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2025年2月12日の日記「最強の軍師」
映画を観てきた。
面白かった。
忍たまは漫画版を読んでいたけど、久しく読んでいないしアニメもほとんど未視聴だったけれど、設定が気になって観てみたかったのだ。
原作小説と比べたかったので、帰宅後小説の方もすぐ読んだ。(確認したら一年前に買ってたのにずっと積読していた)
あっという間に読み終わってしまったので驚いた。kindleで買ったから気付かなかったけど、ライトノベルの部類に入るのかな?
ざっくりと違いを言うのであれば、両者とも軸となるストーリーは同じで
映画は「アニメのコメディ」をふんだんに交えた、
小説は「原作漫画のコメディ」を交えた物語であった。
映画は小説の設定をベースに、個々のキャラをよりかっこよく、活躍の場を与えてシリアスな展開を敢えてよりシリアスに、
残酷な部分をアニメの柔らかさに変換して上手くまとめている印象。
脚本、監督が素晴らしい。
小説の方は作家さんが6年生たちが好きなのかな?と思うぐらいキャラを個々で描いていたのに比べ、
映画の方は敢えて「6年生」というくくりで描いていた。
そのおかげでキャラが濃い故に無駄に「お笑い」に寄ってしまう部分を消し、シリアスをしっかりとシリアスに描けていたのでそこはかなり意識されているのを感じる。
また「雑渡昆奈門」というキャラクター、小説では途中でほとんど存在感が無くなるのに対し、映画では「天鬼たる土井半助を暗殺しようとする」
”裏の”敵キャラクターとして輝かせている。
そのために「利吉」という人気キャラクターを足止めとして活躍させることに成功しており、個々のキャラクターを勢ぞろいさせて”全員で土井先生を助ける”という目的に向かうお話に仕上げている。
もちろん、小説というベースがあるからこそ映画でよりまとめ上げることができたと言えるのであるが、それにしても上手く仕上げたなぁ、と感心する。
土井先生がまるで高い城の上で捕らわれたピーチ姫のようであった。
ピーチ姫も能力が高い設定だし…。
そして一番驚いたのが、終盤に利吉が土井先生に向かって放つ「おにいちゃん」というセリフ。
これは「土井半助は、戦争孤児で若い頃山田伝蔵の家で世話になっていた(利吉は幼少期、土井に対して「おにいちゃん」と慕っていた)」というアニメには反映された部分(尼子惣兵衛先生の設定ではあるが、確かマンガでは描かれていない)を踏襲した部分であるが
小説版にはない。(山田先生がその事情をチラっと語る部分はある)
小説版の利吉は、途中で少し出てくるもののそっけないぐらいのビジネスライクぶりで(これは漫画版のイメージが強いのだと思う)少し手伝うのみに終始している。
しかし、映画の利吉は前述の「作者のベースとしている設定」をかなり意識して、土井半助を奪回するために奔走している。
今現在、大人になった利吉は「土井先生」と呼び、澄ました顔をしているが
子供の頃の土井半助が山田先生の家でお世話になっていた頃、利吉にとって土井半助は「兄」のような存在であり、「おにいちゃん」と呼んでいた。
そういう設定を踏まえると、今回の「半助が記憶をなくし敵の軍師になっている」と知った時の利吉のショックは計り知れない。
だからこそ、記憶が戻ったと分かった瞬間にホッとして昔の「おにいちゃん」呼びを思わずしてしまった。
映画ではそのように描かれていた。
エモい。
何というエモさ。
小説版ではほとんど存在感の無かった彼が、この「おにいちゃん」呼び一つで全てを掻っ攫ってしまった。
「腐女子大歓喜」と言ってしまえば簡単ではあるが、その一言で簡単に説明してしまっては勿体ないほど、しっかりとキャラクター設定を把握してお話をまとめた良作である。
そしてばっちりキャラクター商売もしている。偉い。
そもそも、原作の尼子惣兵衛先生の作ったキャラクター設定が完全に中二病大喜び設定で、そういう意味で天才なのだ。
そりゃあ、映画もこうなる。
そして映画館ではグッズは跡形もなかった。それはそうですよね…。
かなり久々に映画を観たけど、これだけ見どころがあれば、リピーターが多くて当然だと思う。
これはDVDでもう一回観たいな。
そういえば、声優さんの演技も素晴らしかった。
土井先生の声色がここまで変わるのか、という驚きと共に「ベテラン使ってくれてて良かった~~~!!!!!!!」という安心感。
俳優の中途半端な声演技ではこの感動は得られないだろう。いやホントに…。
俳優の声演技はジブリが代表的だと思うが
ジブリはジブリの良さがあるとはいえ、こういう仕事を見せつけられると
「普通の声優さんを使うことでより良いアニメになってるんじゃないの?」と思わずにはいられない。
適材適所、というのがあるだろう。
いやしかし、本当に良かったな…。
リョウコさんがわざわざ上京してまで、「一緒に観ましょう」と言ってくれなかったら結局観ないまま終わってしまっていたかもしれない。映画は苦手なので。
リョウコさんのお陰で一つの良い作品に触れられた。有難いね。
まぁ東京まで来るのは頭おかしいなと思ったけれど。(一緒に観て感想を言い合いたかったらしい)