めだか太平洋を往け
重松清さん新作。
定年退職したアンミツ先生は、退職してからも先生で、6年時に担任した200人余りの卒業生に近況を尋ねる手紙を出す…。
一方で、息子とその奥さんを交通事故で一瞬にして失い、血の繋がらない孫の面倒をみることになる…。
不登校の孫と大人になったかつての教え子との話が並立して進行し、震災後の北三陸市で繋がって行く。
被災地で懸命に生きる人々の悲しみ、強さを通じて、色々な事情を抱える卒業生は、翔也はアンミツ先生はどう変わって行くのか…。
川下に向かって泳げば流されてしまう、川上に向かって泳いでも流れの早さに負けてその場に留まっているように見える…。
いつかは太平洋に出て自由に泳ぐそんなめだかになってください。
うーん。いいお話です。
ヒデヨシの優しさ、キックの優しさ、テンコさんのひたむきさ、そして何より、息子の健夫君が血の繋がらない息子にかけた愛情の深さ…。
後半は大洪水でした。
アンミツ先生の薫陶を受けためだか達はみんな見事に大海で自分らしく泳いでいました。
そして、翔也もきっとそんなめだかになるのでしょう。