うさぎ@つきのみやさま フランスの食関連ニュース 2021.09.01
今週のひとこと
1ヶ月強滞在した日本をあとに、パリに戻ってまいりました。日本の猛暑は嘘のような寒さで、朝晩はセーター、ジャケットが必要な日々。今週頭から新学期への準備も始まり、街はすっかり動き始めています。私も月曜日から弊社DOMAに出勤して、9月から始まる怒涛の毎日のための準備に追われていますが、たった2日間の間に、日本人の料理人さんが2人、包丁研ぎや包丁、あるいはお皿の購入のために訪れてくれたのは、とても嬉しいサプライズでした。新学期に向けての、心の刷新、さまざまな思いを込めた第一歩のための準備もあっただろうと、ありがたく歓迎した、私たちにとっても新学期を感じるひと時でもありました。
私自身もパリに帰る前の心の一つの区切りとして訪れたのは、やはり日本人は神社仏閣への心頼りがあるといったらいいのか、実家のそばにある「調神社」へ。今年の日本帰国は、ほぼ自宅から離れなかったということもありましたが、それでも小さいながらとても特徴的な「調神社」には思い入れがあって、中山道沿いにある静かな佇まいには、心を癒されるものがあり、足を運びたくなります。
2,000年ほど前の第10代崇神天皇の勅命によって創建され、伊勢神宮へ納める貢(調)物の初穂を納めた倉庫群の中に造営されたといわれ、地元では「調宮(つきのみや)」さまという愛称で呼ばれています。その特徴は、なんといっても名にある「調(つき)」により月待信仰(月の満ち欠けがもつ神秘に畏敬から生まれた民間信仰)が古くからあって、月に住むといわれた兎が神の使いとされ、狛犬の代わりに狛兎が鎮座していること。江戸時代には月読社とも呼ばれていたと聞いています。この狛兎ばかりではなく、手水舎や池の水口が兎の石像であったり、社殿に兎の彫物があったり、兎の絵馬があるなど、所々に兎が配されている。兎探しをするのもちょっとした楽しみで、干支に卯年を迎える年始には、たくさんの初詣客が行列を作るほどです。卯年ではなくとも、「つき」をいただける神社としても知られているので、知る人ぞ知るパワースポットでもあるようです。
この兎のほか、鳥居がないことなど、つきのみやさまには七不思議がありますが、その七不思議に加えられているのが、今はない御手洗池の池に魚を放つと、その魚は片目になること、などに加えて、蚊と蝿が出ないこと。「蚊と蝿が出ない」というのを七不思議に加えるのはどういう訳だったかと訝しがりながらも、「こんな夏の季節に神社に出かけるのは、馬鹿ばかり。蚊に刺されに行くようなものだ」と父親に言われながらも立ち寄れば、池の周りをさまようも、蚊に刺されることがなかったのは、確かに七不思議だったかもしれないと合点。蚊がいないのは、この夏の異常な猛暑のせいでしょうが。
夏のつきのみやさまを訪れて、思い出したのはパンデミックになる直前、2020年の初詣。両親とともに、沢山の人出に神社の前に押し出され、お財布から出したお賽銭の五円玉を、なんと母親が手元から落としてしまった。お正月から縁起が悪いと思わせないため、思わず「落としたものは、私がすべて拾ってあげるから大丈夫」と母につぶやきました。「禍を転じて福と為し、敗に因りて功を為す」。このパンデミックを経験して、どんな場面に遭遇しても周りの人々とともに解決策を見つけていく、そんな精神を持つ自分でありたいと、つきのみやさまの前に誓ったひとときでした。
今週のトピックスは今週のひとことのあとに掲載されています。ご笑覧ください。【A】パリにて、ロシアの「ヤンデックス」による日常品の宅配サービス開始。【B】新世代のパティシエ王、セドリック・グロレが初の海外進出を図る。【C】注目パティシエール、ニナ・メタイエ氏、「プランタン」8階のグルメコーナーにお目見え。【D】夏限定、CBD入りカクテルの挑戦。
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