詩:『羽のない時代に』

あの人はいつも先に行ってしまうから嫌い。
さよならも言わないの。……嫌い。

あなたの背中、ずっと見てきた。
あまりにも優美に進むものだから、
羽が生えているのだと思っていたわ。

でもね、羽は幻だったの。
だって人は空を飛べないもの。
空は、見上げるものなのよ。

同じ地平にいたのね、あなたも。私も。

進み続けたら、いつか追いつけるかしら。
その時はあなたの背中、引っ叩くね。

今に見ててよ。
振り向いて立ち止まってる時間、
与えてあげないわ。

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