虎姫時遊館(滋賀県長浜市)「近江の画人展」展(2023, 2024)
閲覧ありがとうございます。日本絵画一愛好家です。
さて、もう4ヶ月ほど前になってしまいましたが、本年2024年の初春の過日、滋賀県長浜市虎姫(旧東浅井郡虎姫町)の虎姫時遊館にて、2月11日から2月26日という2週間と短い期間ではありましたが、「湖北の画人愛好家グループ」という有志の方々により開催されていた企画展「近江の画人展パートII(明治~昭和)」を拝覧して参りました。
「パートII」ということは「パートI」も開催されていた、ということで、同館虎姫時遊館では、2023年2月10日から2月25日にかけて「近江の画人展パートI(江戸~明治)」が開催されており、弊方、この「パートI」も2023年の初春の過日に拝覧させて頂きました。
まずは、虎姫時遊館の公式ホームページに僭越ながらリンクを張らせて頂きます。
この公式ホームページは以前は頻繁に更新があったのですが、最近は更新がほとんどなく、G のつく世界的検索エンジンにより「虎姫時遊館」のキーワードで安直に検索しても上位には検出されなくなっております。
本記事の作成時点でも同館の公式ホームページに非常につながりにくくなっております。かなり待機しないとつながらない感じでした。
まぁ、最近の G のつく世界的検索エンジンは、SNSの検索と競合している関係なのか、インデックスの作り方が直近の流行に大きくシフトしているようで、更新の少ないウェブサイトはすぐにインデックスから外しているような印象を持っております。弊方みたいにアーカイブ的な情報をちまちま検索しようとする者にとっては非常に不便に感じております。
閑話休題、虎姫時遊館は、公設の施設ではなく、株式会社まちづくり虎姫という法人が運営されている民間の施設で、JR北陸線の虎姫駅から徒歩で15分くらいのところです。
虎姫駅は出口が一つで、そこから生活道路のような感じの細い道(県道らしいのですが)を通って(直線道路がないので2回ほど曲がって斜めの道を通ります)、駅の正面側に向かって県道263号(丁野虎姫長浜線:ようのとらひめながはません)に到達すれば、そこからは左手に曲がって北側に向かってまっすぐ行くと、田川という川に架かる「世々開橋」(「せせらぎはし」というそうです)に出ますので、この橋の手前を右折して田川沿いを歩くと、虎姫時遊館が見えてきます。
ということで、虎姫時遊館を弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を掲載させて頂きます。なお、こちらの写真はパートIのときの写真です(あまり違いはないと思いますが)。
虎姫時遊館の大きさは、おそらく一般的な公民館やコミュニティセンターと同じくらいの規模だと思います。弊方の住んでいるところが結構な田舎ですので、田舎と都会で公民館やコミセンの大きさに違いがあるのかどうなのかわからないのですが、たぶん同じくらいではないかと思います。
まずは同館の入口を紹介させて頂きます。弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を僭越ながら掲載させて頂きます。こちらの写真はパートIIのときの写真です。
なお、パートツーといいましても、今日のおこしをありがとぉ/あ、よいしょ!、いわおこし~/あ、そーりゃ!、あわおこし~/あ、どっこい!、ようおこし!! の元祖ショートコントといっても過言ではない伝説の漫才コンビ、パート2のお二方ではございません。
おっさん調子乗りました、申し訳ありません。
さて、先ほどの入口を入らせて頂きますと、ホワイエみたいな感じになっておりまして、右側に廊下が伸びており、その廊下から見て左側、入口から見て建物の奥側が、壁面ガラス展示ケースが設置される「展示室」となっておりました。
さらに廊下を進むと、どんつき(廊下の終わり)の左手側(展示室の隣)が「交流サロン」となっており、どんつきの右手側、交流サロンから見て建物の手前側がロビーとなっておりました。
入口の正面くらいのところが、和室の「小研修室」で、入口左手が「大和室研修室」となっておりました。
本展「近江の画人」展は、「展示室」、「交流サロン」、「小研修室」で作品が展示されており、主催者である「湖北の画人愛好家グループ」の皆さま方は「ロビー」におられたと記憶しております。
