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『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』で考える "人材のミスマッチ"

貴方は仕事を探す時、どんな条件を重要視しますか?

職種・給与・勤務地・勤務時間・休日日数・福利厚生……。
人によって様々な意見はあるかと思います。
しかし "その職場が自分に本当に合っているのか" について熟慮する方は少ないのではないでしょうか。

今回は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』を通じて、人材と企業のミスマッチについて考えてみたいと思います。


1.『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』における人材のミスマッチとは?

我が家は鉄血のオルフェンズが大好きで何度も観ているのですが、先日2期の地球支部編(第30話 - 第33話)を観ていてある事に気が付きました。
テイワズから鉄華団に派遣されたラディーチェの裏切りですが、コレ完全に人材のミスマッチで起きた悲劇じゃないのか?と。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第32話 「友よ」より

まず大前提として、ラディーチェはテイワズから派遣されてきた人材です。
決して自分から鉄華団を志願して来た訳ではありません。
テイワズはこの世界では超巨大複合企業であり、対して鉄華団は起業したばかりのスタートアップ企業であると言えましょう。

派遣したマクマード氏は、もちろんキチンとした思惑があって彼を派遣したはずです。
識字率が低い鉄華団では事務方が少なく、各方面の交渉事などのスキルもありません。
そういった部分をラディーチェから学び取り、より大きく成長する事を願っていた事でしょう。

しかしメリビットと違い、ラディーチェはマクマード氏の真の意図をそこまで汲み取る事は出来ませんでした。
否、もしかしたらある程度汲み取ったうえで「なぜ私がそこまでしなければならないんだ」と思っていたかもしれません。

そう、つまりラディーチェは典型的な "言われたこと以外はやらない" 典型的なサラリーマン思考の持ち主であったという事です。

2.人材のミスマッチが起こる原因

コレを読んでいる大半の方は、誰かしらに雇用されて収入を得ている方が大半であると思われます。
もしかしたら、「サラリーマン思考のどこが悪いんだ」と憤慨されているかもしれません。

誤解の無いように申し上げておきます。
サラリーマン思考そのものは、別に悪い事ではありません。
(というか働き方の自由の一種であると思っています)
問題は、スタートアップ企業では致命的にかみ合わないという事です。

まず大前提ですが、スタートアップ企業は労働環境がどうしてもブラック気味になります

何故かというと、スタートアップ企業は既存の企業に追いついて初めてスタートラインに立てます。
そして追いつくために、鬼の仕事量をこなさなければなりません。
(普通にやっていたらいつまでたっても追いつけないので)

また既存の競合他社に追いつくためには、既存とは違う様々な試みを行う事が要求されます。
こちらも厄介で、思考を巡らして試行錯誤の繰り返し。
並大抵の熱量では行えるものではありません。

誤解を恐れずに言うなら、ある種の狂気が必要です。
「この会社の製品(もしくはサービス)が死ぬほど好きなんだ!」
という狂った人以外、スタートアップ企業に入社してはいけません。
雇われた人間はもちろんの事、雇用主側も長期的に見て不利益です。

重ねて言います。
就活をする際に「とりあえず内定貰ったから」などという安易な理由で、スタートアップ企業に入社してはいけません。
コレは絶対です。

もし貴方が「言われた事以外やりたくない」というサラリーマン思考なら、既にシステムが確立されている大企業や古い企業などに入社しましょう。

3.スタートアップ企業入社のメリットは?

「それじゃスタートアップ企業入社のメリットなんてないじゃん」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そこでスタートアップ企業入社のメリットを、当事者として解説したいと思います。

【①:会社の幹部として中枢に入り込める】

スタートアップ企業は基本的に常に人材不足です。
故に最初はスキルが未熟でも前歴が無関係の職種でも、幹部になれる場合があります。
※ただし勉強して自己スキルアップする事はほぼ必須です

実は私もマーケターの前歴は出産・育児のため専業主婦だったので、実質無職みたいなもんでしたが、死ぬ気で勉強して今があります。
資格なんて普通自動車免許しか持っていませんでしたし、スキルと言えばWord・Excelと趣味でHP製作をしていたため多少HTMLが使える程度でした。

こんなのでも、死ぬ気で勉強して自己スキルアップすれば幹部になれます。
大手では絶対に不可能です。

【②:大幅なスキルアップ・キャリアアップが可能】

正確には可能というより "スキルアップが必須→結果としてキャリアアップになる" なのではありますが、とにかく目標を持ってスキルアップするので、一本筋の通ったキャリアになります。

大手だとプロジェクトの歯車になるので末端の人間にはプロジェクトの全容が見えず、転職の際に「どんな目的のプロジェクトでどんな事をしてどんな成果を収めたのか」がPRしづらいです。

しかしスタートアップ企業経験者は「こういうプロジェクトのためにこういうスキルを使う仕事をしてこういう結果が出ました」と説明が可能です。
何故なら少人数であるからこそ、プロジェクトの全容が見える位置にいるからです。

キャリアアップとは学歴や職歴だけでなく、スキルや専門知識など自分が積み上げてきたもの全てを指します。
人生のいずれかのタイミングでコレを積み上げておかないと、歳を取って若さと言う武器を失い、誰でも出来る低賃金労働で疲弊する羽目になります。

ましてや、少子高齢化では社会保障の削減が止まる事は無いでしょう。
定年退職で悠々自適に生きられる人は僅かですし、定年後に低賃金バイトでこき使われるのが嫌ならば、不労所得を積み上げるか個人でも食っていけるスキルや専門知識を取得するしかありません。

