【考察】宝鐘マリン船長の新曲「幽霊船戦」がヤバすぎるので考察してみた
Ahoy!🏴☠️
普段は短編小説をアップしています、淡園織葉といいます。
みなさん、ホロライブ3期生の宝鐘マリンさんが7/30にアップした新曲、もう聴きました? MV見ました? いいよね。
もう見たよって方もまだ見てないよって方も、とりあえず見ましょう。船長をすこれ。
私はもともと船長大好きだったので、もちろん今日(7/30)の生誕ライブも楽しく見ていたんですが、その直後に発表された新曲「幽霊船戦」のMVを見た瞬間、それまでの和やかな気持ちが吹っ飛んでしまいました。
「え、なんこれ……作画も歌も、もちろんヤバいけど、このMV……なん、なんっこれ」
語彙が消失したのは私だけじゃないはず。そう思ってTwitterで一味(船長のファンネーム)のツイートも漁ってみたところ、出るわ出るわ、伏線と考察のオンパレード。こんなん一コマずつ止めてみないと気付けないだろ、って内容をスクショしてる方も居ました。流石は調教された一味たち。
ということで、一晩中考察と調査をし続けてたどり着いた結論をまとめます。また、船長の新曲MVに隠された謎や考察、小ネタちっくな隠し映像もご紹介。だるい場合は目次から飛んでもOKです。
そもそも「幽霊船戦」のストーリーは?
幽霊船戦というタイトルのとおり、幽霊船にマリン船長(?)が乗り込んでいき、その船の主と対峙する、というのが大まかなストーリー。もう少し細かく、動画と一緒に場面ごとの展開を見ていきましょう。
バラの花を献花?して上着を着る船長
0:02~0:08までのシーンでは、バラの花を献花する誰かの手と、上着を着る船長?のイラストが。その背景では海図と海賊船が描かれ、×印の付いた場所へ船でたどり着いたことが示唆されています。この×印が幽霊船の場所であることが見て取れますね。
つまり船長?らしき人物が支度を終えて、幽霊船の場所へ向かったよ、という内容になっています。そうなると残るのはバラの花の意味なんですが、これは後半の考察で語らせてください。
ちなみに、バラの花は過去のオリジナル曲「マリ箱」でもモチーフとなっていた花なのでこの時点で「マリ箱と関係してんじゃね?」ってピンときた方も多かったのでは?
宝石を左手に持ち、窓辺で眠る?女性の姿
0:09~0:16は宝石を手にしたまま窓辺で眠る女性の姿。後々分かるのですが、これが幽霊船の主です。
幽霊船を見上げる船長?の後ろ姿と最強美麗ロゴがどーん!
0:17~0:22では幽霊船を見上げる船長らしき人物の後ろ姿とタイトルロゴが!ロゴ、素晴らしいです。saku㊴さんのデザインとのこと。平成Loveなのでこの初期のボカロ曲のPVっぽい演出というか、ちょっと昔のアニメのOPらしさみたいなものがめちゃくちゃ刺さるんですよね。船長、愛してます。
ここの画像にはポイントが多分に含まれているんですが、まず画面下部に小さな船が見えますね。これはいわゆる曳舟と呼ばれるもので、大型船を引っ張ったりするために使われるボート的な船です。船長らしき人物はこの船に乗って、大きな幽霊船の元までたどり着いたと考えられます。
ちなみにこのロゴ表示の瞬間、サブリミナル的に先ほどの宝石が水中に落ちるコマが一瞬表示されます。これもこのMVのテーマを象徴するめちゃくちゃ重要なコマなんですが、この時点ではまだ何のことか分かりません。分からなくていいんです。一緒に悩んで踊りましょう、船長の手のひらの上で。
あと、サブタイトルの「Dead Ma'am’s Chest」もかなり大きな手掛かりなんですが、ここではあえてぼかします。一緒に悩んで踊りま(ry
幽霊船へ乗り込み、主と対峙する
0:32からはいよいよ幽霊船へ乗り込み、甲板を通って船内へ。
次の瞬間、0:39でようやく船長?の顔に光が当たります。
