メーカーと商社、振り子のキャリア (187/365)
私は電機メーカーで最初のキャリアを積みました。事業統合や移籍はありましたが、都合17年間半導体製品の研究開発、マーケティングに取り組みました。
その後、環境変化に伴い、ご縁をいただいて総合商社に転職しました。技術開発の経験を活かして、事業開発に取り組んでいます。もうそろそろ10年になります。
メーカーと商社の違いは、いろいろあるとは思いますが、
メーカーはとことん、自社技術、自社製品にこだわる
のに対して、
商社は、売れるものを積極的に扱う
という点が基本的な違いだと思います。
商社の強みは、時には競合製品を天秤にかけてよりよいものをお客様に提案することも可能だと言うことです。
一方、メーカーは、製品が他社より劣っていると自覚しても、必死で改良したり、他の何かと組み合わせて売ろうとします。
頭ではわかっていることですが、商社に転職して最初の数年間はかなり違和感がありました。特に私は開発部門にいたので、メーカーのときは製品の細部まで知り尽くして、自信を持って推していたのですが、商社では、A社の製品はこれこれ、B社の製品はこれこれ、この点ではA社をお勧めしますが、別の点では・・・というような会話が多く、自分としては足元がおぼつかないようなふわふわした感覚を持っていました。
しかし、慣れてくると、その自由度でより魅力的なソリューションを組み立てることができることに可能性を感じるようになりました。
しかしまた数年たってみるとまた感覚が変化してきます。現在先端技術に基づくビジネス開発をコーディネートする立場で、スタートアップ含め多くの会社とつきあっているのですが、自分がモノづくりそのものに深くは関わっていないことに一抹の空虚感を感じ始めています。
メーカーと商社の対比は、会社単位の対比ですが、個社で見ても、結局事業というものは、
企画・マーケティング × 製品・サービス開発
製品・サービス開発 × 基盤技術開発
基盤技術開発 × オープンイノベーション
のように、性質の異なる取り組みの掛け算によって生み出され、拡大していくものだとあらためて俯瞰しています。そして事業活動は、
いわば振り子のようなもの
なのだと思います。その時に応じて活動の比重が動くイメージです。
私のキャリアも振り子のようなもので、アラカンのいま、よりモノづくりに近い立場が取れないかなと模索しています。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。