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内申書の話(1)


オンライン英語講師の仁科綾子です。

今日は英語のことではなく、公立中学における内申書、内申点のことを…

<この記事を書いた人の学歴>
私立幼稚園>公立小学校>中学受験不合格>公立中学校>公立高校>京都市芸術大学音楽学部卒

上記経歴にあります通り、私は中学受験で不合格でしたので、地域の公立中学校に進学しました。昭和50年代のことです。

この頃から「内申書」というものは、私にとって悩ましいものでありました。



〜当時、先生から伝えられた評価に関すること〜


  • 通信簿につける5段階評価は定期テストの点数のみならず、普段の生活態度も加味してつける。

  • テストと生活態度の比率は6:4

入学直後に、ここまでのことは生徒にも知らされていました。


そして、この「生活態度が4割」というところに…
圧があるわけです。提出すべきもの、出欠関連、忘れ物の有無etc…

みんな、それで苦しむ。私も苦しんだ。

苦しむ…という情報が…今の世の中にはネットを通じて広まる。

だから…という理由で中学受験に踏み切る方も多い。

「内申書にまつわる問題」は、もう昔々からあって…そして今も残っていて…
その事情を、私の知る限りでお伝えしてみたいと思います。



15の春を泣かせない

…当時からこんなフレーズを耳にしていました。
終戦から高度成長期を経て、子どもが学校に行ける(学童疎開や学徒動員ではなく)ようになった頃のこと。「受験戦争」というものがあり、大学入試が苛烈を極めていた一方で、「高校入試においては、希望者が全員進学できる状況が望ましい」とする声が多く上がっていました。

その時に、私の住む地域でよく耳にしたフレーズです。

そしてここの地域は「総合選抜制」という高校入試制度を採用していました。
つまり「当日の試験の出来不出来ではなく内申書を含めた総合的判断から合格者を選出する」ということです。

そして先に述べた「希望者全員を進学させたい」しかも「できればひとりでも多くを学費の少ない公立高校に」という想いが高まりました。


いわゆる「都市伝説」のように巷間囁かれていたこと

通知表作成時に5段階評価を下すにあたり、「5」「4」「3」「2」を与えることにできる生徒数には決まりがある、かつ、学校側(教職員側)が目指すのは「できれば全員を公立高校に」ということなので、この目標に向けて評価に対して操作が行われる…

まあ、たしかにそんなことがあるようです。今でも、みたいですね。

美術の授業で提出した作品が校外の作品展で受賞したという、ある生徒さん…
「今学期は特に頑張ったね」と評価してもらえるかと思いきや…
通知表は「3」だった、という話…

コレ…ありますね〜。残念ながら。

Xでみた投稿だから、保護者様のコメントを文字から察するのみですが、私自身同じ経験があります。(この子はどうせ音楽で目立つ役目をする子だから…卒業式で校歌と仰げば尊しの伴奏するし…ということなのでしょう。英語関連のイベント、例えば暗唱大会などの代表者には選ばれない…という感じです。英語の定期テストは毎回ほぼ100点でしたが。…音楽の評価が3だったこともあります。理由は不明。先生と揉めたということでもないです。)

実はこのカラクリ…私は現役中学生の頃から知っていました。
親がどこかから噂を聞いてきたのかも。

他人の気持ちは変えられないので…

他人の…学校の先生という自分にとって疎遠な存在ならなおさら…他人の気持ちは自分にはコントロールできませんから、当時の私はひたすら「ペーパーテストの6割」にコミットしました。特にグレるわけじゃないけれど、自然体で、目立たぬ成績で…それでいてテストの点は九科目総合上位5%…

結果…中3時に「専願で公立高校受験」と相成りました。
通知表…オール5なんかじゃなかったです。
平均したら3.5超えてたから「専願」

あとは当日頑張るしかない…



「みんな公立に行けるけど別にどこの学校が良いとか悪いとか、無い」

当時の受験事情はこんな感じ。
なぜかというと…

〜各高校での試験結果において合格者上位1割の生徒は受験した学校を進学先とする。その他9割は地域数校の合格者全体をくじ引きにかけて、どの高校に進学させるかを決める〜

というルールになっていたからです。
これが総合選抜制です。

今の時代、「総合選抜制」とネット検索するとAO入試の話が出てきますが、そういうことじゃなくて、ここでいう総合選抜制とは「高校間格差をなくして『良い学校に行った』とかなんとか…そういうニュアンスを消していく制度」なのです。

しかしこの制度が数十年前からあったわけでは無いので、地元の大人たちからは「あそこは昔から勉強がようできはる人がいってはる学校」みたいな言われ方をされる高校があったのは事実です。

願書提出に先立って行われた三者面談

ここでは、当日どこの高校を受験するか…これを決めます。

結論から言うと…先生が言ったところを受ける…です。

総合選抜制なので、受けた学校に入れるとは限らない状態で全ての生徒が受験します。だから…先生が言った通りに動く…ほとんどがコレ。

倍率は、当時1.1倍。絶対に受かるという保証はないので、全学年の30%程度の生徒は「併願」です。万が一公立に不合格だった場合に私学に行く…というプラン。実際、数十年後に私が大手個別指導塾で新人研修を受けた時に注意事項として聞かされたのはここの地域での高校受験における特殊な併願事情です。(一部、灘、ラサール、愛光など受験する友人もいましたが、それは超レアケースです。)


上位1割に入りそうな子の受験先

「学校間格差を無くす」というビジョンが先生方にはありますので、ここである工夫が為されます。

当日1割に入りそうな子を新設校で受験させる

ということです。

そうすれば、その子は当日の試験を力一杯頑張って、受験校であったその新設校から「くじ引きで他校に回されることなく」留まることになります。
きっとそこでも真面目に勉強することでしょう。
そして全力を振り絞って希望の大学に合格するはずです。

新設校の進学状況がめっちゃ良い!

…はい、この状況の出来上がりです…


さいごに…

いかがでしょうか?
これが「15の春を泣かせない」ために、学校で先生方がしてこられたことです。

この制度のおかげでたくさんの方が授業料の安い公立校に行けてよかったのかもしれません。

しかし、生徒一個人としては、辛くて悲しいこともいっぱいありました。

とても1記事では収まりきりません。

次回に続く…

では、また…

追記
続編はこちら





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