この時点で気付いた一味には敬礼を送りたいんですが、実はここでこの人物がマリン船長ではないことが判明します。どこで分かるかというと、瞳の色です。マリン船長はオッドアイ(片目が別の色)で、右目が黄色、左目が赤色なんですね。
でもこの船長風の少女は右目が赤。しかし見た目は瓜二つ。いったいどういうことだってばよ……。
0:43では、船内への入り口を持っていた刀で切り刻み、強引に押し入る船長風の少女。ここにもサブリミナルで一瞬モノクロの少女の瞳がアップで映ります。
0:53では、船内を物色しているときに一つの宝石を見つけます。その宝石がこちら。
冒頭で水中に落ちるシーンが描かれていた、あの宝石。そして窓辺で眠る少女が手にしていたあの宝石に、よく似ています。
幽霊船の主が登場し、エグすぎる戦闘シーンへ
1:00あたりで、ついに船の主が姿を現します。
ちなみにこのシーンの裏で流れている歌詞は
「無謀な赤よ」
「若き盗人よ」
「命を以て後悔に代えさせてやろう」
です。主、めちゃくちゃ怒ってます。
と、ここで注目して欲しいのが主の瞳。右目が黄色、左目が赤色なんですね。あれ、その設定どこかで……。
などと思っているとド派手な戦闘がスタート。主は幽霊らしくエスパー、船長風少女は圧倒的速度と技術で剣術を繰り出します。若い。
このシーン、作画がヤバいのは当然なんですが、個人的には「ぼっち・ざ・ろっく」の最終回、文化祭で喜多ちゃんがぼっちちゃんの代わりにギターを演奏するシーンに通ずるものを感じました。
主の口元が隠されているんです、おそらく意図的に。こちらは表情を読み取れないので、どこか不気味で、ぴりっとした印象を受けます。船長風の少女が挑発的な笑みを浮かべているのに対し、主の口元は結構しっかり隠されていて、この辺りが巧みだなぁと感じていました(早口)
船長風の少女が戦闘を制しお宝のもとへ。しかし主も復活
画面が暗転したのち、1:50秒あたりからは首を振る骸骨の影が。
これはこの幽霊船の乗組員でしょうか。
船が幽霊船に、主が幽霊に、乗組員は骸骨になっています。
2:15からは、主を倒し、お宝を手に入れたのでトンズラしようとする船長風の少女の姿が描かれます。
先制攻撃を喰らい、お宝を置いて退却する船長風少女。
逃げた少女を追いながら主は握ったナイフに力を込めて、乗組員たちに指示を出します。骸骨だった彼らは一瞬で黒い肉体を手に入れました。この従順さ、一味に通ずるところがあるなぁ……(すっとぼけ)
捕らえられた船長風の少女を見下ろす主。
少女は最後の抵抗と言わんばかりに主を振りほどき、背後にあった箱を蹴り上げます。上手く蓋が外れた、その瞬間。
箱から眩い光があふれだします。
それにしてもこの箱、どっかで……(すっとぼけ)
この光が主の瞳に差し込んだ瞬間、主の回想と思われるシーンに突入します。
主の回想と、主の正体と、少女の正体
3:05からは主の回想シーンに突入しますが、まず見えるのはあの宝石と、少女の赤い左目。ここまできてすっとぼけてはいられないでしょう。
明らかにこの少女はマリン船長で、ここが主の回想内であることを踏まえても、もう主はマリン船長で確定です。
まだ健在だった一味と仲良く過ごすシーン。この辺でもうちょっと泣いてました。演奏が静かになって、ほとんど船長のアカペラ状態で曲が進むのもあって、涙腺にクるんです。ここ。
サプライズ、と称して紹介されたのは一つの宝箱。回想に繋がるきっかけとなったあの箱であり、マリ箱でもあります。この箱をみんなで開けてみることに。
この箱を開けた瞬間、煙のようなものが立ち上り、景色は一変。
背景が黒から白へ。そして宝箱の中には大量のお宝たち。しかし喜ぶ船長の周りには、なぜか、誰も居なくなっているのです。
その後、船長の身体は宙に浮き、髪の毛は本来の色を取り戻していきます。純紅のバラのようなその赤色は、痛々しい胸元の傷にも。
見上げる少女の目は、船長が手に握る宝石を捉えます。