それではまず、昨年2023年2月に開催された「近江の画人パートI」の展示構成の概略について、僭越ながら紹介させて頂きたいと思います。
入口に設置されていた、パートIの立て看板を、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を、僭越ながら掲載させて頂きます。
また、パートIのチラシ(フライヤー)を弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真も、僭越ながら掲載させて頂きます。
パートIでは、江戸時代から明治まで、滋賀県出身または滋賀県と縁の深い画人の先生方32名の合計113作品が展示されておりました。画人名(出身地/滋賀県との縁):作品数、という凡例で次の通りまとめさせて頂きます。
1 海北友雪(不肖):2作
2 高田敬輔(日野町):6作
3 横超院眞央(不肖):1作
4 円満院祐常(京都/円満院は大津市):1作
5 月岡雪鼎(日野町):2作
6 高嵩谷(江戸/米原説有):3作
7 円山応挙(京都府亀岡市/円満院祐常の庇護):4作
8 紀楳亭(山城国鳥羽/大津在住・「近江蕪村」):6作
9 市川君圭(米原市):6作
10 市川君章(不肖):2作
11 橘雪嶹(長浜市高月町):1作
12 横井金谷(草津市):2作
13 張月樵(彦根市):6作
14 僧 玉潾(草津市):2作
15 山縣岐鳳(京都市/長浜市移住):5作
16 堀田正民(江戸/長浜市の宮川藩藩主):2作
17 狩野永岳(京都/彦根藩御用):2作
18 中島来章(大津市/信楽?):2作
19 広瀬柏園(彦根市):4作
20 中川雲屏(長浜市):5作
21 佐竹永海(福島県/彦根藩御用):7作
22 青根九江(彦根市):2作
23 八木奇峰(長浜市):13作
24 清水天民(米原?):1作
25 雪亭尚明(不肖):2作
26 塩川文麟(京都/日野町寓居):2作
27 長谷川玉峰(京都/日野町滞在):1作
28 淡海槐堂(長浜市):2作
29 江馬天江(長浜市):2作
30 岸竹洞(彦根市):7作
31 河崎顕成(長浜市):1作
32 野村文挙(京都/生家が東近江市五家荘の近江商人):7作
なお、パートIでは、表紙1-4、本文12ページ、本展チラシが挟み込まれた無料のパンフレットが制作されて頒布されており、上記の画人の先生方32名に関する情報は、こちらのパンフレットに基づいております。
僭越ながら、パートIのパンフレット表紙を、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を掲載させて頂きます。
次に、本年2024年2月に開催された「近江の画人パートII」の展示構成について、僭越ながら紹介させて頂きたいと思います。
入口に設置されていた、パートIIの立て看板を、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を、僭越ながら掲載させて頂きます。
また、パートIIのチラシ(フライヤー)を弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真も、僭越ながら掲載させて頂きます。
パートIIでは、明治から昭和まで、滋賀県出身または滋賀県と縁の深い画人の先生方36名の合計116作品が展示されておりました。凡例は先ほどのパートIと同じです。
1 中川耕斎(長浜市):2作
2 大橋文岱(彦根市):2作
3 野口小蘋(大阪府/近江八幡市野口家に嫁ぐ):1作
4 内海吉堂(敦賀市/滋賀県多賀で漢学を学び彦根市等に滞在):3作
5 深田直城(大津市):1作
6 長谷川玉純(京都市/大津市移住):1作
7 邨松雲外(東近江市五箇荘町):3作
8 巌谷小波(東京都/父一六は甲賀市水口出身):2作
9 山元春挙(大津市):4作
10 片山雅洲(長浜市):13作
11 清水節堂(長浜市):7作
12 渡辺公観(大津市):3作
13 加納凌雲(長浜市):1作
14 杉本鳩荘(長浜市):2作
15 柴田晩葉(大津市):7作
16 加藤玉亭(長浜市):2作
17 山元桜月(大津市):4作
18 黒田重太郎(大津市):2作
19 八尾峻堂(石川県加賀市/長浜市移住):5作
20 永田麦翠(大津市):1作
21 疋田春湖(大津市):2作
