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フランスから、食関連ニュース 2021.03.24

今週のひとこと

先週の金曜日から4週間、パリを含む16県において、新しい外出制限措置が施行されることになりました。生活必需品以外を扱う商店は閉鎖となり、緩やかなロックダウン下に置かれています。atelier DOMAも閉店ですが、Click & Collectによる販売、庖丁研ぎのサーヴィスは続けています。

パリの「とらや」さんの、関東風「長明寺」桜餅。緩やかなロックダウン中ですが、散歩は自由にできるので、公園の木々が花を咲かせて春がやってきたことを感じることができますが、その季節感を凝縮したような桜餅の佇まいに、悠久の静謐さをいただきました。季節感を表す和菓子の美しさには、日本の自然に対する畏敬の心が込められていると感じます。去年のロックダウンは5月から段階的に解除され、端午の節句は過ぎたものの、物販を始めた「とらや」さんでは柏餅を置いて喜ばれたと、パリ店のディレクター市原さん。季節はずれとなるかもしれぬ和菓子が、季節を取り戻してくれるという計らいに、ロックダウン後の心を癒してくれる味わいとなったのではないかと想像します。そんなことを考えながら、春の香を頬張りました。

桜餅としての歴史は関西の道明寺よりも関東の長明寺のほうが長いと言われています。東京向島、隅田川のほとり長明寺の寺男だった山本新六が、独立して門前で山本屋を始めたのがその起こり。徳川吉宗が桜の名所を作ろうと隅田川にたくさんの桜を植えたはいいが、桜の葉の掃除の処理に困って、塩漬けにし、餅を挟んで売ったのが始まりだったそうです。山本新六による、もったいないの精神だったか、単なる思いつきだったかはわかりませんが、いまや300年の歴史を誇る、日本人の精神性とも結びつくような桜の時期の代表的な和菓子となった。エコロジーやゼロ・ウェイストが謳われる時代ですが、昔の人は反射的な行動からサステナブルを実践していたのかなとも思わされます。お上に命によって突然に生まれた桜の名所。よそ者も桜の時期となれば、隅田川のほとりに土足で入り込んできた。掃いても掃いても捨てきれぬ桜の葉の行方を、商売と結びつけるとは、なかなかたくましい才覚かと。

砂糖、油脂控えめ、体に良いエコロジーな「減量パティスリー」が、ピエール・エルメさんとフレデリック・ボーさんのコラボレーションでこの春発売されます。2人のコラボレーションですからとびきり軽やかで繊細な美味しさでしょうし、未来に求められるスイーツに道を開いてくれると期待していますが、同時に、レシピやカロリー、あるいは、言ってしまえばCO2減における数字ばかりを追うのではなく、和菓子の世界にあるような、自然を思う精神性が同時に伴うことで、より地に足のついた結果が生まれてくるのではないかとも思います。2030年、2050年はもうすぐそこですから、そんなことは言っていられないのかもしれませんけれど。。

今週のトピックスは今週のひとことのあとに掲載しています。【A】パリ12区に新しいフードコートがオープン。【B】トリュフ入りパネットーネ。【C】復活祭のための特別メニューで3つ星シェフとパトリック・ロジェがコラボレーション。【D】2つ星レストラン「メゾン・ブルー」、食器のオークションイベント開催。売り上げの一部を学生協会に寄付。【E】仏パスタ会社、全4万食を学生支援に提供。

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