どうして阪急と神戸市営地下鉄は直通しなかったのか
どもこんにちはawafgsです。
どうして阪急と神戸市営地下鉄が直通してないのか気になったことはないですか?(ない)なぜ直通しなかったのかを予想していきます。
計画の始まり
計画の始まりは2004年10月の近畿地方交通審議会答申第8号です。
この計画の中に神戸市営地下鉄と阪急神戸線の直通運転が初めて盛り込まれました。
引用元
https://web.archive.org/web/20130207201435/https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/shingi/pdf/8-5-2.pdf
当時の神戸市はそれにすぐにこれに合意したというわけではありませんでした。
当時の神戸市は(国交省の補助は出るとはいえ、)建設費の支払いが発生することや、三宮以北の新神戸、谷上方面の列車を減便しないといけないことから難色を示し、そのままこの話はしばらく放置ゲーになりました。
9年ぶりの掘り起こし
さて2013年、久元喜造氏が神戸市長になりました。神戸市長になった久本氏は、この直通運転の計画について前向きに検討し始めました。
さて、急にこの計画が掘り起こされた理由はなんなのでしょうか?
私は神戸市の人口減が原因ではないかと考えます。
2004年当時、神戸市は人口増加をしていました。
しかしながら2010年を境にどんどん減っていっていました。
また、その人口減の中心となっているのは西区の西神ニュータウンなどです。
なので、大阪まで1本で行けるという強みを西神地区に持たせたかったのではないかと考えます。
これはあくまで僕の考えですが、なくはない話だとは思います。
話は戻りますが、さらにここから快速運転復活の話題、ルートが新神戸ルート、三宮ルート、長田周辺ルートに絞れたことなど、ある程度の話題が出ました。(特に快速復活はアツい)
ルート案
快速復活
実現可能かどうか
まずこの計画がそもそも実現可能かどうかについて書かせていただきます。
簡潔に言うと超えなければいけない壁は高いですが、技術的には実現可能だと考えます。
軌間幅が同じ1435mmの標準軌であり、車体の寸法もほぼ一緒です。(2センチほど神戸市営地下鉄の車両のほうが大きいが)
しかしながら、問題点が4つほどあります。
1つ目に神戸市営地下鉄側の車両の最高速度が遅いことです。
神戸市営地下鉄は90km運転を前提に作られており、阪急で115kmを出す前提にはつくられていません(阪急からの片乗り入れという手もあるけど、かなり車両使用料がかかる。)
2つ目に保安装置の問題です。
阪急側の保安装置はATSが保安装置ですが、神戸市営地下鉄側の保安装置は、ATCやATOです。もちろんそれぞれの会社の保安装置しか積んでませんから、増設しなければなりません(できるかどうかはわかりませんが)
3つ目に阪急の車両の加速力の問題です。
というのも地下鉄側の起動加速度は3.3km/h/s(当時の3000形のデータ)
しかしながら阪急側の車両の起動加速度は2.6km/h/s(1000系のデータ)
なので阪急の車両をそのまま地下鉄に持ってきてしまうと、加速が遅いので地下鉄でダイヤを乱しまくる原因になってしまうわけです。
4つ目は両数の問題です。
神戸市営地下鉄の両数は基本6両であり、6両で事足りるぐらいの輸送力なのですが、阪急の両数は基本8両、場合によっては10両必要になった(来年2月のダイヤ改正でなくなりますけど)ような路線です。
実は昔阪急は山陽とも直通運転を実施していましたが、山陽の車両が6両編成ということで、直通がなくなった過去があります。
実質凍結となった計画
2020年、神戸新聞はこの構想について、神戸市と阪急が「現時点で投資に見合う効果が見込めない」とし、協議を打ち切られたと報道した。
この記事から理由などを引用させていただきます。
これを見る限り、神戸市は東西交通の利便性が高いので、検討を仕切り直しにしたらしいです。
ちなみに地下鉄海岸線の総事業費は2350億円だったので、2000億円というのは相当な金額となります。
しかしながらどうしてこの計画は頓挫してしまったのでしょうか?
その理由は2つあると私は考えます。
1つ目はそもそもの事業費が高すぎたことです。
先述の通り、事業費の2000億円というのは地下鉄を1つ作れてしまうぐらいの値段です。
国交省の補助と、阪急がある程度払うとはいえ、それでも650億円程度…
高すぎる!!
正直西神地区や北須磨地区に、しかもただの直通にこれだけのお金をかけるのはあまり合理的ではないと判断したとおもいます。
なんならこの650億ってどこから出るかって税金ですからね…
2つ目は沿線人口が想定以上に減少したことです。
乗る人がいなければもちろん採算が取れません。
神戸市の人口減少率は全国でもかなり高いものですが、須磨区北須磨地区、垂水区、西区がその中心になっています。
事実、平成25年12月から令和2年10月の神戸市の人口減少数は23836人ですが、そのうち、北須磨地区が5954人減、垂水区が5229人減、西区が9857人減、合わせて21040人がこの3地区が中心となっていますから、どれだけこの地区の人口減少が深刻かがわかると思います。
予想以上に沿線人口が減ってしまったので、計画が実質凍結状態になってしまったのではないでしょうか
復活の可能性は?
ゼロではありません。先程の実質凍結の報道でも、「乗り入れ構想は撤回しない」との記載があります。しかしながらこれは神戸の人口が回復したらの話です。
もちろん市が人口減少対策のために積極的にアピールして誘致するということもありえますが、流石にこの人口減少対策のために650億もはたいて効果が限定的な阪急地下鉄直通よりももっと他にやれるべきことはあるはずです。
その点からして、まずは神戸市(特に、先述した3地区)の人口をどれだけ増加させられるかが今後の阪急地下鉄直通の鍵になります。
そして、人口が回復し、地下鉄の利用者が増えたら、阪急側も魅力的だと感じ、協力してくれるでしょう。その時まで頑張ってほしいと感じます。
おまけ 今作るとなったらどれぐらいかかるのか
この構想の2000億円というのは2020年に出された金額ですが、物価高騰とかで値上がると思われます。
なので、いま作るとなったらどれぐらいかかるのか試算してみます。
大阪関西万博 2020年、1850億円→2024年最大2350億円 約27%増
今回はこれを参考にします。(ガバガバ試算やけど許して)
2000億円から27%増加すると2540億円です。
もちろんこれは(万博側の建設費が)新しい注文をしたり、逆に建設費を圧縮したうえの27%増の可能性もあるので、少なくとも一概に言えるものではありませんが、まあこのような金額になるんでしょうね
まとめ
個人的には阪急と地下鉄が直通するのはロマンがあるので、直通してほしいと思ってたりしますが、しかしながら、超えなければいけない壁は高いと思いました。