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時価総額が経営目標となることの危うさ (152/365)
「2030年までに時価総額を6倍にする」
という経営方針を発表したCEOがいました。先端技術領域メーカのCEOです。申し訳ないが、違和感しか感じませんでした。なぜか?
数値的な経営指標は、企業経営の健全性を客観的かつ定量的に知るための重要な指標です。
時価総額はその中のひとつに違いないのですが、
株主の意向が大きく反映される指標
であるとも言えます。つまり、企業の創出するであろう将来価値への期待が株価を押し上げ、結果として時価総額が上がるのです。
では、なぜ時価総額を経営目標にあげることに違和感を感じるのか?
それは根拠について語っていないからです。時価総額向上は結果です。市場の反応です。ひとこえ6倍と言うのはまあ勝手ですが、根拠はなんなのでしょうか?
私なら、この表明には疑念を感じて、むしろ将来価値への懸念材料になりかねません。
そして、「根拠」は極めてスペシフィックであるべきです。マクロ市場動向よりも、業界動向。ファイナンス施策よりも、製品開発計画、販売計画であるべきです。
なぜなら、
お金儲けの手段は無限にあるが、事業会社としてできることはおのずと絞られてくるし、その領域で専門的な価値創出を行うことが必要だからです。
冒頭の例は、先端技術に基づくメーカのCEOの発言でした。なので技術動向や開発計画の話が中心にならないことは、違和感でしかないのです。
「利益が出ればよいのだ。経営とはそういうものだ。」
という人がいます。であれば、ボラティリティの高いテック企業ではなく、金融系の企業を経営した方がより直接的なのではないでしょうか?
例えば、友人がラーメン店をはじめたとします。
「開店おめでとう」
「ありがとう」
「なぜラーメン店を?」
「この通りはラーメン通りと呼ばれていて、お客が期待できるんだ」
「どんなラーメンを?」
「客の回転率をあげるために、店のレイアウトを工夫したよ。賃料も人脈使って低く抑えることができた」
「それで?」
「なんとか半年で投資回収して、なんとか年商1億にのせたい」
「それでラーメンにはどんなこだわりが?」
「まあ、売れ線のとんこつ系かなぁ」
「・・・」
こんな会話よくありますよね。やはり、ラーメン店出店するなら、ラーメンへのこだわりからスタートして欲しいのです。
いろいろな意見があるのは承知しています。これは私の譲りがたい価値観です。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。