組織は戦略に従う?つづき (124/365)
チャンドラーの「組織は戦略に従う」について記事を書きました。
今日はこれにまつわる経験談を書いてみたいと思います。組織は戦略に従うということを実感したというよりは、組織と戦略は表裏で考える必要があると痛感した経験です。
ある会社にA事業部とB事業部がありました。
A事業部は特定顧客に対して専用品を開発製造し販売する部門
B事業部は市場に対して汎用品を開発製造し販売する部門
顧客やビジネスモデルこそ違いますが、当然ながら、共通する基盤技術も多くあります。
あるとき、B事業部が技術Cの導入を検討することになりました。B事業部にとってははじめてのことでしたが、A事業部では技術Cを使った製品開発の経験があります。
私はそのことに気付き、A事業部とB事業部の開発者のブレストを企画しました。
「B事業部さんの技術C導入にあたっては、A事業部さんの経験が生きると思います。新製品の立ち上げの協力をA事業部にお願いしては?」
「それはいいご提案ですね。ご協力いただけますか?」
「もちろんです。共同開発の可能性もありますね。」
私は手応えを感じつつ、帰路につきました。しかしそれから何週間経ってもなにも起こりません。ブレスト2回目を企画しました。
「何か問題がありますか?」
「特にありません。開始のタイミングをうかがっていました。」
「いつでも対応しますよ。」
しかし、ふたたび進展なし。
そんなことを繰り返して半年ほどたった頃、この件とは全く別の理由で、ブレストに参加していた二つの部門が統合されました。
私は、ブレストのことを忘れかけていたのですが、ある時同僚から、
「今回の部門統合で、技術Cの統合開発が始まったらしいよ。」
と聞きました。あれだけ進まなかった案件が、同じ部門になったとたんに息をするように自然に動き出したのです。
よくサイロ組織などと言われますが、同じ会社にもかかわらず部門間の壁は予想外に高く、いろいろな部門間連携のエネルギーが減衰する場面を何度も見てきました。
それをものにするには、あきらめず粘りよく働きかける個の力が必要です。
一方で、この経験では、ちょっとした組織の再編がパワーバランスに影響を与え、滞っていた戦略の実行が進むことがあるということも学びました。
組織は戦略に従う、しかし、戦略も組織に従う、のです。相互補完、相即相入と考えた方がよさそうです。
※ちなみにタイトル写真は「仏教と神道の合一を現す山王鳥居」だそうです。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。