夜中の牛丼
あたしがまだ22か23歳で、北海道じゃないところに住んでいたとき、時々遊ぶ男友達がいました。
今考えると何して遊んでたんだろ?と思うんだけど、町はずれのちょっと変わった喫茶店(カフェではない)で、ミルクティーをシナモンスティックでグリグリしたことは覚えています。
この棒っこは何だろう?ん?シナモンのにおい?シナモンスティックってやつ?どうやって使うの?
仕事以外の知り合いもいない土地で、1Kのアパートで1人暮らしで、時々夜中に電話をくれて長電話したりしていました。
その当時つきあってた人がちょくちょく変わってて、まぁモテ期だったのかもしれないし、寂しかったのかもしれないし。
「最近どうよ?」ってのがいつものセリフで。声は好きだったけど、時々気持ちがグラッとすることを言われるけど、付き合うって感じじゃない、あたしの中では「男友達」。
でも、その街を離れて北海道に帰ろうと決めたとき、「帰るのやめろよ」と言ってくれたただ一人の人。
ある夜、いつものように長電話をしてて、人恋しくなったのかお腹が空いたのか「牛丼買ってきて」と言ったことがありました。普段のあたしなら絶対言わないと思うんだけど。
車で1時間かけてきてくれた。
夜中に牛丼食べてるあたしをニコニコしながら見てた。
あの人はあたしのことを好きだったのかな?クソ生意気な女だったのに。やさしくされた覚えはあっても、やさしくした覚えはないのに。
あとで聞いてみよう。15年ぶりに会えたから。