少女は右手を振りかぶり、船長を止めるのかと思いきやその手を上に掲げます。まるで何かを解放するかのように。その動きに呼応して、箱からはさらに大きな光が放たれます。
船を突き破った光は、大きな龍となって幽霊船を破壊していきます。龍の頭の上には、決死の形相で叫ぶマリン船長の姿。
何倍もの体躯を誇る龍を見上げて、少女は不敵な笑みを浮かべます。
龍が尻尾で攻撃するのをひらりとかわしたシーン。大量のコインが散らばっていることからも、この龍の身体を構成しているのは無数のコインであることが分かりますね。
龍の背中を駆けのぼり、一味を切り伏せ飛び上がった少女は、そのまま龍の鼻っ面に強烈な突きをお見舞いします。
この次のシーンで、一瞬だけ、箱が突き裂かれている様子が描かれているんですね。突きが伝導し、甲板から船内へ走った稲妻のような光が箱を一瞬で叩き壊しています。ここ、超重要です。
この衝撃が船内のお宝や一味、バラなどを吹き飛ばしていきます。
3:56ではついに幽霊船が爆散し、大量のバラの花弁が海原に舞い上がります。遠くに見える朝焼けが長い夜の終わりを示しているようで、なんとも幻想的。しかもここは曲も一瞬だけ音がなく、無音の世界に花びらが舞い上がり、長い夜が明けるシーンは鳥肌が立つほど美しいです。ここだけでもいいから見て欲しい。
幽霊船が霧散し、茫然と空を見上げる船長の背後には、ボロボロな姿で剣を携えた少女。
慌てて後ずさる船長に、少女が踏み込み、そして。
いや、映画見てたっけ?
ってツッコみたくなるほどの美しい笑顔で終わるんですね。
いやぁ、良い話だった。
と、終わりたいところなんですが、この記事を読みに来てくださった方の多くは「このMVの考察が知りたいんだよ、あくしろよ」とお怒りのことと思いますので、ここまでのストーリーを踏まえた上で、謎を解明していきましょう。
気になる部分だけ目次で飛んで読んでいただいても大丈夫ですし、「いやいやここまでわかれば自分で解明してやるよ」って気骨を見せていただくのも大好きです。以下、考察に移りましょう。
「幽霊船戦」と「マリ箱」の関係とは
まず多くの人が気になるのはマリ箱との関係性ですね。
歌詞、メロディ、世界観。どれをとってもマリ箱との共通点が多く見つかります。とくに幽霊船戦最後のワンフレーズは秀逸で、前半はマリ箱のAメロ頭と全く同じでありながら、後半を新しく作り変えることで既視感と新鮮味を両方味わえるアレンジになっています。プロはすげぇや(小並感)
結論から言えば、「幽霊船戦はマリ箱から■年後の世界」の話です。
幽霊船戦はマリ箱から■年後の世界の話(公式情報)
これについてはマリ箱こと「I'm Your Treasure Box *あなたは マリンせんちょうを たからばこからみつけた。」の概要欄に記載されているので、公式設定とみなして間違いないでしょう。気になる方はぜひご自身の目でも確かめてみてください。
ちなみにこの概要欄も幽霊船戦が発表されてからリアルタイムで書き換えられるという徹底ぶり。船長、一生ついていきます。
つまり、マリ箱に閉じ込められて「あ、開けてぇ~」と情けなくも可愛い声で終わったのはいいものの、そのまま箱は空けられず何年も経過し、船は幽霊船となり、船長は死に、一味も死に、大量の骸骨と共に海のど真ん中を揺蕩っていた海賊船に船長に激似の少女が乗り込んでくる、というのが幽霊船戦のストーリー。
位置づけとしては「マリ箱の続編」と捉えてよいでしょう。パラレルワールドの船長が乗り込んできた説も見かけたのですが、それよりも単純に「同じ世界で、時間だけが進んでしまった後のお話」と考えたほうがつじつまが合う点が多々あります。
ここからはそのあたりをさらに深く掘り下げていきましょう。
「幽霊船戦」の考察と淡園の解釈
幽霊船戦については、以下が大まかな謎&考察対象になっていると思います。
・主人公の少女は誰なのか
・船の主の幽霊は誰なのか(船長でFAなの?)
