【どまつり】世界観が果たす役割(前編)〜小島監督と宇多丸さんの対談をヒントに〜
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出だしの30秒の演出。世界観を見事に表現できたつもりでいても、「お客さんを惹きつけるのにいまいち成功していない感じがする/ムラムラしない/グッとこない」。そんな経験あるあるだと思います。
「世界観」がどんな役割を果たしたときに、どまつりのお客さんの心が動くことにつながるのか。
ゲームディレクターの小島監督の言葉が、示唆にあれしまくってるので、共有をば。そこだけなら1.2分でよめるのでぜひ。
キーワードは、
世界観・感情移入・使命感・自分は誰。
❶小島監督と宇多丸さんの対談
◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎以下、対談の書き起こし◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎◻︎
ナレーター)自身の7割は映画でできていると語る小島監督。彼に、ゲームにおける映画性のハナシを伺う。
宇)ゲームにおいてストーリーの必要?必要だとしたら、どういう意味で必要なのか。
小)そもそもストーリーが重要ではないんです。僕が欲しかったのは世界観なんですよ。そこが映画(と共通する部分)なんですよ。
メタルギアソリッドでいうと、ある人間がどこかに隠れてて追われている。で、プレーヤーはそれを動かすだけなんですけど。それまでのゲームは、それ、全く説明なくて。自分は誰で。どの時代で。何に追われてて。何をしようとしてるのか。全くわからない。で、そこの世界観をつくる。そこが重要だと思うんですけど。そこで初めて目的ができるようになる。
宇)ストーリーというよりは動機付けというか?
小)そう、ゲームの場合はそうです。だから、自分がその世界で何を、どういう目的でいて、自分が何をなすべきか、ってのを分かりながら、そのルールに従っていくことでどんどんどんどん先に行きたくなるというか、使命感がでてくる。自分が動かしているということになるので。
要は、「殴ってくるから戦っている」だけでは、、、ね?やっぱりその、、こいつを倒す理由ってゆのが、必ずあるじゃないですか?それを与えることで、今までのゲームとは、ちょっと、格段に2ステップ上がるみたいな。
宇)感情移入度が上がるというか?
小)そうですね。で、その先に、まあ、できればドラマがあった方がいい。とは思いますけど、、、まあ、インタラクティブなんで、なかなか、映画のストーリーテリングをそのままもってくるってのは、ちょっと難しいんですよ。
んでー、そこで、まあ、苦肉の策が、カットシーンという。ゲームシーンがあって、カットシーンがあってっていう。のをやりましたけど。
んー、まあ、あれが最適とは、まだ思ってません。
宇)そうですか。もっといいフィッティングがあるというか、、、?
小)もっとちがうやり方はあると思います。まあ、でもやっぱり世界観ですね。その人が、、まあデスストランディングであれば、、海岸に裸のノーマンがいて、こいつはいったいなにで、浮いてるのはなにで、なんでそういう世界があるのか、彼は何をしようとしているのか、もしくは、プレーヤーは彼となって何をすべきかってのを理解させて、そこで、協調させないと、、ダメだと思うんで。そのために色々と、すごい設定をしていきます。世界設定とか。(後略)
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(小島監督の)ゲームにおいては、プレーヤーがキャラと協調して先に行きたくなるための使命感が必要。そのために世界観。自分が誰で、その世界で何をどういう目的でなすべきかを理解させるもの。
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〝ゲーム〟における「プレーヤーが彼となってプレイする」は、〝どまつり〟におきかえると、、?
❷小島監督の言葉をどまつりに置き換えてみる
小島監督の言葉をどまつりに置き換えてみると、
・お客さんには、踊り子に自分を重ねて前のめりになって観てもらいたい。
・そのためには、得体の知れない人が踊ってるようにみえたらダメ。踊り子が誰で、何のために踊るのか(使命感、切実さ)。それを理解とまではいわなくても、お客さんが想像で補える、想像したくなることが必要。
・それが世界観。
・「誰が」「何のために踊ってるのか」がいまいち香ってこないままで、「世界観を見事に表現したぞ!」と満足するのはナンセンス。逆にそこがクリアできたら、2ステップくらい格段に上がる。
⚠️「私は何者で、こんな価値観を満たしたくて踊るのだ」って言い方は踊り手にとっては長すぎるかも。「何を踊るか」くらいが自然かな。
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(後編)はこちら↓