総論賛成・各論反対という思考停止(113/365)
「総論賛成・各論反対」という言葉があります。全体方針には賛成だが、個別の施策については異論があるという状況です。
https://school.nikkei.co.jp/news/article?aid=MMSCe9000008112016
「では来年度の予算骨子についてはこれでよいですね?」
「異議なーし」
「では事案の1ですが、営業使用資金の削減について」
「これは納得できない。却下」
「・・・」
こんな感じのやりとりは企業では日常茶飯事なのではないでしょうか?
総論 抽象度高い
各論 抽象度低い・具体的
となると思います。
例えば、
会社の目的は事業によって社会に貢献し、利益を上げ、活動を継続することである。
という総論に異論を唱える人はいないでしょう。しかし、どの事業を優先し、どの事業の予算を削減するかという具体的なことになると異論が出ます。
これは、当事者としての自分の立場が有利になるか不利になるかという各論の観点で、不満が出ていると言うことでしょう。
一橋大学の楠木建教授は、
部分合理性
全体合理性
という言葉を持ち込んでこの状況を説明しています。
そして多くのイノベーションを分析すると、
〇部分不合理・全体合理
の場合に成功例が多いといいます。もちろん、
△部分合理・全体合理
は悪くはないのですが、予定調和的でありイノベーションには繋がりません。
✕部分不合理・全体不合理
は論外として、
〇部分不合理・全体合理
✕部分合理・全体不合理
のせめぎ合いが、いま取り上げている、
総論賛成・各論反対
に対応する議論と考えられます。
つまり、完璧な
総論賛成・各論賛成
は、極めて難しいということです。企業経営は、限られた予算、人員、時間の中で最大の効果を目指すものですから、当然トレードオフが生じるわけです。優先度をつけ、緩急をつけ、時には既存事業を中止して、新事業に挑戦する局面もあるでしょう。
となれば、必然的に、予算削減や、事業中止の当事者はそれに反対するでしょう。しかし、繰り返しですが、全体合理、全体最適のために、「自分や自部門に不利な施策であっても受け入れる」、組織である以上そういう局面は避けられないでしょう。
納得の行くまで議論をすればよいのです。互いをリスペクトして深いダイアローグを行うことができれば、ひょっとして第三の解が見つかるかもしれません。とにかく現代の日本人は深い議論が苦手もしくは嫌いです。
形式的な会議は山ほどあるのに、じっくりブレストしようとすると、
「そんな時間があるなら、さっさと営業に行って注文取ってこい!」
となります。だらだら会議をするのはよくありませんが、もっと深く本質的な議論を、各階層ですべきです。
「総論賛成・各論反対」
は、思考停止ワードでしかありません。各論反対ならば、その理由をもっとぶつけ合って喧々諤々やりあうべきでしょう。結果として総論に修正が入るこことも辞さないという姿勢が大事です。
もっと深い議論を楽しみましょうよ。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。