【ポルトガル語】lとrの発音の違い【YouTube投稿】
数日前に、YouTube動画を投稿しました。
日本人に馴染みのない発音
日本語にはlとrの区別がないため
多くの生徒さんが悩んでいる発音のひとつです。
「ポルトガル語を言うぞー！」と
気合いが入りすぎて、
多くの方がlで発音してしまっています。
lとrの違いで意味が変わってしまう単語もあります。
闇雲に練習する前に、まずは理論から理解してみましょう。
IPA 国際音声記号とは
これから紹介する発音記号の名称は
国際音声学会という研究機関が定めたものです。
彼らは、国際音声記号 IPAというものを開発しました。
私たちが辞書でよく見る発音記号です。
もちろん英語など、他の言語の辞書などにもこのIPAが使われています。
その記号に対応した名称も付けられています。
これは、調音点(発音する場所)がどこであるかを示したものです。
世界中のあらゆる発音にこういった名称が付けられています。
これらをヒントに、私たちは人間である以上、
どんな母国語を持っていても、
知らない国の言語を発音できるようになれる...
...という目的で音声を可視化(文字化/記号化)したものです。
これがIPA - 国際音声記号です。
私はこの理論を使いながら、
日本語とポルトガル語の違い、
そして「日本語話者がどうすればストレスなくポルトガル語を綺麗に発音できるか」を研究、指導しています。
l [l] 有声・歯茎・側面接近音
ポルトガル語のlの発音記号のお名前です。
この名称は覚える必要はありません。
ただ、漢字を見ますと、
「歯茎(歯の裏)に舌の側面を接近させる音」
ということが分かります。
IPAの発音記号はこのように活用すると大変効果的です。
r [ɾ]有声・歯茎・たたき音(はじき音)
一方、こちらはrの音です。
「歯茎(歯の裏)をたたく」とあります。
これがポルトガル語のrの発音であり、
日本語のラ行の音でもあります。
つまり、ポルトガル語のrを発音する際は
日本語のラ行を言うのと同じくらいのテンションのかけ方でいいのです。
無理に気合いを入れたり、力む必要はありません。
ただ舌を「叩く」だけでいいのです。
lとrの比較
以上のことを踏まえて、rとlの違いを比較してみましょう。
l
・舌の側面を付ける ▶︎ 「平面」
・舌が、歯の裏にくっついている時に、
舌のわきから流れ出る音が[l]の音
r
・舌の先を付ける ▶︎ 「点」
・舌が、歯の裏をたたいて、
離れた瞬間に出る音が[ɾ]の音
これらがlとrの大きな違いです。
「舌が付いている時に出ている音」と
「離した瞬間の音」の違いは
とても大きいと思います。
舌をべったりくっつけてしまうからlの音になってしまうのです。
逆に、rは素早く舌を叩かないといけません。
まずはこのイメージを持って練習してみてください。
Turma da Mônicaのキャラクター
昔からあるブラジルの漫画に
Turma da Mônica 「モニカと仲間たち」
というものがあります。
作者のMauricio de Sousaは88歳のおじいちゃんで、
手塚治虫とも交流がありました。
そのレベルの漫画家が描いた国民的な漫画ですが、
その中にCebolinhaという男の子のキャラクターがいます。
彼の特徴は、
「rとlが区別できず、すべてlで発音している」
というものです。
私はポルトガル語を勉強するまで、
Cebolinhaの発音の違いを認識できませんでしたが、
今でははっきり分かります。
ブラジルでは「Cebolinhaの話は聞いちゃダメ！」と子供たちに忠告しているお母さんたちが大勢います。
ネイティブでもシビアになっている発音ですので、
私たち日本人も当然、気をつけないといけません。
もっともブラジル人のお母さんたちは
「子供が間違って単語を覚えてしまっては困る」
という心配なので、
「lとrの発音が区別できなくて困ってる」私たちとは
違う種類の悩みではあります。
大学時代のエピソード
大学の教材で、この漫画が使われたことがありました。
日本語が話せないネイティブの先生が、翻訳するように指示したのですが、
「Cebolinhaはlとrの発音を間違えているから、辞書で探す時は注意してね」
と説明していました。
しかし、当時、その授業でポルトガル語を完璧に理解できる生徒は私しかいませんでした。
つまり、誰も先生の説明を理解していなかったのです。
その日の私は、10分ほど遅刻していたのですが、
教室に入った瞬間、全員が泣きそうな顔をして私に助けを求めてきました。
「このキャラの単語が辞書にない」
私はCebolinhaのことは子供の頃から知っていたので、
「rで探してごらん」とアドバイスすると、
すぐさま見つかって、
みんなようやく翻訳を始めることができました。
先生にみんなの状況を説明すると
「私、説明したのに！」
と嘆いていました。
「lとrの発音」の話が出ると、いつもこのエピソードを思い出します。
lとrの難しさは、色々なところに潜んでいます。
こうして学習の妨げになってしまうことや
間違って覚えてしまうこともあるでしょうし、
ela 「彼女」
era 「時代」
というように、意味が変わってしまうこともあるでしょう。
Cebolinhaの発音を聞き取れる？
以下に、Cebolinhaの動画を載せておきます。
こちらは、彼が自己紹介をしているようです。
こちらは字幕があるので分かりやすいと思います。
どの単語が「r→l」になっているか、探してみてください。
歌を歌うとき
歌にはメロディーがありますので、
音符(拍)の長さによっては
rだけでは物足りず、
lでしっかりと舌を使って発音してしまう方が非常に多いです。
舌の「点」で素早く叩くだけでいいのに、
舌の「平面」をべったりくっつけてしまうのです。
これは「ポルトガル語をしっかり言わなきゃ！」という気合いのせいで、
舌にも力が入ってしまい、
舌をべったりくっつけてしまうのだと思います。
まずはご自身の発音を、客観的に聴いてみてください。
そして、lとrの区別がつく耳も鍛えてあげましょう。
その上で、私が解説した内容を参考に練習してみてください。
少しでも上達できたのであれば、
動画を作った甲斐があったと実感でき、
大変嬉しく思います。
♡ ••┈いつもご覧くださりありがとうございます┈•• ♡
私のレッスンでは、
・発音矯正
・音声学に基づいた「日本語のクセ」と「ポル語の特徴」の解説
・「ポル語グルーヴ」のブラジル音楽への落とし込み方
などを教えています。
YouTubeでミニ講座を投稿している他、オンライン無料レッスンも行っています。
ご興味がある方は是非YouTubeチャンネルやHPをご覧ください.*˚✩
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✼••┈ A sua professora ┈••✼
꧁愛マリアンジェラ꧂
著書
『日常ポルトガル語会話ネイティブ表現』(出版: 語研)
※共著
電子書籍 (すべてKindle Unlimited対応)
『ブラジルとブラジル音楽とポルトガル語の話』
『ブラジルとブラジル音楽とポルトガル語の話２』
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