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小松市立本陣記念美術館「うるわし・うるわしいの美術」展(-2024.9.23)
閲覧ありがとうございます。日本絵画一愛好家です。
あいかわらず猛暑が続いておりますが、暦の上では晩夏の過日、石川県小松市の小松市立本陣記念美術館にて、本記事の投稿時点でも絶賛開催中の「うるわし・うるわしいの美術」展を拝覧して参りました。
本展は、本年2024年6月15日から9月23日までという約3ヶ月の長期間の開催で、本記事の投稿時点でも絶賛開催中となっております。
ということで、KOMATSU CITY MUSEUMS 石川県小松市の美術館・博物館ポータルに僭越ながらリンクを張らせて頂きます。
上記ポータルサイトをご覧頂ければお分かりかと思いますが、石川県小松市には、小松市立博物館、宮本三郎美術館/ふるさと館、本陣記念美術館、錦窯展示館、および尾小屋鉱山資料館という合計5つの市立のミュージアムが存在するそうです。
これらのうち、小松市立博物館と本陣記念美術館は、いずれも芦城公園(ろじょうこうえん)という公園内にあります。芦城公園は、加賀藩の三代藩主前田利常侯が隠居されていたお城である小松城の三の丸跡地に造成された公園だそうです。
また、宮本三郎美術館は、芦城公園内ではありませんが、小松市立博物館や本陣記念美術館のすぐ南側の道路を挟んだ向かい側にがあります。
実は弊方の当初の目的は、小松市立宮本三郎美術館にて2024年6月15日から8月25日まで開催されていた「宮本三郎と関西美術院 京都洋画の過渡期」という展覧会を拝見することでした。
ということで、宮本三郎美術館を弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を僭越ながら掲載させて頂きます。
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なお、「宮本三郎と関西美術院」展は、予想通り? たいへん素晴らしい激萌え展覧会でしたので、改めて別途記事にして投稿させて頂きたいと思います。
さて、「宮本三郎と関西美術院」展を拝覧して同館を後にしたのですが、今回、ほとんど準備無しに急に小松市にお伺いしたので、帰りの新幹線まで結構な時間が余りました。
宮本三郎美術館のすぐ近くに、小松市立博物館と本陣記念美術館が所在することくらいは事前に調べておりましたので、芦城公園を散策するついでに、外からの様子くらいは見せて頂こうかな、と思いました。
ところが、小松市立博物館は、今年の1月1日に発生した令和六年能登半島地震により建物に被害を受けて閉館状態にあり、解体予定とのことでした。実際、小松市立博物館には「閉館」との表示がなされておりました。僭越ながら写真を撮影させて頂くつもりでしたが、失念してしまいました。
本陣記念美術館は、小松市博物館のすぐそばにありました。ということで、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した、本陣記念美術館の雑な写真を掲載させて頂きます。
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上記の写真ではわかりにくいかと思いますが、本展「うるわし・うるわしいの美術」展の看板を拝見して、弊方ちょっと心が動かされてしまいました。ということで、看板の写真を僭越ながら掲載させて頂きます。もちろん弊方の微妙なガラケー的なガラホによるものです。
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同看板の向かって左側に掲載される作品は、川端龍子先生の「山百合」という作品なのですが、山百合の花の真下の竹樋(たけひ、たけどい)の上を、でんでん虫さんがいらっしゃるのがお分かりでしょうか?! ちょっと分からない感じですかね?!