22 野添平米(草津市):6作
23 宇治橋春年(長浜市):9作
24 三家玉雅(米原市):1作
25 茨木杉風(近江八幡市):6作
26 杉山耕春(長浜市):2作
27 堤幽泉(長浜市):1作
28 国友敬三(長浜市):5作
29 島戸繁(岐阜県山県市/彦根市へ転居):2作
30 沢宏靭(長浜市):2作
31 佐分利佐又(長浜市):2作
32 寺島白耀(彦根市):2作
33 中野芳樹(守山市):1作
34 松本昇士(長浜市):1作
35 中路融人(京都市/母故郷が東近江市五箇荘町):4作
36 鈴木靖将(大津市):4作
もちろん、パートIIでも無料のパンフレットが制作されて頒布されておりました。このパンフレットも表紙1-4、本文12ページで、本展チラシが挟み込まれておりました。上記の画人の先生方36名に関する情報は、こちらのパンフレットに基づいております。
僭越ながら、パートIIのパンフレット表紙も、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した雑な写真を掲載させて頂きます。
なお、パートIIで展示されていた画人の先生方は、鈴木靖将先生以外はいずれも故人でした。鈴木靖将先生は、陶芸家である鈴木晴嵐先生とともにウェブサイトを解説されておりますので、僭越ながらリンクを張らせて頂きます。
以上ここまで、パートIとパートIIの展示作品でした。
展示構成からも明らかなように、とても有志のグループが開催された展覧会とは思えませんでした。
展示されている作品数も、作品の質も、日本絵画愛好家としては、凄まじく素晴らしいとしかいいようがない、おっさん激萌え展覧会でした。
特に、「交流サロン」と「小研修室」で展示されていた作品群は、いずれも展示ケースに入っておらず露出した状態での展示で、手を伸ばせばすぐに手が届くほどの至近距離でしたので、凄まじく見応えがありました。
なお、弊方、先日の投稿いたしました下記の記事で、邨松雲外先生の作品を拝見したことはこれまでなかった旨申し上げておりましたが、「近江の画人パートII」で既にがっつり拝見させて頂いておりました。謹んで訂正させて頂きます。
展示されていた画人の先生方のうち、高田敬輔先生は、かつて滋賀県立近代美術館(現滋賀県立美術館)と栃木県立美術館の巡回で、小泉斐先生とともに展覧会が開催されておりました。紀楳亭先生と横井金谷先生は、大津市歴史博物館や草津市立草津宿街道交流館で企画展が開催されておりました。
張月樵先生は、2021年に彦根城博物館で企画展が開催されており、狩野永岳先生と佐竹永海先生も彦根城博物館でかつて企画展が開催されていた模様です(現在も図録が販売中です)。
青根九江先生は、本記事の投稿時点で、彦根城博物館にて企画展が絶賛開催中です。弊方、早速拝覧して参りました。
山縣岐鳳先生と八木奇峰先生は、かつて長浜市長浜城歴史博物館で企画展が開催されていた模様です。沢宏靭先生も2012年に歿後30年展ということで長浜城歴史博物館で企画展が開催されていたそうです。
中川耕斎先生については、2022年に長浜城歴史博物館にて企画展が開催されており、弊方がっつり拝覧させて頂きました。
岸竹堂先生は、1987年というかなり前に、旧滋賀県立近代美術館にて展覧会が開催されていたそうです。
野村文挙先生、邨松雲外先生、中路融人先生については、先ほどの投稿記事「東近江市近江商人博物館「商家の美術展」(-2024.6.30)」で紹介させて頂いた通り、東近江市近江商人博物館・中路融人記念館にて企画展が開催されております。
山元春挙先生については、ビッグネームですので、先ほどの投稿記事「東近江市近江商人博物館「商家の美術展」(-2024.6.30)」をご参照頂ければと思います。
内海吉堂先生については、昨年2023年に敦賀市立博物館で展覧会が開催されており、弊方、前期後期のいずれも拝覧させて頂いております。
野口小蘋先生についても、春挙先生と同じくビッグネームです。山梨県立美術館、東京都渋谷区の実践女子大学香雪記念資料館、滋賀県でいえば、愛知郡愛荘町の愛荘町立歴史文化博物館等で展覧会が開催されております。
巌谷小波先生については、甲賀市の水口歴史民俗資料館において、2020年に、電子展示「巖谷小波生誕150周年記念ーコドモ文化と巖谷小波」という企画展が開催されていたことを確認しております。
