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32歳、モラトリアム期到来。

ふとした瞬間に見える、ネット記事の見出し。

「ワーママに聞く、フルタイム勤務と家事育児の両立のコツ」
「おすすめ時短家電、時短調理方法を伝授」

さっとスクロールして見えないようにする。
その種の記事は、その情報を必要としていた層から滑落した今のわたしを傷つけてくる。

先に言っておくけど、その記事やコラムは一切悪くない。誰も何も悪くないことで、勝手に傷ついている自分が悪い。

1月末で退職したわたしは、只今迷走中。
フルタイム勤務で家事を極力簡略化させるため動線にこだわった家、洗濯から乾燥までできちゃうドラム式洗濯機、時短調理ができちゃう電気圧力鍋。
そんな超絶便利家電に囲まれながら、毎日家で引きこもり生活を送っている。

専業主婦と言われれば聞こえはいいけど、それは叶わない家計なのでやはり働き口を見つけないといけない。でも働く元気がない。働きたくない。今のわたしはただの32歳無職の女である。


脱衣所からキッチンに並べられている便利家電たちがわたしを責めてくる。
「時短せんくてもいいやんけ~あんた時間有り余ってるんちゃいます?」
「毎日ダイニングに腰かけてええのお。私らの方が働いとるわ~」

階段下に家を作ったルンバちゃんも圧力をかけてくる。
「私なんてこの家に来てから3回しか動いてないわ。いらんかったんちゃうん。掃除機いつでもかけれるやん。てかあんた、私の使い方知らんやん。」

ああ、ごめんなさい。おっしゃる通りでございます。
申し訳なくなって、働いていた時には絶対にしなかった洗濯機のフィルター掃除なんかやってみる。ルンバちゃんに関しては、フィルターがどこなのかもわからないのでそっと目をそらす。

会社員でもない、専業主婦でもない、何者でもない。
何者でもないことが、まさか家電から責められると感じるほどわたしを追い込むとは思いもしなかった。
でも、働く気力が沸かない。何がしたいかわからない。なんなら人にも会いたくない。

思い返せば、高校を卒業してから不本意ながら働きだし、転職はしたが無職だった期間は1か月もなかった。結婚して子供ができてから育児休業はとったけど、何者でもない無職の期間がいつまで続くか不透明な状態は初めてだと思う。

そこで、タイトルである。
遅れたモラトリアム期、到来。

なんとなく流れで働いてきた自分を見つめる期間が必要なのかもしれない。
だから職業訓練の選考落ちたのかもしれない。
だから実はこっそり受けた面接も落ちたのかもしれない。
とか都合よく考えるのも、モラトリアムのせいにしておく。

いろいろやってみる。試してみる。
たくさん本を読む。図書館に行く。
なんでもいいからnoteを書く。
もう少し充電したら人に会いに行く。嫌だけど。
求人も見る。嫌だけど。

やることを書き出すと、少しこころが軽くなった気がする。

なんとなくnoteを開いて打ち始めただけだったけど、ワーママ向けネット記事からの不意打ちの攻撃や便利家電たちの無言の圧力に耐えながらモラトリアム期を満喫しようかなという気持ちになった。
note、すごい。


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