・宝石はなんなのか
・船の主の胸元の傷はなんなのか
・マリ箱ってどんな箱だったの
まず先に結論だけ紹介していくと、
・主人公の少女は誰なのか
→船長の娘or子孫。娘説を推してます。
・船の主の幽霊は誰なのか(船長でFAなの?)
→船長でFA(ファイナルアンサー)
・宝石はなんなのか
→欲望の象徴であり最初のお宝であり、「一味」でもある
・船の主の胸元の傷はなんなのか
→宝石(欲望・お宝・一味)があった場所に傷があることから、全てを失ったことを示している
・マリ箱ってどんな箱だったの
→本人にとって「最も価値あるもの」が入っているが、開ければそれ以外のすべてを失う箱
それぞれ詳しく見ていきます。
主人公の少女は誰?→マリン船長の娘
根拠は以下のとおりです。
・左右入れ替わっているものの同じ色のオッドアイ
・船長が本当の姿を取り戻すまでは本体攻撃(殺しも辞さない構え)だったが、取り戻してからは龍だけを狙っており明らかに目的が変わっている
・主を戦う相手として見ていたはずなのに、最後には悲し気な表情で抱きしめている。
これらを踏まえると、彼女はマリン船長の娘だと考えるのが自然に感じます。加えて、以下のような背景も思い浮かびます。
舞台は、船長がマリ箱に閉じ込められて何年も経過したあとの世界。
「お前の親は立派な海賊だったんだよ」と聞かされて育った船長の娘は自然と海賊の道へ進む。
駆け出しなので小さな船しか持っていないが、大きな幽霊船のうわさを聞いて一獲千金のために乗船した。
主を倒し帰ろうとしたところ、主の反撃に遭い、偶然マリ箱を開ける。
そこに眠っていたのは白骨化した死体。そして目の前に立つ敵こそ、幼い頃から憧れてきた母親、マリン船長その人だった。
真っ赤な髪とオッドアイに確信を得た娘は、マリ箱の封印を解くために手元の宝石に願う。
マリ箱の呪いが具現化し、コイン(財宝)の龍となって娘を殺そうとする。
しかし娘は「それでこそ噂通りのマリン船長だ」と不敵に笑って、龍を倒し、船長を呪いから解放する。
ちょっと確定ではないので自信をもって言えませんが、おおむね上のようなストーリーなんじゃないかな、とwktkしています。
船の主の幽霊は誰?→マリン船長
まずは主の瞳が船長と完全一致しています。これだけでも十分なんですが、他にも3期生にまつわるあれこれがお宝として散乱しています。もう主は船長でしょう。
それと白骨死体のポーズはマリ箱のポーズと同じなんですね。
これらの理由から、船の主であり幽霊として立ちはだかっているのはマリン船長本人です。
宝石はなに?→欲望の象徴であり夢を叶える石
気になる宝石(ガーネット)についてですが、あれはこの曲のテーマでもある「欲望」の象徴だと睨んでいます。
まず冒頭で宝石が水に落ちていきますが、あれは船長がマリ箱から出られたとき(死んだとき)に手からすり抜けて落ちていったものだと考えられます。金銀財宝はたんまり手に入ったのに、周りには誰も居ない。浦島太郎のような状態になって、あんなに渇望していた財宝への夢はあっけなく手から零れて水底へ落ちていった。そんな心境を表していると捉えられませんかね。
次に登場するのは窓辺で眠る船長の手に握られた宝石。これは「この船を(記憶と歴史を)守る」という欲望の現れだと考えられます。力なくだらりと垂れさがった手にコロリと乗った宝石。握りしめるとまでは言わずとも手放せない、執着とか、未練のようなものを感じます。最後の矜持かもしれません。
しかし、どうせ誰も来ないからとしまっておいた宝石は思わぬ来訪者(娘)によって拾い上げられます。娘がそれを眺めていると、船長がそれを取り返すかのように表れるのも印象的です。結局宝石は娘の手に渡ったまま、船長は地下へと落ちていきます。
次に宝石が現れるのは最終決戦の直前、マリ箱を開いた直後のシーン。回想の中で船長が見つめているのは、同じ宝石です。海賊として数多の財宝を手に入れながらも、肌身離さず持ち歩いているその宝石には並々ならぬ思いがあることが分かります。初めて手に入れた宝石なのか、誰かにもらった宝石なのか。いずれにせよ、その宝石には宝石以上の意味があることが見て取れます。
