詩:『舌先に乗る遺物』

好き嫌いなんてないの。
出されたものは綺麗に食べる。
手のかからない子ねって褒められたわ。

あなたは好き嫌いが多かった。
ネバネバしたもの、甘いもの、きのこ類、
なーんにも食べられない。

一度無理やり口に入れてみたら、
汚らしく吐き出して怒ったわね。
そうしてあなたと私が、違う人間だってわかったの。

ネバネバしたもの、甘いもの、きのこ類、
食べる度、あなたは嫌いだったって思い出す。

私は、好きになったわ。
やっぱり私たち、違う人間ね。

こんなに美味しいのに。

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