見出し画像

私の創作論はこんなもの

創作論だなんて、大層なタイトルをつけてしまったような気がする。
ただ、本当に私の創作論は「こんなもの」でしかない。
まとめる必要もないか、なんて思っていたけれど、今の私はこういうことを考えてるよ、という意味での記録を残すためにまとめてみることにした。

そもそも創作論ってなんだろう? という話から始まる。
私は創作の世界に理論から入ったわけじゃないから、いざそう言われてみるとよくわからないのが本音。
キャラクターの作り方、ストーリーの作り方、世界観の作り方、文章の書き方……おそらく、そういうもの全般についてどうしていくか、というものなんだろうと解釈した。

最初に書いておきたいのは、私は小説を書くときにプロットを作らない。
プロットを作るのは大事、という話はよく聞く。
聞いたことがあるから、私も一時期プロットを作ろうとしていた。ただ、断念してしまった。
どうも私の話の書き方とプロットというものの相性が悪かったらしい。
私の話の書き方は、言ってしまえば箱庭タイプだ。

この箱庭タイプの説明が難しい。
世界観ができあがったときには、もうその世界の中で人々が暮らしていて、それぞれの人生が始まっている。
私はその人々の中から主人公になる人を見つけて、その人の人生を物語として書いている。
こうとしか言えないのだ。
世界観ができあがるってどういうこと? 人々が暮らしているって? その人の人生ができあがっているって何? と言われると、その説明ができない。
街中ですれ違う人たちにそれぞれの生活があるように、その世界で暮らす人たちにもそれぞれの生活がある。
そのくらい、自然にこれをやってしまっている。

この作り方をしていると、大半の創作論と相性が悪くなってしまう。
そして、他人にどうやって話を書いているかの説明もできなくなってしまう。
元々創作論を語る気はなかったけども、今までまとめてみようとも思わなかったのはこれが理由だった。
「どうやってストーリーを考えてるの?」と聞いて「世界観が固まったときにはもうストーリーが頭の中で見えてて」なんて返されたら、私が聞きたいのはそういう話じゃない、と言いたくなりそうだから。
強いて言えることといえば、世界観の作り方だと思う。
話の舞台となる世界観については、私が考えてると言えるものだ。

世界観を考えるときは「こういう話を書きたい」という動機がある。
その動機がなければ、新しく話の世界観を考えようなんて思わないから。
その動機がストーリーと結びついていることもあれば(この場合は主人公も浮かんでることが多い)、ただ「こういう世界での話を書いてみたい」というものもある。
後者の場合、どんな話になるかは私自身も分かっていない。

noteに置いている話がルヴァンシュだけだから、ルヴァンシュを例にして話したいと思う。
ルヴァンシュは元ネタから改編してオリジナルにしている話のため、少し例外の部分もあるがそれは置いておく。
ルヴァンシュは異世界ものの話を書きたいと思って書いた話。
中世ヨーロッパのような雰囲気で、魔法があって。
ラノベでよくあるような世界観の話を書きたい、と思った。
こう思ったのにも理由がある。
他に今書いている話が、基本的に現代を舞台にした話だったからだ。
魔法もなく、少しだけ近未来のような世界観ではあるものの、自分の力で戦っていく戦闘もの。
他にもいくつかの話は書いているが、この戦闘ものの話をメインで書いていたため、まったく違う雰囲気の話を書いてみたくなった。
ルヴァンシュを書こうと思った動機はこれ。

ルヴァンシュの登場人物にはモデルとなった人物がいる。
先ほど「元ネタ」と言ったものだ。
そのため、キャラクターの作り方については割愛せざるを得ない。
もちろんモデルとなった人物とは変更している部分もあるが、おおまかな性格などは変わっていない。
これに関してひとつ言えることがあるとするなら、キャラクターにはモデルがいた方が人物に深みが出る、ということかもしれない。
モデルがいれば、この人はこんなことを考えていて発言をしたりこんな行動をしそうだな、と想像しやすくなる。
本来ならキャラクターを作るときにそこまで詰めて考えるのだろうが、実際にいる人物を参考にするのもひとつの手だと思う。

ただ、この手を使うときの問題点もある。
現実の人間はあまりにも複雑すぎるのだ。
小説ではある程度一貫した性格であることが必要だし、言動などにも整合性が求められたりする。
ただ、現実の人間はそうではない。
モデルとした人間の実際の姿に囚われすぎると、小説の中でのキャラクターがブレることになる。
ある程度は割り切って、キャラクターの一貫性を重視した方がいい。