先月記事化して投稿させて頂いた、彦根城博物館の「青根九江-京で花開いた彦根の文人画家-」展(2024年6月21日-7月23日)のギャラリートークにお伺いしたとき、学芸員の先生から、「明清画」では「花鳥画」に虫さんが描かれる作例がかなり多いようで、青根九江先生の「花鳥画」作品にもたくさんの虫さんが描かれおり、それをじっくりがっつり拝覧させて頂いたのですが、そのおかげ? なのか、弊方、「山百合」に描かれている蝸牛さんにすぐに目が行ってしまいました。
なお、ご参考までに「青根九江」展に関する投稿済の記事についてもリンクを張らせて頂きます。
それはさておき、川端龍子先生の「山百合」が妙に気になったので、まぁ時間もあるし、軽く拝覧させて頂きまひょか?! くらいに思って、本陣記念美術館に入館させて頂きました。
弊方が入館する直前に、同年代くらいの方がおひとり入館されました。したがって、弊方がお伺いしたときの本陣記念美術館のオーディエンスは、弊方とその方の二人だけでした。
先ほどの正面写真では、看板のすぐ横に緑色の手すりがある通路が写っておりますが、この通路の奥が同館の出入口でした。
出入口から入ると吹き抜けの「ロビー」で、向かってすぐ右手に受付があり、出入口のロビーを挟んだ正面に階段があり、出入口の向かって左手に展示室①がありました。
正面の階段から2階に上がると、正面の階段を上がると、反時計周りの順で、展示室②、展示室③、展示室④、展示室⑤となって階段に戻るという、吹き抜けの周囲に4つの展示室が配置されるという、円筒形の構成となっておりました。ちなみに、展示室⑤と階段との間くらいのところに、アンケート&情報掲示のためのスペースが確保されておりました。
同館ウェブサイトによれば、本陣記念美術館の設計は、偉大なる黒川紀章先生だそうで、江戸時代の蔵をモチーフにしたものだそうです。
宮本三郎美術館にお伺いしたときに、市内の他のミュージアムを訪問するならミュージアム・パスがお得ですよと、ご案内頂いたのですが、このときは宮本三郎美術館しかお伺いするつもりがなかったので、ミュージアム・パスを購入しなかったのですが、本陣記念美術館にお伺いするのであれば購入しておけばよかったと思いました。
さて、受付でチケットを購入して、最初は1階の展示室①に気付かず、いきなり2階に上がって展示室②を見て、あれ? 1階にも展示室があるんか? と急遽1階に戻って展示室①に入ると、出品リストだけでなく、展示作品の作家紹介も配布されており、ヲタクとしてはたいへん有難かったです。
そうして、展示室①から展示室⑤までひととおり作品を拝見しました。陶磁器作品の展示が多かったのですが、一部に日本画の展示もありました。
なお、「本陣」というのは、芦城公園に元あったお城に由来するものかと思っておりましたら違いました。展示室①やその手前の映像コーナー等に解説がありましたが、小松市出身の銀行家でいらした「本陣甚一」氏の1,000を超えるコレクションをベースとした美術館とのことでした。
さて、本展「うるわし・うるわしいの美術」展をひととおり拝覧して弊方の思うところが、「何この企画展?! おっさん激萌え!!!」というものでした。
本展「うるわし・うるわしいの美術」展では図録の作成はなく、配布されていた出品リストや作家紹介には、展示構成までは掲載されておりませんでした。
これはもぉ、いちヲタクとして展示構成をメモさせてもらわんと後悔しまっせ~、往生しまっせ~(by 大木こだま師匠)ということで、再び1階に戻って、ロビーの展示室①近くの壁に掲示されていた「ごあいさつ」から要部をメモさせて頂こうと思い、愛用の鉛筆とクリップボードを引っ張り出してきてメモを始めたところ、後ろから突然に声をかけられました。
弊方、驚いて振り向くと、お声がけくださったのは受付の方で、その後ろにはもうお一方いらっしゃいました。
受付の方がおっしゃるには、本日、ギャラリートークの日なので、よろしければギャラリートークをお聞きになりますか、という旨のご案内でした。
受付の方の後ろにおられた方は、本展「うるわし・うるわしいの美術」展のキュレーターをお務めになられた、本陣記念美術館の学芸員の先生でした。
なお、弊方の前に入館されていた方は、すでに退館されており、当時、本陣記念美術館に所在するオーディエンスは弊方一人だけでした。
ということは、 おぉ! 何ということでしょう?! マンツーマンのギャラリートークということになります!!!
本展の展示構成に萌え萌え状態にあった弊方としては、お断りする理由が全くありません!!!
