愛してくれてたのは知ってるよ
わたしは、もっと愛したかった。
彼と別れた日、わたしはそう心の中で思った。
わたしを好きなとこが好きだった。
今までわたしの事を好きにはならない人ばかり好きになっていたから。わたしは追いかけたいタイプの人間だから。
きっと愛されていたし、愛そうと思ってた。
でも結局最後はがんばれなくなって、もう疲れていた。
愛されたから愛せるわけじゃない。
そもそも愛そうとかいう考えが間違いだった。愛は自分でどうこうできるものではない。
愛してくれてたことが好きだったのに、そこが大っ嫌いだった。
なんで私なんか愛してくれてるんだろう。私は愛されるに値してないのに。この人はアホなんかな。そうとしか思えなかった。
受動的な愛はどんどん自分を苦しめる。
愛してくれる人を真正面から受け止められるほど私は綺麗な心は持ち合わせてない。
斜めからしか見れない。あなたの愛は歪んで見える。あなたは何も悪くないのに。
自分でもどうしてほしいかわかんない。信じられないものは信じられない。私はもっと貪欲でせこくて、小さい女なんよ。
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あなたと付き合ったのは1年だった。
付き合って1年が過ぎようとして、別れる前のただ順調に見えてた日々の中でもわたしは、
こいつはわたしとセックスしたいだけなんだろうなと思ってる時がたくさんあった。
どんだけ一緒にいようとその疑念は拭えなかった。
浮気もしてない。まっすぐ帰ってくる。好きだよってたくさん言ってくれる。家事だってやる。たくさん笑わせてくれる。励ましてくれる。話を聞いてくれる。連絡もマメ。
何が不満だったのかって心の天使は問う。
そもそもお前は受け入れようとしてなかったんだろって心の悪魔は言う。
わたしはいい子ではないし、悪口だって言うし、家事なんて大っ嫌いだし、イライラした態度だってとる。しなくていいなら空気も読まない。
あなたは出来る限りで寄り添ってくれてたのもわかってる。もう限界値まで頑張ってたのかも。自分のことばっかりで何にも気づく訳はなかった。
愛されてた。愛そうとした。頑張ってくれてた。
不満なんてない。
っていうのは嘘。
たった1つ。わたしが耐えられなかったこと。
わたしの愛を疑ってこないでほしかった。
私だけ見てろ、他の女なんてクソだから。お前には私しかいねえんだよ、黙って愛されてろ。黙って愛してろ。ガチャガチャうるせぇんだよ。
って私が思ってた事を彼は知らない。
知るはずもない。そんな女は嫌われるって思って生きてきたから、わたしもそんな素振りは隠してた、
でも、わたしは、ほんとは、そんな女で、黙って愛されててほしかった。
愛を疑われると、わたしの愛し方は間違ってたのかなって、こんなの嫌いかなって。
自分で自分を責める。その瞬間が一番嫌だった。
ただ一方的に愛してたのかもしれない。でも側からみたらそんなの愛でもないかもしれない。
でも、確かにそこに一緒にいた時間だけはあって、
もう私もあなたもいらないって思ってるかもだけど。
愛する。
それはただ一方通行で、でも黙って受け入れて、伴走してくれる人がいることを、互いに認識することかも。