桑名市博物館の「洋画家」神内生一郎展
閲覧ありがとうございます。日本絵画一愛好家です。
2023年盛夏の過日、三重県桑名市の桑名市博物館にて開催されておりました「初夏の企画展 生誕200年 帆山花乃舎」展(2023年6月10日~7月9日)を拝覧してまいりました。
本年2023年も暮れようとする時期ですので、半年以上前ですね。
2024年に入りましても弊方、本年2023年に訪問させて頂いた展覧会関係を、できる限り備忘録として記事化させて頂きたいと思っております。
さて帆山花乃舎先生といいますと、幕末から近代初期にかけて活躍した「知られざる?」やまと絵師と申し上げてよいのではないかと考えております。弊方が修飾するところの「知られざる?」とは、現代において一般的に知られていない(のではないか)という程度の意図です。
おそらく花乃舎先生は、ご存命中もお亡くなりになった後でも、少なくとも桑名市を含む伊勢から尾張にかけては著名な画人でいらっしゃったのではないかと妄想的に推測しております。その理由の一つとして、花乃舎先生が「法橋」の僧位をお持ちだったらしいことを挙げさせて頂きます。
・・・あれ? 表題と記事本文が一致していないのではないか?! みたいな感じになってしまっておりましたが、そうではございません。
桑名市博物館では、「初夏の企画展 生誕200年 帆山花乃舎」展と同時開催というかたちで、「特集陳列」として「二人だけの世界-神内生一郎の肖像画-」展が開催されておりました。
冒頭に掲載させて頂いた写真は、同館正面入口横に展示されていた同展のポスターを、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影したものです。
よく見て頂けると確認できるかもしれないのですが、ポスターの大きく赤い明朝体の「帆山花乃舎」の「乃舎」のすぐ下、ゴシック体「2023」のすぐ上に、小さく「二人だけの世界-神内生一郎の肖像画-」展について掲載されております。同館掲示板に掲示されていたポスターを、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した写真も掲載させて頂きます(車映ってますね)。
「生誕200年 帆山花乃舎」展と「二人だけの世界-神内生一郎の肖像画-」展の展示構成を、弊方の記憶に残っている限りで説明させて頂きます。
桑名市博物館のウェブサイトに館内マップが確認できませんでしたので、弊方の主観で説明させて頂きますと、桑名市博物館の正面入口から館内に入ると、向かって右に受付があり、正面が階段であり、向かって左にホワイエ的なスペースがあり、そのさらに奥に1階の展示室があります。
1階展示室は、入口(ホワイエ)側から見て向かって右に大きな展示室があり、奥の壁面を除いて壁面展示ケースが設置されていたと記憶しています。一方、入口側から見て向かって左は、細長い回廊のような展示室で、特に壁面展示ケースは設置されていなかったと記憶しております。
なお、正面入口の正面の階段を上ると2階展示室につながっておりますが、この階段と2階展示室横の廊下に、過去の企画展等のポスターと解説に加えて入場者数まで掲載されており、これらを拝見するだけでもたいへん堪能できます。2階展示室は、手前側と廊下側に壁面展示ケースが設置されており、奥側が常設展示で、主に、1枚の紙から多くの折り鶴を折る「桑名の連鶴」という、桑名市無形文化財が展示されていたと記憶しております。
「生誕200年 帆山花乃舎」展は、1階展示室の右側の大きい展示室と2階展示室の一部で開催されており、「二人だけの世界-神内生一郎の肖像画」展は、1階展示室の左側の回廊風展示室で開催されていたと記憶しております。なお、2階展示室の一部では、もう一つの特集陳列「刀剣セレクション1 -刀鍛冶の郷・桑名の刀工-」が開催されていたと記憶しております。
ところで、本展に関して、弊方にとって予想外で激萌えであったのが、おそらく桑名市立博物館の学芸員の先生や職員の皆さま方の手づからで制作されたと推測される、美しく格調高い「うすいほん」、カラーコピー/カラープリンター製(?)の素晴らしい冊子でした。
このステキ「うすいほん」を、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した写真(なんか影映ってますね)を掲載させて頂きます。
合計18ページ! 表紙1と表紙4を入れると合計20ページ! そのお値段もお手頃! まちがいなくお値段以上の労力が費やされているはず!!!
弊方、けっこう多くの展覧会を拝覧させて頂いたつもりですが、作品リスト以外に補足的な資料を制作されていた事例はありましたが、ここまで気合い入れて冊子を制作された事例は初めてかと思います。おっさん激萌え!!!