ということで、ぜひギャラリートークをお願いいたします!!! ということで、弊方メモを中断して、学芸員の先生と弊方との一対一のギャラリートークが開始されたわけでございます。
それでは、ギャラリートークでお伺いしたことをベースに、本展「うるわし・うるわしいの美術」展の展示構成と、解説頂いた作品の一部を、弊方の好みでいくつかピックアップさせて頂き、備忘録的に記録させて頂きます。
まずは「ごあいさつ」ですが、ポイントを一部書き写したのですが、同館ウェブサイトの本展告知ページにも、本展チラシ(フライヤー)にもほぼ同じ文が掲載されておりました。せっかくなので、なにがせっかくかわかりませんが、「ごあいさつ」から下記の一文を引用させて頂きます。
本展では、「魅力的で美しい」という基本の意味にプラスした5つの“うるわしい”意味をキーワードに、小松市が所蔵する作品群を紹介します。
学芸員の先生から最初にお伺いしたのは、本展のキーワードである「うるわしい」の漢字「麗」のなりたちでした。
「麗」という漢字は、鹿さんの角に由来するものだそうで、鹿さんのふたつの角がそろって美しいことから「うるわしい」の意味が出てきたそうです。それに由来して、展示室①の展示テーマが『一、「ならぶ、つらなる」 並・対・両』でした。出品リストの資料No. 1-7の合計7点の展示でした。
ちなみに、各展示室において展示テーマを掲載するパネルはいずれも縦長のものでした。また、展示室①では、資料No. 4「若杉窯色絵絵替八角小皿」の前に「対(つい)・両(ふたつ)」、「並(ならぶ)」、「連(つらなる)」の大きな縦長文字パネルが掲示されておりました。
資料No. 2「野風」は、堂本印象先生の掛軸作品なのですが、画面右手前に土坡が描かれ、画面左にススキが描かれ、画面右奥に二頭のシカさんが描かれるという、展示テーマ「ならぶ、つらなる」にバッチリの作品でした。
資料No. 5「瑞鳥文漆筥」は、寺井直次先生の作品で、卵の殻を使った漆工芸の作品でした。寺井先生のお名前もこの作品も初めて存じ上げましたが、卵の殻を使ってこんなにも繊細な作品を制作できるとは存じ上げませんでした。この作品は著名なようで、下記のブログでも紹介されております。僭越ながらリンクを張らせて頂きます。
資料No. 6「鶺鴒」は、幸田春耕先生による掛軸作品で二羽のセキレイさんが描かれておりました。そのすぐ横に展示されていたのが、資料No. 7「川蝉番の図長八角絵皿」で、武腰潤先生による磁器のお皿の作品でした。こちらもカワセミさんが二羽描かれており、いずれも「対・両」というテーマに応じた作品なのですが、「川蝉番の図長八角絵皿」の方は、カワセミさんが互いにそっぽを向いている感じで、かなり珍しい図像のようでした。
この作品、本展チラシ(フライヤー)に掲載されておりましたので、僭越ながらチラシを弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真からトリミングさせて頂いた図像を掲載させて頂きます。
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カワセミさんは、互いにそっぽを向いているというより、お皿の外に興味津々みたいに解釈できるのでは、という解説を頂戴いたしました。改めて拝見すると、ほんまにそんな感じに思います。
なお、「鶺鴒」を描かれた幸田春耕先生は、山元春挙先生の門下だったそうで、2008年に徳島県立近代美術館において「京都画壇に咲いた夢 - 幸田春耕、暁冶父子と京都・徳島の日本画家たち」という展覧会が開催されていたそうです。
さて階段で2階に上がって展示室②では、テーマが『二、「風景などが美しい」壮麗』で、出品リストの資料No. 8-13の合計6点の展示でした。
資料No. 8「森の道」は、東山魁夷先生の作品で、この作品も有名な作品の模様で、インターネットの安直な検索でも検出可能です。「風景などが美しい」にぴったりな作品でした。
資料No. 11「薄暮」は、小倉遊亀先生の作品で梅が描かれた作品でした。この作品に関しては、特に学芸員の先生のお話が弊方個人的にたいへん興味深かったのですが、このお話を深掘りするとさらに長くなりそうなので、泣く泣く割愛させて頂きます。
資料No. 12「竹林七賢人文木瓜形平卓」は、粟生屋源右衛門先生の陶磁器作品なのですが、小松市の指定文化財だそうで、たいへん有名な模様です。KOMATSU CITY MEUSEUMS の所蔵品検索の紹介ページに僭越ながらリンクを張らせて頂きます。
なお、粟生屋源右衛門先生のお名前は「あおや・げんえもん」とお読みするそうで、江戸時代後期に活躍された再興九谷焼の名工だそうです。ちょっとフラグが立ってます。
次に展示室③に移って、こちらのテーマは『三、「愛すべきである、いとしい、かわいらしい」』で、出品リストの資料No. 14-22の合計9点の展示でした。
川端龍子先生の「山百合」は、こちらの展示室で資料No. 15として展示されておりました。
本作の絵葉書が販売されておりましたので、弊方ゲットさせて頂きました。僭越ながら弊方の微妙なガラケー的なガラホで絵葉書を撮影した雑な写真を掲載させて頂きます。
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かたつむりさん! お分かり頂けます?!