ちなみにコロナショック以降、私はスキルのおかげで悠々自適のリモートワーク生活を送っています。
また、いつか独立できるよう勉強と準備の日々を送っています。
スキルアップ・キャリアアップは様々な意味で、余裕を生み出すのです。

【③:自分の思いもよらない適性がわかる】

スタートアップ企業は人材不足なので、何でもやる必要があります。
「この仕事したくありません」なんて言っている余裕は無いのです。
その過程で、思いもしなかった自分の適性が判明する事があります。

これまた私事で恐縮ですが、実は私は現在の会社に入社した際、通販の軽作業員として雇用されたのです。
しかしその中でサイトの作りが気になってしまい、HTMLを齧っていたこともあって社長に「ココをこうした方が売れると思います」と提言しました。

当時弊社にはサイト改装までする人員的余裕はなく、"自分でやるなら良いよ" という事でサイト改装を任されました。
通常業務をこなしつつ休憩時間などを使ってコツコツ改装。
結果、売上を伸ばす事に成功したのです。

するとその成果が社長とマーケティングチームのリーダーの目に留まり、マーケターへの異動を打診されました。
当時の私はマーケティング経験など無いド素人。
しかし「世の中は勉強すれば大抵の事はできるようになる」と思っていた私は「やってみます!!」と答えました。

クビになりたくない一心で、死ぬ気でマーケティングの勉強をしました。
しかしその過程で、ある事に気が付いたのです。
「あれ?マーケティングってゲームみたいで面白いな?」と。
元々経営系SLG大好きでしたが、嗜好と適正と職種が合致した瞬間でした。

最初は全く想定していなかったキャリアでしたが、今ではマーケターは天職だと思っています。
こんな風に思いもよらない道が開ける事もありますので、「何でもやってみる」というのは本当に大事だと思います。

4.能力は大事だが適応力はもっと大事

話を『鉄血のオルフェンズ』に戻しましょう。
最初に鉄華団に派遣されてきたメリビット女史は元々優秀でしたが、更に鉄華団に合わせて柔軟に変化していきました。
(異議を唱える事もありましたし、変化した事の善悪はさておき)

対して、ラディーチェはどうでしょう。
鉄華団の面々を常に見下しており、変化を拒み(自分のやり方を貫き通していた)、「自分は絶対に正しい」という思い込みのせいで自滅しました。
マクマードの面子もあるので、優秀な人材であったのはほぼ間違いないにもかかわらず、です。

能力は大事です。
しかし全く違う環境に放り込まれたときにその能力を発揮できるかどうかは、また別問題。

ラディーチェの破滅の要因は雇用主(マクマード)の意図する事を読み取れず(もしくは意図的に無視した)、全く違う環境にもかかわらず今までのやり方を押し通そうとして歪を生み出し、外部から介入する隙を生み出してしまった事でしょう。

5.キャリアの形成について

ここまで読んでいただければ、スタートアップ企業に入社することが如何に覚悟が必要であるかという事は分かっていただけたと思います。
言われた事以外やらないサラリーマン思考が必ずしも悪いとは言いません。
変化を拒み、大企業の歯車として働くのも良いでしょう。

しかし時代は常に変化していくもの。
その地盤が未来永劫変化しないなどという事は、まず有り得ません。
いざという時に適応力の無い人間から淘汰されていくのは確かです。

スタートアップでバリバリ働き、スキルや知識を身に着け独立するもよし。
大企業でコツコツ資産を築き上げて、不労所得である投資信託や不動産収入を得られるようにするもよし。
10年20年30年と先を見据えて、キャリアの形成を意識して就活しましょう。

【どんな人間にも適性は必ずある】

「そんな事言ったって、もう歳だしロクな学歴もスキルもないよ……」
そんな風に嘆いていませんか?
大丈夫!何故なら、時代は常に変化していきます。
つまり、時代に必要とされるスキルや知識も変化していくという訳です。

人間を深堀りするのが好きなある意味ストーカー気質の私ですら、マーケターという天職に辿り着けました。
貴方の資質や嗜好で時代のニーズに合う要素が、視点を変えればきっとあるはずです。

【弱点を武器にした歌手が実在する】

「綺麗事言うんじゃない!そんなものあってたまるか」
そういう方もいらっしゃると思うので、資質とニーズが合致した実例を提示しましょう。

90年代に活躍したスキャットマン・ジョンというミュージシャンがいます。
彼は幼少時から吃音症(言葉が滑らかに出てこない発話障害の1つ)で上手く喋る事が出来ず、ジャズピアニストだったものの恥ずかしさからロクに喋らずいつも隠れるように演奏をしていました。

しかし「意味のない言葉ならどもっても問題がないのではないか」と思った彼は、スキャット(メロディに意味のない音を乗せる歌唱法)を取り入れた歌唱法を演奏に盛り込もうと考え、作品を発表。
1994年にリリースされた『Scatman (Ski-Ba-Bop-Ba-Dop-Bop)』は世界中で約600万枚もの売り上げを記録しました。

ちなみに彼が歌手としてメジャーデビューしたのは52歳。
資質開花に年齢は関係ないと、彼自身が証明していますね。

6.まとめ

もし今の会社でキャリア形成も資産形成も不可能であると感じるならば、貴方はその会社で人材のミスマッチを起こしているかもしれません。
貴方の輝ける場所を探してみるという選択肢を、頭の片隅にでも常に置いておいてください。

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は歴代ガンダムでも稀有な "主人公達がビジネスをしているガンダム" ですので、ビジネス・マーケティング視点で観ていると違ったものが見えてきて面白いです。
観た事ない方は、ぜひ一度ご覧ください!

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最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!


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