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ギークとマーケッターの間にある暗くて深い谷 (75/365)

世の中は先端技術であふれています。特に最近の暗号通貨や深層学習の進化で、コンピュータは道具どころか、産業、経済基盤そのものを形作るまで進化しています。

昔、「数学なんて社会に出て役に立つの?」なんて問いがありましたし、いまもそんなこと言ってる人いそうですけれども、好むと好まざるとに関わらず、現代人は数学、物理、コンピュータ・サイエンスのギーク達の存在によって支えられているのです。

ここでは、リスペクトを込めて、オタクやナード(nerd)ではなく、ギーク(geek)を使います。いわゆる研究者、開発者もギークに含めます。

さて、ギークの動機はなんでしょうか?本物のギークは、研究や開発そのものが面白くて没頭しています。つまり興味や探究心、個人的な達成感が動機づけです。

さて、そのようなギークの成果をいかにしてビジネスにつなげていきましょうか?どんなに素晴らしい技術でも、使い方、場所、ビジネスモデルが三拍子揃わないとものになりません。

スタートアップを見ていると、時にギークであり、経営者である、という超人は存在しますが、ほとんどの成功例は、ギーク(開発者)と、マーケッター(経営者)の二人三脚から生まれていることに気付きます。

アップルは、ウォズニアックとジョブズのふたりのスティーブによって生み出されました。

ソニーは、技術の井深、営業の盛田によって躍進しました。

しかしこういう成功例を含めて、ギークとマーケッター(この文章ではあえてこの表現を通します)の間には、意見の相違や葛藤があったに違いありません。ギークとマーケッターの間には暗くて深い谷があるのです。

そして多くの場合はこの谷を埋めるもしくは超えることができずに失敗し、消滅していくのです。

ここで私の経歴を簡単に紹介します。私は理系大学院で学位を取り、長く半導体の研究に取り組みました。後半は技術の事業化を担当し、必要を感じて40代でMBAの学位を取りました。現在は商社で事業開発をしています。ちなみに学生時代はラグビーをやっていたので体育会系でもあります。

このような経験を通じて強く感じたのが、ギークとマーケッターの谷です。私の後半生は、この暗くて深い谷をいかに埋めるか、超えるかという挑戦と言えるかもしれません。

誤解を恐れずにいうと、最近の日本のスタートアップの流行はありていに言って、マーケッター側のウェイな祭りにすぎません。資金調達や上場ばかりに注目が集まりますし、本質的なアイデアよりも、華麗なピッチが評価されます。政府の支援策も底が浅いです。

もちろんこれらも経営上大事な要素ですが、テック・スタートアップを標ぼうするならば、もっと本質的なイノベーションについて絶え間なく探究と挑戦を繰り返すべきでしょう。↑の記事でも書きましたが、本質的な使命に目を向けるべきなのです。

悲しいことに多くの場合、ギークは搾取され、消費されます。このような構造的問題はもちろん大企業にも存在します。過去30年で行われた銀行によるエンジニア搾取などはその最たる例でしょう。そんなことをしているからイノベーションに取り残され、FinTechの脅威にさらされているのです。

暗くて深い谷を超えるには、ギークであり、かつマーケッターである人材が必要。少なくともどちらかに軸足をおいているにせよ、他方を理解することが必要に違いありません。

その意味では、私がギーク側だからということもありますが、ギークの奮起を期待したいと思います。

①ギーク ⇒ マーケッター
は、詳細・具体から俯瞰・抽象への視点変化

②マーケッター ⇒ ギーク
は、俯瞰・抽象から詳細・具体への視点変化

とみることができて、私の肌感覚で言えば①の方がずっと成功確率が高い。少なくともマーケティング理論を理解することはギークにとってはたやすい。経験センスの不足は、有能なマーケッターと組めばよい。

そう、有能なマーケッターと組む、これが重要で本当に有能な人を見抜く程度には学び、経験を積む必要がある。

奮起せよ!ギーク達!自分のやりたいことを自分の意志で続けるためにも!

ホンモノのギークは引きこもり一歩手前、ピュアでコミュ障な場合も多い。そういうギークが一念発起して起業したケースを見てきた。しかし組む相手を間違うと悲惨である。搾取されるだけでなく、ピュアなギークは利用され染められ、しばらくして会ったときに人格まで変わっている。

「この技術で世界を変えたいんですよ!」

とキラキラしていたギークなCEOが、数か月後

「私はCEOですよ。あなたより職位の高い人と会わせてください」

と変わってしまう現実。

学びましょう。ギークが学んで成長しないとこの国は変わらない

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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