【徹底解説】エリック・テンハグのすべて:PART2(アヤックス編)
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ということでPART2はテンハグ・アヤックス編だ。
アヤックスでは、
2017〜2022年まで監督を務め、
リーグ通算112勝15分16敗 422得点113失点
という常勝軍団を作り上げ、アヤックスを22年ぶりにCLベスト4へ導いた。
言うまでもなくアヤックス時代においては、
名将だろう。
今回は、アヤックス時代の戦術について深掘りしていきたいと思う。
第1章:テンハグ・アヤックス初期
2017年12月、アヤックスはその年の夏に監督に任命したばかりのマルセル・カイザーを早々に解任した。
当時フロントにいたマルク・オーフェルマルスが招聘したのが今回の主役、エリック・テンハグである。
実は、その5年前にゴー・アヘッド・イーグルスの監督にテンハグを指名したのもオーフェルマルスである。
元々アヤックスは、過去4連覇を成し遂げたフランク・デ・ブールを呼び戻すつもりではないかと噂されていた。
テンハグの就任についてサポーターの間で疑問を持つ声も多かったが、結果は以下の通りである。
・獲得タイトル
エールディヴィジ:3回(2018-19、2020-21、2021-22)
KNVBカップ:2回(2018-19、2020-21)
ヨハン・クライフ・スハール:2019
・テンハグ流の浸透
アヤックスは元々、自分たちがどのようなクラブであるべきか、明確な哲学を持っているクラブである。
そのため、テンハグのやり方を浸透させるには時間がかかった。
「最初はみんな彼に慣れる必要があって、東から来た変なアクセントの気難しい男だった。
最初、アヤックスにフィットしていなかったけど、数週間で彼らのメンタリティを変えたんだ。実際、彼はクラブの基準を変えたんだ。」
PART1で述べたように、テンハグはクラブの文化を築く才能を持っている。
実際に、マンチェスターユナイテッドのオーナーであるラトクリフやフロント陣も、テンハグの文化を築ける才能については評価している。
さて、テンハグの戦術が浸透するまでに時間がかかった要因は何なのか。
それは、オランダ伝統のスタイルと異なったからだ。
オランダ伝統のスタイルは攻撃時、スペースを広く取るものだったが、テンハグは狭くする所は狭くし、密集を作ることでトランジション効果的にさせ、相手への負荷を大きくするスタイルに刷新したのだ。
バージョンアップしたこのスタイルはトータルフットボール2.0とも形容された。
オランダ(クライフ)のトータルフットボールをベースにスペインで発展したものが既にトータルフットボール2.0と呼ばれることもあった中で、テンハグはゼロから立ち返り見直した。
当時のオランダでは、戦術面の遅れにコンプレックスのようなものがあったようだが、テンハグはトータルフットボールの再構築に成功し、我々こそが源流だと言える自信を再びもたらしたことはテンハグの功績とも言える。
第2章:テンハグの戦術(2021-22)
この章では、2021-22のテンハグアヤックスの戦術を深掘りしていこうと思う。
基本フォーメーション(4-3-3)
・選手起用法
テンハグはローテーションをほとんどしない。
「次の試合が常に最も重要で、その時の最強のラインナップを選択する」という彼の信念、考え方があるからだ。
アヤックスにおいては、タディッチとブリントは何があっても起用するという強い意志が感じられた。
ブリントについては一時期不調で、スピードの無さを突かれる、ボールロストが多い、失った際もスピード不足ですぐに奪い返せないといった批判もあったが、守備方法の変更や周囲のカバーで対応して起用を続けていた。
ユナイテッドではラッシュフォードが起用し続けられていますね。選手の契約に出場に関する条項が含まれているなど噂がありますが、おそらくテンハグの意向でしょうね。
・オフェンス
アヤックスはポゼッションを重視し、人数をかけて敵陣へ押し込むフットボール。
右サイドで起点となるのはアントニー。ボールタッチが細かくテクニカルで、カットインからの左足によるコントロールカーブが印象的な選手。(ユナイテッドに移籍してからは完全に対策され、進化が必要。)
また、精度の高い左足から繰り出すクロスやバイタルエリアへドリブルで侵入し、敵を混乱させる。
アントニーは滅多にボールを奪われず、マズラウィとのコンビネーションも洗練されているため、相手はこの2人に相当手を焼いただろう。
右サイドは個の力で突破するが、左サイドはパスのコンビネーションで崩していく。
タディッチ、ブリント、フラーフェンベルフを中心にアレやベルフハウスを加え、ポジションを変えながらバイタルエリアへ侵入していく。