その直後、船長が自分の姿を取り戻すシーン(下の画像)で一瞬差し込まれる娘の左手にも宝石が握られています。冒頭の戦いのあと、ずっと持っていたのでしょう。
左から見ていくと、傷は船長の「欲望の欠如」を表し、真ん中は娘の手中で変わらぬ輝きを放つ「欲望」を、右は対峙していた相手が実の母親だったことに驚く表情がいっぺんに示されています。胃もたれするて。
この宝石が「欲望を叶える石」としての意味を持つ決定的なシーンは、この直後。
宝石を手にした後の娘の表情を観察すると、「あれは母親のマリン船長だ」「呪いに囚われて動けないんだ」「助けないと」と感情が変化しているように見えます。
少なくともさっきまでの「宝の守り人で幽霊船の主」に向ける視線ではないんです。その後、手を掲げるとマリ箱から一層大きな光が放たれ、コインの龍が登場する、という流れ。
この時に娘が何を願ったのかは分かりませんが、実の親説の上に立てば「助けたい」「解放したい」と思ったのは間違いないでしょう。
その結果、宝石の力で「呪いを解くためにマリ箱の呪いが具現化」し、最終決戦へ至ったのだと考えられます。
またラストシーンでは娘の首元に宝石が取り付けられています。
これは「これから海賊として欲望を叶えていくのはあなたの仕事」という、消えゆくマリン船長の親心が反映されている気がしてなりません。
胸元の傷はなに?→欲望を失った暗喩
上の考察と重なる部分でもありますが、幽霊となったマリン船長の胸元には痛々しい赤い傷があります。何か癒着していたものを引きちぎったような、そんな傷。
ここにはもともと、欲望の象徴であるこの宝石がぴったりとくっ付いていたと思われます。海賊としてブイブイ言わせていた頃には燦然と輝いていたそれが、マリ箱で人生を終えたあとに剥がれ落ちてしまった、自分の欲望はもう枯れてしまった、という船長の心境を暗喩しているように見えます。
【独自解釈】「マリ箱」はなぜ開かなかったのか→呪いの箱だったから
そもそも、マリ箱ってなんで開かなかったんでしょうか(哲学)
本旨からは逸れますが、幽霊船戦がマリ箱のアフターストーリーなんだとしたら、やっぱりマリ箱にも絡んでくるので、いったんマリ箱について考えてみましょう。個人的には、マリ箱は「呪いの箱」だという説を唱えています。
マリ箱の歌詞を改めて見てみると、結構気になるしキーになる(ドッ)箇所が見当たるんですね。とくにそれっぽいのは以下の二つ。
これを踏まえて先に結論を言うと、マリ箱は「自分にとって一番価値のあるものを手に入れる代わりに、それ以外のすべてを失う呪いの箱」だと言えます。そう考えて上の歌詞を見ると、このセリフは別に船長の強がりでもなんでもなく、本当にそうでなければ「マリ箱は開かない」という説明の意味も含まれています。これに気づいたとき、一人で膝を打ちました。やってくれたな、と。
マリ箱は、箱に入って出られなくなった船長が自分のために歌った歌。「いつか助けてもらえる」「極上の海賊の秘宝は私だ」と言い聞かせてなんとか精神を保とうとしている前半に現れていて、なんならまだ「君たちになんて言おうかなぁ」とか考えていられているんですが、後半はどんどん切実になっていきます。
文字に起こすと普通に遭難してるし、キレてます。余裕がどんどん無くなっていく。
中に閉じ込められた船長を助けるには「宝鐘マリンが最も価値ある存在だ」と思っている人が箱を開ける必要があるんですが、一味も海賊なので財宝を一番価値あるものだと感じて箱を開けてしまうのか、そもそも他に価値あるものを見つけてしまっているのか、マリン船長を助けるには至りません。「船長を欲しがるなんて畏れ多い」と身を引いている可能性もありますね。一味は紳士なので(ハナホジー)。そしてそれを「マジで遠慮しすぎ」と咎められているんだとしたら、マリ箱の世界観がグッと深まります。正直これを見越して仕掛けていたんだとしたら凄すぎて言葉が出ない。
