救国シンクタンク◆自治体経営研究会セミナー第5回「歳出改革基礎と自治体における持続可能な財政条例」R6.4.21 わかりやす~く?まとめてみました!笑(Ver1.1 R6.5.4記)
第5回もほぼ満席、常連の地方議員、国会議員も増え、今回の議員による成果報告は8名で過去最多人数でした。
運営の方も、おそらくプログラムの組み立てを、メリハリなど考えられたのだろうな、という構成。マニアックな4時間近いセミナーはあっという間でした。
【歳出改革基礎と各自治体における持続可能な財政条例】
今回の資料は7種類。ググれば出てくる公開情報も含みますが、何を調べたらよいか、が分かりました。
以下、私が理解できた範囲で、プログラム順に忘備録としてまとめます。
資料1 プログラム は割愛します。
倉山理事長挨拶
救国シンクタンクの総会はいつも6月最終週の木曜日(今年は27日)です。令和5年度の成果として皇位継承と減税について報告できる、とのこと。会員としても嬉しく、誇らしく感じます。
内藤陽介研究員もご参加されていました!
ショートトピック 地方税の動向「市町村税関係改正案解説」(資料2)
資料2は、今年の税制改正の大綱から、地方税に関するものがピックアップされたリスト。(こちらをググり、「税制改正の大綱」をググると色々出てきます。)地方自治体に関わる税に何があるか、知るのに役立つリストだと思います。
中で、ひとつ個人的に気になった免税措置があったので、調べてみました。
浜田聡事務所のお手伝いで、たまたま都市緑地法の一部改正について調査したとき、法律案には免税に関する規定が見当たらなかったので、気になりました(;^_^A。所管省(国交省都市計画室)に質問し、回答待ちなのですが、
もともと土地を購入の際、固定資産評価額に標準税率を掛けた額で課税されるようです。購入理由が、上記の場合減免措置される、ということのようです。(参照 いえぽーと)
第1部 歳出改革基礎(行政の改革を見直し)(資料3・資料7)
総合計画とは
資料3では自治体の総合計画、についてのお話でした。川崎市の事務事業評価をググるとき、第何期か、事務事業は3層目くらいに出てくる、ということを経験として知っていたので、そのことと比較しながら話を聞くことができました。
事業計画の階層や、期間の策定には一長一短があると思います。川崎市以外の自治体も色々です。それらについての一長一短について勉強になりました。武蔵野市の事例はビックリでした。(そのことについて、武蔵野市議から成果報告タイムで、実は。。と内情が触れられていました笑)
議員にしかできない仕事
資料7では、菊川市(静岡県)の総合計画が事例として掲載されています。菊川市は長期計画(基本構想)を10年➡9年に、中期計画(実行計画・重点事業)を5年ごと➡4年ごと とH29年度に見直しています。市長改選時に合わせ、マニフェストを総合計画に反映させているか、がチェックポイントになります。見直した菊川市は素晴らしいですね。あなたの自治体ではどのようなスケジュールになっているでしょうか。
また、その計画に基づき、向う4年間の歳入・歳出の予測値が発表されています。目安としてこのような数値を見える化しておくと、途中アクシデントなど発生した場合に計画変更の目安になりますね。
大切なのは、これら計画を見直すことは議員にしかできない仕事だ、ということなのです。
活動成果報告
登壇された地方議員、国会議員の方々はこちら(facebook公開グループ 救国シンクタンク応援グループ)にお写真を投稿しました。
令和6年4月22日の投稿をご参照ください。
チャンネルくららでも活動報告が紹介されると思います。ここだけの話?もあるかもなので、詳細には書きませんが、活動報告としてお悩み相談がありました。市長選ゲームを彷彿とするような話でした。フツーにボランティア活動に参加したら、その活動場所が別の市議の”縄張り”だったためか?その後、挨拶さえ無視されている、という状況があるそうです(;^_^A 議会といえども、人間社会なのでそのような次元の話は避けられないのかもしれませんが。。。
第2部 ①条例解説(資料4・5・6) ②歳出削減事例(資料7)
①条例解説(多治見市 健全な財政に関する条例)
財政について会話ができるための条例
いよいよ本題?!多治見市の「健全な財政に関する条例の構造」について資料4.5.6で、条例の構造、条例、条例の施行規則が共有されました。
こちらをご参照いただければ、資料と同じものがでてくるのではないかと思います。
健全な財政に関する条例。それはつまり、市の税収は事業を行うのに十分か?不足する傾向はないのか?不足しないように努力しているか?もし、急に不足した場合はどうするのか?など、何かを計画実行するときにフツーに対策として考えるべきことが、「条例」として市民に約束されている、ということです。この条例を根拠として、財政についての会話が成り立ちます。
これが無いのに、財源の話などできるわけも無いのです(煙に巻かれて、グヌヌ、となってしまう)。納税者(議員)と役所がまともな会話ができるために必要最低限の条例、なのです。もし、あなたの自治体に無い、のであれば、この多治見市のを丸パクリでOKです!
