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愛用していた万年筆を家の中の小さな隙間に落としてしまったことを機にガラスペンを購入した。

数年前に有隣堂のYouTubeでその存在を知ってから、いつか使ってみたいなと思っていたので、満を持して、である。

せっかくなら想いをもって作られたものをお迎えしたいとハンドメイドの作品を購入できるサイトの中で探したところ、すぐに「これだ!」というものに出会った。

その美しい色合いと「森に吹く風のガラスペン」という名前に惹かれて、購入するとほどなくして案内を記した丁寧なメッセージが届き、ますます到着が楽しみになった。


数日後に届いたガラスペンは思った以上にキレイで、早速インクをつけて筆を動かすとカリカリと、氷がささやくような音がする。

その音と筆を動かす感覚が心地よくてすらすら筆が進む。

キラキラのガラスペンに猫たちも興味津々
日常的に手紙を書きたいという想いがますます強くなりました。

先月から始めた「つきのま」では季節のハーブティーと一緒に手書きのおたよりをお送りしていて、「もっと字が綺麗になりたいなあ」と思っているのだが、このガラスペンを使うと自然と一文字一文字丁寧に書きたくなるし、字を書くことが楽しくなりそうだ。

「好きこそものの上手なれ」と言うけれど、気持ちよく取り組めることや自画自賛であっても「上手かも」と思えることが好きにつながり、経験が積み重なって「上手」になるのではと思う。


社会人になってから毎年のようにしていた引越しで気づいたら無くなってしまっていたけれど、小さい頃からずっと使っているハサミがあった。

随分小さいときにもらった気がするが、その後長い間使い続けていたことを考えるとハサミ自体はそんなに小さくなかったのかもしれない。
薄ピンクの柄に、ピーターラビットのようなうさぎのイラストの描いてあるカバーのついたそのハサミはとにかく使い心地が良かった。

切りたいところを、スッと切ることができる。

小さい頃から工作が好きで手が器用と言われていたが、切れ味の良いハサミを使っていたから切ることを楽しくできたのだと今になって思う。(あまりに気持ちよく「切る」ことをしていたので、裁ちばさみで布と一緒にその下にあったカーペットまで切ってしまったこともある)

一昨年、久しぶりに日本に居を構え生活を始めたが、100円ショップで買ったハサミは思ったように切れなくてビックリした。

100円でハサミが手に入ること自体とてもありがたいが、一見スマートでよく切れそうなハサミも使ってみるとどことなく違和感がある。
パッケージを開けるために使うのには申し分ないが、工作をするとなると細かい部分を思ったように切るのが難しい。


社会人になって数年後、コーチングを学び始めて間もなく、習ったことを活用して話を聞いていたら、相手がどんどん話をして、自分で考えを深めていくということが起こった。

「わたしはネイティブコーチ(もともとコーチの素質を持っている人)だったのね♪」などと思ったが、今思えばやはり使いやすいスキルを教えてもらい活用したからこそ、相手は話をしやすかったのだと思う。

もし小さい頃に切れ味の悪いハサミで工作をしていたら、工作が好きにならなかったかもしれない。

初めにコーチングと出会ったときに難しいスキルを学んで、なかなか上手く使えなかったらコーチングが好きにならなかったかもしれない。


「自信」というのは最終的には自分の内に育まれるものだが、その始まりはちょっとした支えが必要だ。

取り組んでいて楽しいという体験。
何かが上手くできたという結果。
誰かに喜んでもらったり、驚かれたりという反応。

それらがゆりかごとなって、「内なる自信」が育まれていく。

「内なる自信」が育まれると、結果や反応がなくとも「大丈夫」と思えるようになる。


安くていいものもたくさんある。

そんな中でも、使う人を想ってひとつひとつ作られた道具が「心地よく書く体験」を後押ししてくれるように、丁寧に作られた良い道具を使うからこそ育まれるものがあるのではないかと思う。


あなたのお気に入りの道具はどんな道具ですか?(スキルかもしれません)

その道具はあなたにどんな体験をもたらしてくれましたか?



今回、ガラスペンを購入した硝子工房きつねらんぷさんの作品はこちら👇


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awai Sou / 佐藤 草 自然(わたし)にかえろう🌿ともにいのちを生きる
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