リソース・ベースト・ビューとポジショニング・ビューは対立概念なのか? (125/365)
組織は戦略に従うのか、戦略が組織に従うのか、という記事を書きました。
これとほぼ同じ文脈で、経営学の世界では永らく論争があります。それは、
リソース・ベースト・ビュー (RSV: resource based view)
VS
ポジショニング・ビュー (positioning view)
というものです。RSVは資源すなわち組織の内側に目を向けた競争戦略で、論客としては1990年代のバーニー、のちに「コアコンピタンス経営」で知られる、プラハラード、ハメル、らがいます。
一方、ポジショニング・ビューは、言わずと知れたポーターの競争戦略が中心です。
どちらがより重要かという議論がいまでもなされているわけですが、そもそも二項対立で考えるのが間違いで、外部環境や、組織文化によって無限の組み合わせがあるわけです。
近年のMBA的発想(*) は、どうも最強のフレームワークを求める傾向が強いですが、これって「3日で英語がペラペラになる」みたいな怪しげな勧誘と同じ部類だと思っています。
(*)MBA的発想
決してMBAを揶揄しているわけではなく、MBAっぽい発想や、思考パタン、いわば偽MBAを指しています(笑)
これらは、
二項対立
ではなく
相即相入
の視点で見ればよいのです。
キャリア理論にも、
キャリアアンカー理論
と
計画的偶発性理論
の対立があります。
起業理論にも、
コーゼーション (causation)
と
エフェクチュエーション (effectuation)
の対立があります。
対立するからおかしいのです。状況によって両者のバランスをとる思考が大切です。
ここまで出てきた、対立概念を整理してみました。粒度はバラバラですが、だいたいこんなところでしょう。
最近「両利き経営」という言葉がよく使われます。探索と深化を担う組織をうまくバランスさせて経営すべき、という主張です。うまくできている企業はあまり多くありませんが、要するにバランスを取るとはそういうことです。
組織内に健全な対立を維持し、そのバランスを調整する。言うは易し行うは難しですが、これが経営の本質なのではないでしょうか?
現在は、平時か有事かと言われれば有事でしょう。変化しないと生き残れない時代です。そういう意味では、あえてリスクを取ってでも、調整つまみを右に回す必要があると思っています。
最後になりますが、以前お世話になった早稲田大学の井上先生が、かなり以前からこのバランスに着目して、ひとつのフレームワークを提案されています。P-VARという考え方ですが、これを紹介して今日は終わりにします。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
事業システムの P-VAR 分析 井上達彦教授
http://www.waseda.jp/sem-inoue/file/ma_archives/2006_profitengine.pdf
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