ご参考までに、本展「うすいほん」について言及されている、【三重県】桑名市博物館応援アカ【非公式】さまの旧Twitter現Xの旧ツイート現ポストについてリンクを張らせて頂きます。
さて、本題の「二人だけの世界-神内生一郎の肖像画-」展に入らせて頂きます。前置きが長くて申し訳ありません。帆山花乃舎先生と「法橋」については、改めて記事化させて頂きたいと考えております。
「生誕200年 帆山花乃舎」展の冊子にも「二人だけの世界-神内生一郎の肖像画-」展について言及があります。同冊子の「ごあいさつ」から、僭越ながら下記の紹介文を引用させて頂きます。なお、引用箇所の〔〕内は原本ではルビです。
神内生一郎先生(1895~1977)は、名古屋を中心とする東海地域において、戦前から広告デザインのパイオニア的な存在であったそうです。
桑名市博物館では、2020年6月2日から6月28日にかけて、神内先生がデザインしたポスター作品をメイン展示する「東海のポスター創世記」という展覧会が開催されておりました。同展の開催自体は弊方も存じ上げておりましたが、お伺いすることはありませんでした。
今から考えれば何で行かへんかったんじゃぁ!! 弊方のあほー! ぼけー! かすー! なすー! ズッキーニ!!!
本展では、神内生一郎先生は、広告デザイナーとしての「神内生一郎」ではなく、「洋画家」としての「神内生一郎(素翠)」に注目した「展覧会」(特集陳列)であった模様です。
神内生一郎先生は、東海美術協会に所属する洋画家であったそうで、本展では、肖像画作品に絞り込まれて展示されておりました。
写真が少なくて何となく寂しいので、配布されておりました同展の作品リストと入館券の半券を、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した写真を下記に掲載させて頂きます。
さて、「生誕200年 帆山花乃舎」展の冊子の前記「ごあいさつ」では、先に引用させて頂いた紹介文に引き続いて、次のような、展示内容を主観的に要したような紹介文が記載されておりました。僭越ながらこちらも引用させて頂きます。
上記引用箇所の「画家とモデル、二人だけで過ごしているかのような親密な世界の空気感」についてですが、本展(特集陳列)で展示されていた作品および資料群は、おそらくご遺族からの寄贈品だった模様です。そのためか、肖像画のモデルは、神内生一郎先生のご親族の方が多かったです。
そのなかでも弊方にとって強く印象づけられたのが、作品No. 6の「神内幸雄」、同No. 7の「神内育子死せる顔」、同No. 8の「美生子之像」、同No. 17の「金魚鉢」でした。
これら作品については、敢えて詳細に言及することはいたしません。おっさん忘れてるんとちゃうんか?! とお思いでしょうが、まぁ否定できませんが、弊方にしては、たいへん鮮烈な記憶が残っております。
かつて、偉大なる荒川弘先生の名作『鋼の錬金術師』を拝読したときに、亡くなったお母さまをエルリック兄弟が錬金術で復活させようとしたエピソードにて、弊方、父が死んだときを思い出したのですが、これら作品群を拝見して解説を拝読して同じような想いが導き出されました。
これら作品をお描きになったときに、神内生一郎先生は、あまりにも大きい喪失感を埋めるためにどうしても描かざるを得なかったでしょうか、それとも、ひとりの画家として眼前のモチーフを冷静に描かれたのでしょうか、そういうことを考えてしまいました。
こればかりは誰にも分らないと思うのですが、描かれたお子様方のお顔がたいへん穏やかで、あるいは、在りし日のご様子が想われ、年食ってより一層へにょへにょになったせいかもしれませんが、おっさん思わず目がかなり潤んでしまいました。
もちろん弊方が本展で印象に残ったのはこれら作品だけではありませんでした。肖像画以外の作品もポスターなどの広告デザイン作品もぜひ拝見してみたいと強く思いました。
神内生一郎先生に強い興味を持ちましたので、インターネットで安直にいろいろ調べてみましたが、情報が少ないですね。桑名市博物館では、2004年に企画展「小林研三・神内生一郎展」が開催されていた(2004年12月7日~2005年1月23日)ことが分かったくらいで、これといった情報はほとんど見出すことができませんでした。
ただ、本展に関する追加的な情報として、「三重県博物館協会(仮)ブログ」が確認できました。その中に、2023年6月30日の記事として、本展をご担当された学芸員の先生のご投稿がありました。下記に当該記事のリンクを張らせて頂きます。
この記事の中には下記の記載がありました。リンク先で確認できますが、弊方には強く響きましたので、僭越ながら引用させて頂きます。
弊方、生一郎先生の想いに触れることができたか否かわかりませんが、本展を拝覧することができて、たいへん幸せだったと思います。弊方は本展を2023年の一押し展覧会と位置付けさせて頂きたいと思います。
とはいうものの、弊方の「一押し展覧会」は、欧州のなんちゃらセレクションの金賞並みにインフレ気味なところがありますので、その点は何卒ご容赦頂きたく思います。
もし機会がありましたら神内生一郎先生の作品をもっと幅広く拝見したいぃぃぃ、ということで、偉大なる桑名市立博物館さまに一方的に期待させて頂いてる次第です。
・・・また4,000字超えてしまいました。だらだらと長い記事で申し訳ありませんでした。