そして、船長を救えないばかりか宝鐘海賊団は一瞬で呪いの毒牙にかかり、全てを失う。そんな悲しい滅亡談のアフターストーリーが幽霊船戦で、マリン船長の血を継いだ娘がお宝目当てにやってきた結果、たまたま呪いの連鎖を断ち切ったのだとしたら、幽霊船戦の歌詞にもかなり筋が通るんです。
ところで、マリ箱を偶然足で蹴り開けたのは娘ですが、その箱の中には白骨化したマリン船長の死体があります。しかしマリ箱は呪いの箱。当人にとって「最も価値ある財宝」が入っている呪いの宝箱です。その中に白骨化した船長の死体があるということは、娘にとって一番の財宝は会うことさえ叶わなかった肉親のマリン船長だった、ということになります。これは鳥肌立ちますよね。
マリ箱を開けるには(宝箱を開けて宝鐘マリンと出会うには)宝鐘マリンを何より価値ある存在だと思っている人間が開けなければならない。長い年月を経てその条件をクリアしたのは自分の娘で、そして箱の中には白骨化した死体が転がっている。なんと悲しく綺麗なストーリー。情緒を殺す気か?
【独自解釈】幽霊船戦の歌詞から世界観を紐解く
全員気付いていると思いますが、この曲はツインボーカルです。
というか歌っているのは一人なのでツインボーカルではないのですが、マリン船長視点の歌詞と、娘視点の歌詞が混在しています。聞きこんでみると微妙に歌い分けている気がしないでもないんですが、この辺りは耳に自信のある方の考察を待ちたいところです。
以下、マリン船長と娘の視点別で歌詞を選り分けてみました。
【船長視点の歌詞】
私のもの そう私のもの 千の黄金
数百年の財宝 この船に眠る
【娘視点の歌詞】
古びた伝説は 呪われた幽霊船に
続く夜の潮路
そこに富が遺る 海賊の夢があるのなら
頂くしかないでしょ?
【船長視点の歌詞】
「無謀な赤よ」「若き盗人よ」
「命をもって 後悔に代えさせてやろう」
止まない雨の弾丸で
美しいほど この瞳焦がす 生命の炎
ガーネットの色彩 攫う 宝石なのなら
私のもの そう私のもの 奪ってみろ
命の証を 貴方の求める全てを
【娘視点の歌詞】
輝きはくすんで 錆びついて それでも
泥舟にしがみつくなら 泡沫と共に沈め
黒い帆に 隠れる “極上の海賊の秘宝”掴んで笑う
満月の金銀珠玉 七つの海の宝玉に
【船長視点の歌詞】
「集る虫ども」
こぞり富を狙う 愚か者に思い知らす
相応しい持ち主を
【娘視点の歌詞】
船に宿る黒い魂の群れ
影の底で忍び寄る絶望の渦
まるで蓋の閉じた箱
手放しちゃえば 諦めちゃえば
悪夢の中から逃げられるのに まだ掴んでる 欲望が重いから
【船長視点の歌詞】
「わたしのもの そう わたしのもの」
自分自身を信じ込ませて 縛って
縛り付けてたって 気づいた
【娘視点の歌詞】
呪いの出口 永遠の夜の海域
目を覚まして 貴方の悪夢から
連れ出す曳船よ 出航して
【船長視点の歌詞】
私のもの まだ私のもの 純紅のバラ
朽ち果てたとしても 枯れない 魂までは
【娘視点の歌詞】
万の幽珠 永遠の美貌 そんな幻
どうだっていいでしょう
手放す決意はついたかい
さあ行こう 夜明けに舵を向けて
【船長視点の歌詞もしくはエピローグ】
曰くを宿した船 希望だけを残して航く
他にはもういらないから
こうして見ると、娘は一度も「わたしのもの」とは言っていないんですね。サビでかなり耳に残るフレーズなのに、言っているのは全部船長なんです。
ちょっと考えてみてほしいんですが、「ねぇそれ私の!」って言いたくなるのって、誰かに奪われそうなときとか、脅かされたくないときですよね。
つまり守りに入ってる。欲望を失った船長は、もう守ることしか考えられなくなって、「それは私のものだ」って縋りつくことしかできなくなってる。強キャラとして現れるMV、かなりカッコよく歌い上げられたパートゆえに、幽霊化した船長の奥に眠る弱気ゆえの発言だと思うと、コペルニクス的転回がありません?