左サイドから攻撃を組み立て、詰まったら個で打開できる右サイドへ展開するなど多彩な攻撃パターンを兼ね備えていた。
・ビルドアップ
ビルドアップは基本、ティンバーとリチャの2CBとアルバレスの3人で組み立てていく。
"繋ぐ"と"蹴る"を間違わず、足元の技術も優れたリチャとティンバーはテンハグのビルドアップで重要。
プレス回避能力が高いため、簡単に被プレスをかわし前へとボールを繋げる。
テンハグのビルドアップは、選手の質任せな側面もあるが戦術が浸透し、決まりごとが明確になっていたため選手がスムーズに連動していた。
テンハグの戦術として、右サイドバックは中に絞り、偽サイドバックとなる。偽サイドバックを取るメリットは、ウイング選手を最大限活かすことができるだ。
彼がこのような方法を取るのは、バイエルンでコーチをしていた際にペップから学んだからだろう。
また、このようにすることでアルバレスやフラーフェンベルフへのパスコースが塞がれた際の出口となる。
マズラウィは非常に頭が良い選手だ。
自陣深くから敵陣のバイタルエリアまで、的確なポジション取りのおかげでビルドアップをスムーズに移行できる。
テンハグの戦術には、CBやアンカーの足元の技術が不可欠だ。CBだとしてもドリブルで持ち運び、前線の数的優位を作る。楔のパスやロングフィードなど多種多様なビルドアップの戦術も持っていた。
・被カウンターへの対応
ボールをロストした際、ハイプレスでボールホルダーへとプレスを開始する。テンハグアヤックスはハイプレスでボールを奪い返せるようにポゼッション時から配置を整えていた。
しかし、高い位置でのハイプレスにも限度はある。相手にボールキャリー能力や展開力を長所とする選手がいた場合、FW選手へボールを繋げられてしまう。
アヤックスはカウンターを喰らう際(現在のユナイテッドにも言えるが)、リチャ、ティンバー、アルバレスの3人しか残っていない状況が多く見られた。
そんな時に重要なのがアルバレス。持ち前の聞き察知能力でカウンターの芽を潰してくれる。22/23シーズンのユナイテッドにおいてはカゼミロが良く機能していた。
さて、アルバレスがかわされた場合、ロングボールでのカウンターへの対応はどうするのか。
そんな時は根性。
リチャとティンバーが無理を効かせてなんとか相手の攻撃を凌いでいた。この2CBがいたからこそ、攻撃で無茶が効いていたと考えられる。
カウンターを喰らった時はどんなにプレスバックが早かったとしても数的不利、CB依存の守備になってしまうため、テンハグのチームには無理が効くCBが必須だ。
・選手育成について
テンハグは選手のポテンシャルを最大限発揮できるように指導することができる。ガルナチョやメイヌーがプレミアで戦える選手になったのも彼の能力のおかげだろう。
アヤックスでは、ティンバーのキャプテンシーの向上を指導、アントニーへシュートとパスの判断と精度向上を求めたこと、マズラウィへ攻撃的SBとしてゴールを求めたことなど。
以下はタディッチのコメント。
「彼は世界でもベストなトレーナーの一人。4年間でそれを証明した。どのビッグクラブでもフィットするだろう。」
「戦術的に信じられないほどに強い。常に相手の2歩先を行っている。彼ほどインテリジェントなトレーナーをほとんど知らない。テンハフは、より良い選手になるにはどうしたら良いか、いつでも尋ねに行ける監督。すべての選手にとって、テンハフと仕事ができることは特権だ。」
テンハグは過去に指導した選手から非常に高い評価を得ている。
おわりに
今回はテンハグのアヤックス時代について紹介してきました!
PART3ではマンチェスターユナイテッドの監督になってからのエピソードや戦術などを深掘りしていきます!
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
次はPART3でお会いしましょう〜
出典
・https://ajax.exblog.jp/32664794/
・https://fl-ux.run-edge.com/column/4YIhyZ9N
・https://coachunited.jp/column/000198.html
・https://www.vi.nl/nieuws/ten-hag-rouleert-niet-de-eerstvolgende-wedstrijd-is-de-belangrijkste
・https://www.vi.nl/pro/analyse/zo-speelt-het-ajax-van-erik-ten-hag-1
※記事の読みやすさのため、注釈は省かせていただきました。ご了承ください。