詩:『自覚のない鳥』
あの人は私の翼が綺麗だと言ってくれたけど
眺めているだけで 撫でてはくれなかった
檻の隙間から覗く瞳は 澄み渡る水色だったから
飛べない空に恋をしてしまったのね
いつしか見上げるのをやめて 私は鳥であることを忘れた
檻の隙間を夢中で見つめ返していた時 私は何者でもなかった
本来の姿を忘れる悦楽 でもね どれだけ嘴を伸ばしても
眺めているだけで 撫でてはくれなかった
檻の中で生きている私と 外の世界のあなた
触れられない距離が私たちのすべてだったよね
あの時 瞳の中にみた空を 思い出した
雲の隙間を横目にしながら