片山雅洲先生については、今は同じ長浜市ですが、旧伊香郡高月町の高月観音の里歴史民俗資料館にて2013年に、布施美術館名品展「湖北の農民画家・片山雅洲 ~その修業と交友~」という特別陳列が開催されており、弊方、この企画展は拝覧させて頂いております。
また、本年2024年には、1月24日から3月11日にかけて高月観音の里歴史民俗資料館にて「近江・伊香の画人たち~長浜市北部に花開いた画業~」という企画展が開催されており、片山雅洲先生に加えて、橘雪嶹先生、藪田月湖先生、小森竹塘先生の作品が展示されておりました。
弊方、この「近江・伊香の画人たち」展を拝覧した後に、本展「近江の画人パートII」展にハシゴして拝覧させて頂きました。
清水節堂先生については、やはり今は同じ長浜市ですが、旧東浅井郡浅井町の浅井歴史民俗資料館にて、2017年に「清水節堂-浅井の画人-」という企画展が開催されていたそうです。弊方、この展覧会については全く存じ上げておりませんでした。
宇治橋春年先生については、こちらも全く存じ上げていなかったのですが、やはり浅井歴史民俗資料館にて、2009年に「郷土の画人 宇治橋春年」展という企画展が開催されていたそうです。
今回のパートII展では、虎姫時遊館の和室の「小研修室」で宇治橋春年先生の屏風作品等が展示されておりました。宇治橋春年先生の作風は、「高精細画人」こと池上秀畝先生に近い感じがする、濃密な花鳥画が多く、たいへんインパクトがあり美麗でありおっさん激萌え状態でした。
なお、池上秀畝先生については、下記の記事を投稿させて頂いておりますので、ご参照頂けますと幸甚です。
このように、本展「近江の画人」展は、パートIおよびパートIIのいずれも、既に展覧会/企画展が開催されている著名な画人の先生方が含まれているのですが、それだけではなく、未だ展覧会/企画展が開催されていない、言い換えれば研究途上の画人の先生方までもが注目されて、作品が展示されております。
それゆえに、「近江の画人」展を主催された「湖北の画人愛好家グループ」の皆さま方は、たいへんな企画力と行動力と情熱とをお持ちであり、単なる一愛好家に過ぎない弊方は、強く深く尊敬させて頂いております。
パートII展では、「湖北の画人愛好家グループ」の方々と少し話をさせて頂いていたのですが、虎姫時遊館では以前から滋賀県/近江国の画人の企画展を開催されていたそうです。インターネットの安直な検索によれば、例えば、次のような記事を検出することができました。
2016年にも、昨年および本年と同様に「湖北の画人」展が開催されており、このときは、27名の画人の先生方の48点の作品が虎姫時遊館で展示されていた模様です。このように、虎姫時遊館では、毎年「湖北の画人愛好家グループ」の方々による企画展が継続的に開催されている模様です。
来年2025年には、滋賀県を代表する宗教画家である杉本哲郎先生の企画展を企画されているそうです。ただ、大型の下絵を展示することがなかなか難しいらしい旨をお伺いしました。
パートIIのパンフレットの冒頭の「「近江の画人Ⅱ(明治~昭和)」展に寄せて」から、下記の通り引用させて頂きます。
杉本哲郎先生については、1998年に滋賀県栗東市(当時栗太郡栗東町)の栗東歴史民俗博物館において、企画展「宗教画家・杉本哲郎」展が開催されており、2022年10月29日から12月11日には、長浜市長浜城歴史博物館と長浜市曳山博物館において、「西田天香生誕一五〇年・杉本哲郎生誕一二三年記念 西田天香と杉本哲郎-長浜ゆかりの偉大な思想家と芸術家」という展覧会が開かれております。
「西田天香と杉本哲郎」展については、弊方、お伺いしてがっつり拝覧させて頂いております。
また、杉本哲郎先生といえば、現在休館中の滋賀県立琵琶湖文化館の壁画が有名だと思います。例えば、琵琶湖文化館のウェブサイトの下記の記事、あるいは、朝日新聞ウェブサイトの下記の記事に、僭越ながらリンクを張らせて頂きますので、ご参考頂けますと幸甚です。
弊方といたしましては、「湖北の画人愛好家グループ」のご活躍を来年も期待させて頂きたいと思います。
やはり長くなってしまいました。申し訳ございません。最後まで閲覧頂きありがとうございました。
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