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そうだこの暮らしだ
昼下がりに、無農薬の小さな檸檬を一つ。
手に取って半分に切る。
そして、陶器の絞り器で果汁を絞り、蜂蜜を溶かして炭酸水で割る。
そうして作ったレモネードを飲む。
まるで、身体中に染み渡るみたい。
全身が喜んでいるような、そんな感覚を味わう。
この檸檬が、庭で採れた檸檬ならどんなに素敵だろう。
そんなことを考えて、ふと気がついた。
そうか。
私が本当にしたかったことって、これだったのかもしれない。
有名な学校を出ることではなかった。
みんながスゴイねって言ってくれる職場で働くことではなかった。
高級レストランで食べまくることでもなかった。
お金持ちと結婚して贅沢な暮らしをすることでもなかった。
有名人になって周りからチヤホヤされることでもなかった。
特別な能力を使って人助けすることでもなかった。
私がしたかったのは、
自然の恵みをいただいて、
ただ、ふと思いついたことを現実化すること。
庭で採れた檸檬でレモネードを作って飲んだり、
肌触りの良い布を使って可愛い小物入れを作ったり、
その時頭に浮かんだ絵を描いたり、言葉を紡いだり。
私がしたかったのは、ただただ、そういうことだった。
そう気がついたときに、
分かったことがある。
私が本当にしたかったことは、既に叶っていたということに。
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ディズニーリゾートで購入したお洒落なグラスで、自家製のレモネードをたっぷりといただく。
残った皮も小さく刻んで冷凍して、料理の隠し味に使う。
そして、思い浮かんだ言葉たちを、こうしてノートに紡いでいく。
イイネがついたら「有難う」と思うけれど、イイネが欲しくて書いたことは一度もない。
何故なら、私自身が書くことそのものに大きな喜びを感じているから。
だからこうして読んでくれた人に有難うと思う。
本当に本当に自分が望んでいることは、
世間と照らし合わせているうちは、流行りに乗らなければと思っているうちには、
見つからないものなんじゃないかって。
そう思った。