テクニカルライターが実践している、伝わりやすい「ビジネスチャット」の書き方
Peatix Japan株式会社でテクニカルライターとして働いているNakatsukaです。
みなさんは、「ビジネスチャット」を利用していますか?
私は日々の業務でSlackを使用していますが、日本ではその他Chatwork、Teams、LINE WORKSなどが使われているようです。
チャットはメールよりも手軽に連絡が取れて便利な一方、無意識に相手にとって分かりにくい文面を送ってしまっている場合があります。
今回は、普段何気なく送っているビジネスチャットを見直し、伝わりやすい文章を書くポイントについてお話します。
ビジネスチャットを見直すべき理由
在宅勤務が中心の方は、会議以外のちょっとしたやりとりはチャットが主流かと思います。
「チャット」という言葉の通り、気軽にコミュニケーションが取れることが売りですが、度重なる連絡は相手の集中力を阻害する可能性があります。
以前、管理職として多くのメンバーを抱え、日々たくさんの連絡を受ける友人が「チャットの通知音を聞くだけで嫌気を感じるようになってきた」と吐露していました。
中には通知音を聞きすぎたせいか、”通知が来てないのに「ポポポポ」って音が聴こえてくるんです。本当に怖いです。”と、幻聴を報告されている方もいらっしゃいました。
このように、度重なるチャットの通知は受け手にストレスを与える原因にもなり得るため、緊急時の連絡などを除き、ある程度まとまった内容を1回で送りたいものです。
しかし、まとめたものの冗長になってしまった場合、受け手は内容を理解するのに時間がかかります。これでは仕事が進みませんよね。
スムーズに仕事を進めるためには、チャットとはいえ、きちんと整理した文面を作ることが大切です。
伝わりにくいビジネスチャットの特徴
以下は、伝わりにくいチャット例です。この文面には、主に以下のような特徴があるかと思います。
特徴1.見た目で読む気が削がれる
文字の太さが均一で改行もない文章は、パッと見て読む気が削がれます。
文章には見た目が大切ですが、これはチャットのような比較的短い文章にも当てはまります。
特徴2.求めていることがすぐに分からない
連絡している以上、送り手は相手に何かしらのアクションを求めているのだと思いますが、結局何をしてほしいのか捉えにくいです。
連絡の主旨を明確にすることが重要でしょう。
仕事相手の時間は貴重です。私は新入社員の頃に読んだ『もっと仕事は数字で考えなきゃ!』という本に書かれていた、「まわりの人の貴重な時間を奪わない」という言葉を今も肝に銘じています。
相手を尊重するためには、伝わりにくいチャットを投げ、受け手が理解するのに時間をかけさせることは避けたいものです。
伝えたい内容を整理し、読みやすさを意識した文面を構成すれば、誰でも伝わりやすいチャットを書くことができます。
伝わりやすいビジネスチャット 5つのポイント
伝わりやすいチャットを書くには、ポイントとなる型を押さえる必要があります。
型を身につければ、相手に伝わりやすいだけではなく、自分が文章を作成する際の時間短縮にもなって一石二鳥です。
ポイント1.タイトルをつける
短い内容であったとしても、本文に入る前にタイトルをつけることで、読み手がその後に続く内容を理解するスピードが上がります。
「視認性」を上げるために、太字や括弧も活用してみましょう。
ポイント2.目的をはっきりさせる
タイトルや冒頭にチャットの目的を書くことで、相手に何を求めているかが分かりやすくなります。以下は、ビジネスチャットでよく使われる目的例です。
ポイント3.小見出しや箇条書きを利用する
それぞれの項目に小見出しを付けたり、同じ粒度の項目は箇条書きを使用したりすることで、冗長な文章を避けることができます。
ポイント4.URLはテキストリンクに変更する
少しでも文面のすっきりさを高めるために、一手間かけてURLはテキストリンクに変更しましょう。後から自分が見たときにも、何というタイトルの資料を送ったのかが分かりやすいです。
ポイント5.一文は短く、改行を活用する
読みやすい文章を書く上での大原則は、ビジネスチャットでも同様です。
一文は50文字程度にして、改行も活用しながら「可読性」や「判読性」が高い文章を目指しましょう。
可読性、判読性および視認性についての詳しい説明は、以下の記事をご参照ください。
Before & Afterを比較
実際のチャット画面を比べてみると、Afterの方がパッと見て「とりあえず読んでみよう」という気持ちが湧きますよね?
読み手になるべく負荷をかけないように、上記のポイントを押さえながらチャットを書くことを意識していきましょう。
ビジネスチャットのマナーは臨機応変に
この記事で示した例では、簡潔さを追求するため、「お世話になっております」などの冒頭文や、「よろしくお願いいたします」などの結び文は省きました。
合わせて、「〜させていただく」、「〜していただく」などの敬語表現も使用しませんでした。
ビジネスマナーを省力されても気にしない?
Chatwork株式会社が2022年に行った「ビジネスコミュニケーション最新調査」によると、メールでのビジネスマナーを⾯倒と思いつつ「慣習だから」という理由でやめられない人が多いとのことです。
その一方で、メールを受信する側の約7割は「ビジネスマナーを省略されても気にしていない」ことが判明しています。
これはメールに関するアンケート結果ですが、メールよりもカジュアルなチャットでは、より一層ビジネスマナーは重視されないかもしれません。
これらを踏まえると、一概には言えませんが、チャット上での過度なマナー表現を避けることは、伝わりやすい文章を書く上で重要でしょう。
人としての温かみは忘れずに
ただし、個人的には簡潔なチャットこそが絶対的な正解だとは思っていません。マナーや文章の温度感は、相手や状況に応じて臨機応変に調整することが大切であると考えています。
ChatGPTですら、何かお願いしたら「もちろんです!」と返答してくれる時代です。
時には「お疲れ様です」といった一言を添えたり絵文字を使ったりするなど、分かりやすい文章を意識しつつ、人としての温かみも忘れないようにしていきたいですね。
今回は、伝わりやすいビジネスチャットの書き方についてお話しました。
これからもテクニカルライターとして役立つ情報を発信していきたいです!
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