多治見市健全な財政に関する条例 についてザックリ解説
この条例は、ギリギリ「話し言葉」で書いてある(役所言葉ではない)ので、私でもなんとか理解できるように書いてあります。素晴らしいですね!
ざっくり、とですがこの条例をおさらいします。
第1篇 総則 (第1条~3条)
基本ルール、といったところ。住民が参加できる、住民のための健全な財政運営し、勉強を怠らない。子供たちは、今は意思決定に参加できないが、将来は負担させるかもしれない借金には留意する。市長は計画に基づいて予算を作ります、といった、素晴らしい内容が謳われています!
第2編 財政運営の原則(第4条~14条)
情報公開、財務諸表を作るは基本的なこと。ここでは借金は債務負担行為(借金の裏書き)も含める、と明記されている!学校建設費を積み立てておく。(川崎市議会では重冨議員が収支フレームを無視して減債基金に手を突っ込んでいる市長に指摘している。)財政調整基金の災害復旧に充てる経費を明確にする。補助金はやりっ放しにせず見直す期限を決める。(見直す、だけだと役所は実行できないので、見直す期限を決めることが大事。)
第3編 計画的な財政運営(第15条~34条)
財政判断指数を決めて、算定結果を公表する(条例になっているから公表しなければならなくなる。)。市長は総合計画に基づいて財政計画をつくる。財政向上目標を市長の任期ごとに定める。この目標について市民はパブコメなどで参加。計画を下回ったら財政警戒事態宣言(さらにヤバいとき➡財政非常事態宣言)
②歳出削減事例(行革甲子園の事例より)
「行革甲子園」とは、地方自治体が取り組んできた「行政改革」の取組を発表し、表彰する大会です。渡瀬裕哉研究員が「行革甲子園」から8事例が資料に取り上げられました。
ここで「行革甲子園」についてお伝えします。
行革甲子園は、最初、愛媛県が主導し、県内の市町村自治体から行革の取り組みを募集し、表彰したことが話題となり、全国に波及した催しで、2年ごとに大会が愛媛県で開催されています。
今年2024年11月8日に第7回大会開催が決定しています。
このセミナーで紹介された事例で、有名なのは浜松市の下水道事業へのコンセッション導入方式でしょう。いわゆる「保守」の方々が、民間に任せていいのかー!と反対されていた記憶があります。
私は、こちらで検索できる、2020年大会の、兵庫県明石市「全ての自治体におススメできる日常修繕を含む施設包括管理」がおススメです。コスト4千8百万円が削減できた、と明記してあります。他の自治体にも応用できるようですので!
ちなみに、前回大会の様子がYouTubeにアップされていました。
こんな大会があるなんて、知らなかったです。
努力している自治体があることがもっと広く知られ、賞賛されるといいですね!
おわりに
まとめてみて、地元自治体の条例、行革の取組がどうなっているか、について地元の議員と意見交換したくなりました。
事業を経営する人はもちろんのこと、家計を預かる賢い主婦なら、収支の計画を立て、貯金をし、いざというときに貯金を当てたり、計画を変更することは当然のことです。それがましてや原資が税金ならば、財政に関する条例があって当然です。それがないのは、行政を監視すべき議員、ひいては有権者の怠慢、惰性であり、逆に言うとそれだけ日本が幸せ過ぎて、茹でガエル未満の状態なのかもしれません。それでも今、日本の政治の怠慢に目覚め、行動を起こす人々が出てきています。このセミナーが、目覚めた議員、有権者が何から手をつけたらいいのか?の指針となっている、と改めて確認できました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
次回、第6回6月22日土は倉山理事長によるセミナーです。
救国シンクタンク叢書『コロナ禍を記録する』を基にした講義とのことです。アーカイブは全ての基本。自治体経営にどんな影響があるのか。乞うご期待!
減税あやさん(救国シンクタンク会員 かわさき減税会代表)
追伸笑