資料No. 17「梅文曲蓋物」と資料No. 19「籠組文庫陶箱」は、いずれも先ほどの粟生屋源右衛門先生の作品なのですが、先の拝覧時にギャラリースコープでわざわざ覗いて拝見して、曲げ物とか籠とかも美術工芸品になるんや~、程度に思っていたのですが、めっちゃ違いました。
資料No. 17「梅文曲蓋物」は曲げ物風の陶磁器作品であり、資料No. 19「籠組文庫陶箱」は漆塗り編籠風の陶磁器作品でした。いずれも陶磁器作品だということを弊方全く気づいておらず、学芸員の先生のご解説で初めて気づき、えらく驚きました。先ほどのフラグ回収です。
どんだけ節穴な目ぇやねん!!! まぁ弊方、片目はほとんど見えないのですが。
そうはいうても、ほんまにわかりまへんで!!! ぱっと見ても、よく見ても、陶磁器には見えない精細な造形でした。粟生屋源右衛門先生恐るべし!!!
資料No. 20「文鳥」は、二代 中村梅山先生の磁器作品で、学芸員の先生いわく、本陣記念美術館のアイドル的な作品だそうです。
どれくらいアイドル的なのか、インターネットの安直な検索で検出された「中日新聞 2023年8月31日記事」のページに写真がありましたので、僭越ながらリンクを張らせて頂きます。画面左下の2つ目の写真をクリックしていただければ、愛らしい2羽の文鳥さんが確認できるかと思います。
ちなみに、この展示室③では、資料No. 14「山水花鳥文香炉」(越田基一先生作)と資料No. 22「細字百人一首香炉」(田村金星先生作)の二つの香炉において、それぞれ蓋の取手としてデザインされている可愛らしい龍? さんが学芸員の先生の推しとのことでした。
次に展示室④に移って、こちらのテーマは『四、「あでやか、はなやか、かがやく」美麗・華麗』で、出品リストの資料No. 23-28の合計6点の展示でした。
こちらの展示室では、資料No. 23「彩釉壺」と資料No. 24「釉裏金彩芙蓉文鉢」の間に「華麗」、資料No. 27「赤絵細描金彩龍虎図花瓶」と資料No. 28「瑞花鳥図大花瓶」の間に「美麗」の大きな文字パネルも掲示されておりました。
資料No. 24「釉裏金彩芙蓉文鉢」を制作された吉田美統先生に関しては、同館において「人間国宝「釉裏金彩」 吉田美統の景色」(2024年10月19日-12月8日開催)が開催されるとのことでしたが、「美麗・華麗」というだけあって、たいへん美しい作品群が展示されておりました。
これら美麗にして華麗な作品群の中でも、日本絵画ヲタクの弊方としては、資料No. 25「春秋美人之画」と資料No. 26「春秋美人之画」の美人画に目が行ってしまいました。
作者は紺谷光俊(こんたに こうしゅん)先生とのことでした。弊方、全く存じ上げませんで、金沢市のお生まれで、加賀藩の狩野派絵師の家系でいらして北陸画壇の重鎮でいらした画人・高村右暁(たかむら ゆうきょう)先生に師事され、その後、京都に出てこられて春挙先生に師事されたそうです。北陸画壇で活躍された「北陸の巨匠」という感じの画人だった模様です。
金沢市に所在する金沢市立中村記念美術館にて、2005年と2010年に紺谷光俊先生の展覧会が開催されていたとのことですので、弊方、金沢市立中村記念美術館もチェックさせて頂きたいと思います。
「春秋美人之画」と「春秋美人之画」も絵葉書が販売されておりましたので、弊方ゲットさせて頂きました。弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な絵葉書の写真を僭越ながら掲載させて頂きます。
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ちなみに、ギャラリートークをご担当されていた学芸員の先生は、おそらく陶磁器工芸をご専門にされているのではないかと想像され、陶磁器に関して、美術的観点だけでなく技術的や技法的な観点でも、非常にわかりやすくくわしくご解説頂きました。弊方、自称「日本絵画ヲタク」なのですが、「日本陶磁工芸ヲタク」に宗旨替えしそうになるくらいに魅力的な解説だったと思います。
