山本文緒さんを偲んで。
私のアンテナには一度も引っかかる事が無かった作家…。
先日テレビで訃報に接しました。
40年ぶりに再会した従姉妹がファンと知り、何となく心に引っかかっていました。
「群青の夜の羽毛布」というB級シネマの中で本上まなみさんがやけに妖艶で印象的でした。
筋はすっかり忘れてしまっていましたが
原作者が山本さんだったと知り、更に上書きされました。
Amazonやブックオフオンラインで、目当ての作家の作品が数少なくなってきたので、
紀伊國屋書店に赴き物色中にふと彼女の追悼特集のコーナーが目に留まりました。
「恋愛中毒」と「プラナリア」を行きつ戻りつし、直木賞受賞作という事でこちらの作品を購入。
なんというか実に巧妙に都会で1人生きていく女性の心情を捉えて描き出しています。
間違いなく非凡な才能を感じます。
然し、実に「女」の小説であり物語。
複雑に移りゆく心象風景や、生理的な躁鬱、心の襞の内側を知るにつけ、白けていく自分の心があります。
端的に言えば許容出来ない男の性、いや、そこを逃げ場にする男としての器の小ささが受容できない底辺にあります。
彼女の物語の中に自分を埋没させた時、ヒロインの相手若しくは、関わりの深い人だとすると、悪役的な自分が垣間見えるのです。
なので読後感があまり良いものではない。
男として、いやダメ男の端くれとしてとても心が痛むのです。