一方で娘の歌詞で最も印象的なのは「手放しちゃえば 諦めちゃえば悪夢の中から逃げられるのに まだ掴んでる 欲望が重いから」ですよね。異論は認めん。とにかくこの言葉は、まだ何も手に入れていないと思っているからこそ出てくる言葉です。でもそんな欲望まみれの状態だからこそ、守るだけじゃたどり着けない境地に至れる。気づかず呪いに囚われていた存在すら救える。ここにもコペルニクス的転回がありますよね。大が小に、小が大に転回するこの仕掛けには舌を巻きます。
そしてこれが妄想でないことをお伝えしたいんですが、個人的に泣きそうになった娘の歌詞の「曳舟よ出航して」の部分に注目してください。曳舟については冒頭でも解説したんですけど、大型船を引っ張る小さな船のことなんですね。ここでタイトル見てください。
曳舟と大型船ってのが単なる船の大きさだけじゃなくて親子を表してもいるし、海賊としてのキャリアとか手に入れたものの大小も表しているんですよ。しかも、曳舟は小舟でありながら大きな船を引っ張る役割を持っている。大から小、小から大という転回が、いろんなモチーフや設定によって押し寄せてくる。この歌詞が出てくるかめりあさん、言語野にいくら包んだんですか?
あと、サブタイトルの「Ma'am's」はマダムの省略形なんですが、貴婦人以外の意味わかります? 他にもあるんですよ。まぁでもこればっかりは、最後に自分で確かめてみてほしいですね。
一曲の中でこんなにがっつり考察したり楽しめたりできるのはやっぱり作詞のかめりあさんが本物だからって言うのもありますし、このMVそのものの深み、加えてマリ箱と繋げたストーリー設計をした船長本人のセンスの賜物だと脱帽しています。
ちょっと意地汚くて、忌避したくなる「欲望」というテーマでこんな深みのあるストーリーを考えた船長。それを実現させた制作サイドのすべての方々に心からのリスペクトを。
誰が何と言おうと、この曲とMVはこれまでの船長のどのオリジナル曲より美しくてかっこよくて引き込まれる内容でした。正直、登録者数300万人超えVtuberという枠すら狭く感じてしまうほどのセンスを感じました。
もし私がお金持ちになったら、船長に何億円か渡して1クールのアニメを作ってもらいたい。もう全権委任して、やりたいようにめちゃくちゃやってもらいたい。そう思っているのは私だけじゃないはず。
結論:マリ箱の呪いで死んだ船長を子孫が成仏させる話
ということで、幽霊船戦の考察を一言で言えば「マリ箱の呪いで死んだ船長を子孫が成仏させる話」です。ツッコミどころも多々あるかもしれませんが、ぜひ優しくコメントで教えてください。
ここからは、幽霊船戦のMVに隠された小ネタとか隠し映像を紹介します。
「幽霊船戦」に隠された小ネタ・隠し映像
3期生ゆかりのものも密かに登場している
3:37あたりのシーン。一瞬で見逃してしまいますが、最低速で見れば見つけられるのでぜひ。
割れた木片で「マリン」「船長」と描いている
1:45のあたり。衝撃で割れた床板が「マリン」「船長」という文字を描いています。
この辺は「進撃の巨人」の原作オマージュなのかな、と思いました。進撃はこの手のネタを盛り込むことで有名ですね。よく分からない方は以下のブログで網羅されているので、覗いてみると楽しいかもしれません。
クマリンとドクロくんも登場
1:36の戦闘シーンで浮遊する物体の中にクマリンとドクロくんが含まれていますね。殺傷能力なさそうです。いやドクロくんは痛いかも。
ちなみにドクロくんはコインにも登場しています。
好きすぎて一晩中聞きながら書き上げてしまいました。見苦しい内容も多々あったかと思いますが、こんな一番下まで読んでいただきありがとうございます。
ちなみに、普段は以下のような小説を書いています。もし良ければ寄って行ってください。