次に展示室⑤に移って、こちらのテーマは『五、「整っていて美しい」端麗』で、出品リストの資料No. 29-34の合計6点の展示でした。
こちらの展示は、まさしく端麗! という感じの作品からチャレンジ的な端麗? という作品まで展示されておりました。
個人的には、資料No. 30「作品´86-3 空」という洋画(油彩画)がインパクト大でした。モノクロ画面で多数の空き缶が山積みされていて空き缶が一つだけ鮮やかにカラーで描かれている感じのコンテンポラリー的な作品でした。作者は、小松市ご出身の生地太久(しょうじ たく)先生という方で、会社員をされながら作品を制作し発表を続けられたそうなのですが、1998年にくも膜下出血により53歳で逝去されたそうです。
また、資料No. 33「柿」は、徳岡神泉先生の作品でした。こちらに関しても、先ほどの小倉遊亀先生の「薄暮」と同様に学芸員の先生のお話がたいへん興味深かったのですが、もうすでに本記事がやたら長いので、泣く泣く割愛させて頂きます。
さて最後です。2階の展示室⑤において、1階につながる階段横の展示スペースでは『最後に「ご機嫌麗しゅう」』とあり、資料No. 35「福禄寿置物」(中村翠恒先生作)が展示されておりました。
やっぱり「麗しい」とくれば、締めは「ご機嫌麗しゅう」ですね!!!
外法頭の福禄寿さまの表情がたいへん味わい深い感じで、「本展はどないでしたか?! ほな、ご機嫌麗しゅう」というてくれてはるみたいな印象を受けました。
しかしながら、展示はこれで終わりではありませんでした。
この「福禄寿置物」の横には『あ・うん』の縦長パネルが掲示されており、資料No. 36「陶製狛犬」という白い陶製の獅子さんと狛犬さんのペアがいらっしゃいました。
この作品は、制作年も作者名も不詳とのことで、学芸員の先生によれば、技術的にも高度なものとは言い難いらしいとのことでした。そうすると美術作品としての価値も微妙なのかもしれないと推測されるのですが、これがまた、えぇ味出してはるんですわ。
阿形の獅子さん(たぶん)が「おつかれさま~」、吽形の狛犬さん(たぶん)が「また来てね~」とか言うてはる感じがして、うん、おっちゃんまた来るわ! と言うてしまいそうな感じでした。写真撮影したかったです。
このようにして、マンツーマンのギャラリートークは終了しましたが、弊方的には大満足でした。
改めて本展「うるわし・うるわしいの美術」展を振り返ると、「うるわしい(麗しい)」という言葉を始まりとして、この言葉の多義性に基づいて展示の主柱というか流れが構成され、これに合わせてコレクションを構成する多様な作品が感性に基づいて当てはめられて、一つの展覧会が構成されるという、論理と感性との絶妙な均衡が成立したコレクション展であったのではないか、というのが弊方の一方的な所感です。
ギャラリートークの間、学芸員の先生のお話をお伺いすることに集中していたので、いろいろメモすることを失念しており、ギャラリートークが終了した後、三たび本展「うるわし・うるわしいの美術」展を拝見して、ギャラリートークを思い出しながらメモさせて頂きました。
そのせいで予定していた新幹線に乗り遅れました。まぁ、自由席を取っておりましたので、乗り遅れてもかまわないのですが、乗り遅れると敦賀からの接続が悪いんですわ・・・
ということで、小松市立本陣記念美術館も、これからぜひチェックさせて頂き、改めてお伺いさせて頂きたいと思います。
最後に、なぜか小松市には、ポムポムプリンのプリンくんたちがいたるところにいらっしゃり、小松駅にもフォトスポットがありましたので、おっさん思わず微妙なガラケー的なガラホで撮影させて頂きました。僭越ながら写真を掲載させて頂きます。
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もう決め台詞のようになっておりますが、記事がえらく長くなってしまい申し訳ありませんが、最後まで閲覧頂きありがとうございました。