元ネタとなった人物(ちなみにこの人たちは六人)を思い浮かべて、中世ヨーロッパの世界観に置いてみたとき、王族に配置をするとうまくハマる人物がいた。
それが第二王子、シプレだった。
そこから逆に考えて人物を配置していった結果、精霊士アルテア、獣人の魔法使いカンナ、情報屋ラウルス、第一王子キトルス、宰相アルボルの役職が決まった。
その中でもシプレ、アルテア、カンナ、ラウルスの四人を中心として物語を進めることを決めた。
少しストーリーを考えたときに、プラタノ皇国にいたのがこの四人だったから、という理由が大きい。
ストーリー構成とキャラ付けを同時に行なっていた、と言うのが正しいかもしれない。

アルテアとカンナを元貴族としたのは、王族と関わりを持たせる上で完全な平民というのは合わないような気がしたから。
ここはご都合主義な面もある。よくあるラノベの設定を拝借した部分だ。
アルテアを侯爵家、カンナを伯爵家に置いて、それぞれの家がどんな立場なのか、現在はどうなっているのかを決める。
実際はアルテアとカンナの現在が先に決まっていたから、どうしてこうなったかを遡って設定を決めていた。
アルテアの過去が見えてきたとき、現在の宰相であるアルボルとの繋がりも見えた。
アルボルの策略によって、アルテア以外の一族が処刑されてしまったという過去だ。
この時点で、主人公をアルテアに決めた。
アルテアを主軸に置いた方が、多くの人物との繋がりが見えて書きやすかったからだ。

次に、シプレについて決めていった。
シプレを第二王子としたのは、王位争いのことを考えたからだった。
王家の血が濃いと考えられているシプレがいるうえで、王位継承が問題となるなら第一王子がいる場合だろう、という単純な思考があったから。
そのためにキトルスの存在が必要だった。
キトルスとシプレの関係性と性格は、相互に影響しあうことを考えて作っていった。

元々の兄弟仲がよくないというところにつけ込んだ人物がいて、兄弟での分断を起こして争わせるなら王位争いがあってもおかしくない。
この悪役のような立ち回りをする必要がある人物に、アルボルを配置した。
アルボルの性格を考えるのが難しい。
置かれた立場の影響で変わってしまった部分を含みつつ、根底にある性格には共通する部分があるような人物にすることを気をつけていた。
キトルスとアルボルに関しては、背景も決めているものの本編では登場回数が少ないキャラだ。

最後に配置が決まったのがラウルスだった。
アルテアとカンナのことを考えると、プラタノ皇国で出会った人物がほしい。
それなりに警戒心が強い二人が心を許すような相手は誰だろうかと考えた結果、情報屋なのではないだろうかと思った。
プラタノ皇国は二人にとって異国の地。
情報を提供してくれる人物は、時を重ねれば信頼できる相手になるのではないだろうかと思ったのだ。
そうするとラウルスにとって二人に近づくメリットは? と考えることになる。
その部分を考えた結果、ラウルスの素性ができあがった。
アルテアにとっては思いもよらない味方である。

ここまで考えた時点で、おおまかなストーリーも完成していた。
王位争いによる内乱が起こった国、フレッサ王国。
その隣にあり、王国からの難民を多く受け入れていたプラタノ皇国。
プラタノ皇国に逃げてきて暮らしているアルテア、カンナと、二人の助けになっているラウルス。
フレッサ王国で王位争いを繰り広げるキトルスとシプレ。
そんな中、争いに負けたシプレがプラタノ皇国へと逃げてきて、アルテアと出会ったら。
これがルヴァンシュの冒頭のシーンになった。

その後の話はnoteに載せていないためここでは書かないが、ここまで世界観とキャラクターの背景などがしっかり決まっていればストーリーも自然と生まれて書けるようになる。
人物が勝手に動いてくれるからそれを書いていくだけ、という作業。

そして、意識していない伏線まで生まれる。
こればかりはうまく説明できないのだが、書いているときには理解できないキャラクターの行動が後になって伏線として回収されることがあるのだ。
私が書く話で出てくる伏線は、私が意図して書いているものは実は少ない。

こんな感じでいつもなんとなく書いている話は、世界観とキャラクターができあがっているため書こうと思えばいつまででも書ける話になっている。
終わりがわからなくなってしまうのだ。
いつもどこで完結とするか迷いながら書いているから、長編の話が多くなってしまうのは仕方がないと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?