの周りの血管の形を見ると分かるんだけどね、脳動静脈奇形っていう病気。そのままにしてはおけない病気なので、色々検査をしたうえでどう治療するか考えましょう。今日は帰って準備してもらって、明日の午後から入院です。」
その他にも色々と話はされたんだけど、要約すると、私はだいぶラッキーだったらしい。
・うまれつきの病気。
・この病気が見つかるのは脳出血を起こしてからが多い。若くして未出血で見つかったのは珍しい。
・CTなので、輪切りで数枚写真を撮っているので小さい病巣だと写真の隙間になってしまい気づかれないこともある。しっかり写ってくれて良かった。(いや、引くくらい大きかったけどね)
・見つかったとしても、脳の奥の方だと治療が難しいが、私の場合はほぼ脳の表面に発生しているので治療をするにも良い場所にある。
・脳は場所によって司る場所が違う。目だったり、記憶だったり。私の場合はたまたま手足の動きの部分が病巣だったので見つかったのではないか。
こんなことを言われたような。
母は先天性の病気だって言われたのに、何か自分に原因があったんじゃないか、って悩んでた。幼少期に公園でほかの子が乗ってたブランコに側頭部をぶつけて転んだのが原因なんじゃないか、とか・・・。
後から聞いたら、私が検査入院してる間に書店の脳に関係する本を全部買ってきて、祖母と一緒に必死で読んだらしい。(26年前はネットがさほど普及しておらず、我が家にインターネットは無かった)
そんなこんなで、入院生活を送ることになりました。(続く)