ちょっとでもこの記事で船長のこととか、この曲のこととか、MVのこととか、より楽しめたらいいなぁって思います。読んでいただきありがとうございました。最後にもっかいMVへのリンク貼っておくので、一緒に船長の手のひらの上で踊りま(ry
※8/8追記
蛇足ですが、やっぱり本記事をコピペしただけのアフィサイトの記事がいくつか上がり始めました。たくさん一味の皆さんに読んでいただけているので、その影響も鑑みて追記したいと思います。
本編とは関係ないので、気になる方だけ読み進めてください。
蛇足:SEOの上位記事調査で訪れた方へ、同業者より
SEO記事制作にあたって本記事へ訪れた方は、本記事の内容を無断で引用せず、どうかご一報ください。お手間は取らせませんので、よろしくお願いいたします。以下にその理由を記載します。
まず、この記事は発表当日から翌朝にかけて、何も手がかりがない状態で一晩かけて考察したものです。
だから何も知らずにパクるな!
と言いたい気持ちもありますが、それよりも我慢ならないのは、この記事の内容は「あくまでファンの考察に過ぎない」ということが伝わっていないこと。この考察は、いわば妄想の垂れ流しに過ぎないのです。脳死で「1位だからパクったろ!」と考えるのはお控えください。
誕生日後の配信で船長本人が言っていますが、この考察の内容はそもそも船長が考えていた内容とはズレている可能性が高い(マリンの子孫とは明言されていない)のです。
いちファンの妄想が公式設定のように流布されるのは望むところではありませんが、同様のコピペ記事が増えてしまうとそういう影響が小さくも波及してしまいそうで、怖いです。
内容によりますが、もし有用であれば発リンクなどの協力もできる範囲で行いますので(noteのDAは高いですよ)、無断での引用ならびに事実としての流布はお控えください。最悪の場合は発見次第、Googleへの通報を行います。
ちなみに、業者でもないのにこの蛇足部分まで目を通してくれている賢い一味はそんな記事には騙されないと重々承知していますが、一応注意喚起です。
私自身、かつて同業種に身を置いていたので分かるのですが、内容を調べもせず、ただ焼き増すだけのSEO記事制作を小遣い稼ぎにしている人は少なくありません。
その証拠に、以下に記載しているパクり記事はこの記事の内容を「事実として」記載しています。しかもこれChatGPTにそのまま読ませて吐き出させた文章なのが丸わかりで、やってるのはWPの装飾くらいなもんでしょう。見る人が見れば分かります。
このような記事が出てくることは予想していましたし、その悪影響も知っているが故につい先日まで本記事を"拡散しないと読めない設定"にしようか、とも考えていました(調べてみたらnoteにそんな機能がありました)。
とはいえ(ただのオタクの妄想を創作物みたいに扱うのも気持ち悪いなぁ)とそのままにしていたのですが、案の定悪い予想が当たってしまい、げんなりしています。
せっかく読んでいただいたファンの方には、ぜひ自分自身の妄想をたっぷり堪能していただきたいと思います。船長もツイートでそういう楽しみ方を推奨していますし、そういう余地を残して作られた傑作MVだからです。
あくまで本記事はその妄想のお手伝い、もしくは可愛すぎるMVを一緒に楽しむオタク仲間代わり、場合によっては二次創作勢への設定の提案とかになればいいなぁと思います。
だからこそ、この記事の内容や本質を一切理解せず、コピペした内容を事実のように流布する行為は悪質だと言わざるを得ません。
好きなものを好きなように語り合いたいという気持ちは尊いものです。その気持ちを忘れずに、船長がくれた宝物みたいな時間を存分に楽しみましょう。お目汚し失礼致しました。