高校生の自分に言いたいこと
私の家は、ごく普通の家庭だと思っていた。
父親が私が7歳の頃に亡くなって、一人で一生懸命育ててくれた母親は「片親だから」と言われないようにと私と弟を自立していて、常識があって、世間から冷たい目を向けられないようにと必死だったんだと思う。
幼稚園の頃、大きくなったら何になりたいかと聞かれ全くアイデアがなくて、意見を聞かれること自体が恥ずかしかった私は適当にお花屋さんと言った。
小学校高学年の時、仲の良かった友達と一緒に「将来は水族館でイルカの飼育係をしたいね」と夢を語ったけど、母親は生理痛のひどい私に冷たい水に冬もお腹が痛くても入らないといけないのよ、ぴしゃりと言った。
17歳の時、好きだったロックバンドやハリウッドのSF映画の影響を受けて、特殊メイクアップアーティストになりたいと思った。専門学校のことを調べて意を決して母親に意思を伝えたが、そんなんで世の中食べていけるわけがない、そんなところに学費は出さないと余地はなかった。
大学生になって、当時付き合っていた彼氏と同棲したいと相談した。ちょっと隠して先に住み始めようとした私も悪かったけど、家族会議まで開かれてしまいには彼氏のサービス業の仕事までを否定された。
大学卒業を控えて内定がいくつか決まった時、自分でも100%の確信はなかったけど小売店の勤務に決めようと思うと伝えた。「大学まで出たのにそんな職業、、、私は応援できない。」と言われ、口論の末に泣き崩れた。「泣かなくていいじゃない。」と呆れたように言われた。
私の人生はずっとそうだった。その時は、反対を押し切ってでも貫き通す強い意志のない私がだめだ、そんくらいの意思なら無理でも当然だと自分に言い聞かせた。
30代中盤になって、やっと、やっと。今までの自分の言動や母親の言動がクリアに見えるようになってきた。
日本は世間の目を気にする。それは島国でみんな同じものを目指して同じようになりなさいと教育されてきた私たちには仕方のないこと、もはや文化の一部だ。だから難しいことは十分、身をもって、理解している。
でも、私はあの時の、母親にぴしゃりと言われて引き下がった高校生の私に、
反対されても何度でも自分のやってみたいと思ったことを貫きなさい。
と言いたい。
一度くらい、自分の意思をとことん信じてやってみなさいと言いたい。あんたが最後の最後まで、あんたの味方でいれるたった一人なんだよ。自分で自分を信じて、鼓舞して、一緒に立ち向かってあげなよ。と言いたい。
今どこかで将来や、自分のやりたいことや、周囲の反対に悩んでいる若い人たちに伝えたい。
もし、自分が自分の味方でいてあげて、自分のやりたいことを貫きとおせば、後で振り返った時に「あぁあの選択は間違いだったな」とは絶対にならない。絶対にならない。だから少しの興味でもいい、自信が100%なくてもいい、やってみようかな、やってみたいけど恥ずかしくて言えないなと思ったことは貫いてやってほしい。
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