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みどりさんの放った言葉

働き者のみどりさん

昨日も書いたが、みどりさん(母)は軍曹(父)の亭主関白っぷりに良く尽くしていた。始終呼びつけられ、用事を済ませた。家事と育児に追われ、ママからもパシリに使われ、毎日クルクルと走り回っていた。
みどりさんは背が小さい。わたしは外見のほとんどを母の遺伝子からもらったようだ。爪の形まで全く同じなのだが、これはまた別の話。
とにかく、みどりさんは小さな身体で良く働き愚痴もこぼさなかった。

帰ってこない軍曹

それに対して軍曹は、家では何もしなかった。職場では、大変真面目に遅くまで働いていたが、典型的な亭主関白の九州男児だった。しかも、多趣味である。主なものでも、盆栽、カメラ、ゴルフ、野球観戦、囲碁、将棋、オーディオ、焼き物コレクション、愛人作りなどに夢中になっていた。そのどれもが玄人はだしで、趣味の集まりに飛び回っており、家にほどんどいなかった。
わたしが生まれた時なんか酷い話で、軍曹は巨人軍の冬季キャンプを応援しに宮崎県まで泊りがけで出かけていた。みどりさんはひとりぼっちで不安の中、初めての出産をした。詳しい話は、また別の話。

気丈なみどりさん

さっきさらっと書いたが、軍曹には常にオンナがいた。それも完全にバレバレであった。 それでも、みどりさんは離婚を考えなかった。軍曹はいつも威張っていたが、本当に強かったのはみどりさんの方だと思う。我慢強く亭主を、そうとは気づかれない様にコントロールする。みどりさんの見た目はちっちゃい可愛い人だったが、中身は炭鉱の街生まれの、根性の座った典型的な九州女子だったのだ。わたしは、これを「したたかな優しさ」と呼んでいる。

みどりさんの名言

わたしが中学生くらいの頃、みどりさんはとうとう業を煮やして軍曹に宣言した。「友達に戻ろう!!」
どうゆう事だ??別れない、でも夫婦は止めるって事?離婚も別居もしないの?普通の感覚では考えに追いつけない。
どうやら、共通の子どもを、一緒の家で育てていく友達って意味らしかった。夫婦ではなく、同じ姓のルームシェア?シェアハウス?みたいなものだった。
そんなの見た事も聞いた事もない、わたしは他の例を今をもって知らない。

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