「見た目問題」について、知っていますか?
こんにちは。会社員・パラアスリートの阿渡(あわたり)です。
突然ですが、みなさんは「見た目問題」という言葉を聞いたことはありますか?? 大半の方は、聞いたことがない言葉だと思います。
いきなりですが、頭の中で想像して下さい。
「ある日、あなたとあなたのお子さん(5歳の娘さんと仮定)が街を歩いていると、反対から、両手のない僕が歩いてきました。僕とすれ違う際に、あなたの娘さんが「あの人、手が無いよ!変なの~。」と大声で指をさしています」
このとき、あなたは、どういった行動を取りますか?
・・・・・
その場で娘さんを怒りますか?
「見ちゃダメ!」と娘さんに言いますか?
僕に「ごめんなさい」と伝え、その場を立ち去りますか?
無言でスルーしますか?
はい! 想像はここまでにします。
いきなり変な話をしてごめんなさい。
でも、これって、僕にとっては日常茶飯事なんですよね笑。
ここからが本題です。
先日、私の所属する会社(日揮パラレルテクノロジーズ株式会社)では、この「見た目問題」に関する社内研修を実施しました。
僕は「身体障害者」ですが、この研修を通じて「見た目問題」とは、僕とは違う問題を抱えている人がいることに気づかされました。
その気づきを書いてみます。少し長いですが、最後まで読んで頂けると嬉しいです。
講師は、NPO法人マイフェイス・マイスタイル代表の外川浩子さんにオンラインで講演いただきました。2時間の研修で、前半は「見た目問題」の概要や問題点、後半は「ケーススタディ」という流れです。
「見た目問題」とは?
(私のnoteでは「見た目問題」の方々の写真は載せていませんが、ググればすぐに分かるので、ググってください)
ふむふむ。
「見た目問題」とは、
「見た目を理由とする差別や偏見などによって生じる問題」のことか。
研修のはじめは、やはり自分と同じような悩みだろうな~。と高を括っていました。しかし、話を聞き進めていると、僕と共通する問題・共通しない問題が見えてきました。
【共通する問題】
・いじめや悪口を言われる
・差別を受ける(アルバイトや就職時、恋愛、etc)
【共通しない問題】
・「見た目問題」の方は、社会的には"障害者"には該当せず、
障害認定(障害者手帳が発行)されない
日本では、障害認定されることでさまざまな公的サービスを利用することができます。(※障害の程度に応じて受けられるサービスは異なります)
例えば、
・障害年金が支給される
・公共料金や公共施設等の割引きが受けられる
・障害者枠で就職できる 等
一方、「見た目問題」の方は、上記サービスが利用できないため
例えば、次のような不平等が生まれる可能性があります。
【例】
一定の企業には障害者を雇用する義務が課されていますが、仮に同じスキルを持っている、「僕(身体障害者)」と「見た目問題」の方が候補として残った場合、同じスキルであれば、僕は障害者手帳を保有しているため、企業側からすれば、僕を優先的に採用するでしょう(その方が障害者雇用率が上がるため)。採用時の差別とまでは言いませんが、明らかにフェアと言える仕組みではありませんね。
そして、もう一つはお金の問題。
例えば、生まれつき脱毛の方は、ウィッグやかつらを活用している方もいるそうですが、そのメンテナンス費用が非常に高いんです。
いくらだと思いますか?
なんと、1回50万円、2年に1回は買い替えが必要のようです。
1か月に2万円かかる計算。。。
僕は毎月、美容院で3000円程度ですが、その7回分の出費です。
公的サービスもないため、すべてが自腹。
普通の人にはない出費と苦労があるのだと初めて知りました。
また、公的サービスの有無によって生じる格差を知りました。
このとき、「見た目問題」の方のために、なにかできないか?を考えるようになり、具体的な策はまだ見つかっていませんが、一つの社会課題として、僕の頭に残しておくことにしました。
僕に、刺さった言葉
研修の後半では、実例をもとに「あなたなら、どんな言動をしますか?」
というケーススタディを実施しました。
冒頭の例では、両手が無い僕でしたが、ケーススタディでは
「顔に大きな赤いアザがある男性」を想定して実施されました。
研修の参加者からは次のような意見がでました。
・その場で娘を怒る
・その男性に「ごめんなさい」と伝え、その場を去る
・鬼滅の刃の主人公みたいでカッコイイね!と例えて説明する
などです。
3つ目の漫画の主人公に例えるのは、面白い発想だな、と思いました!
僕だったら、次の言動をする、と発言しました。
※これが正解という訳ではありません。
娘:あの人、変な顔してる~
僕:何が変なの?
娘:だって顔が真っ赤で変だよ~
僕:え、そう?娘ちゃんも顔にホクロあるじゃん。それと一緒だよ。
(娘には顔にホクロがある想定)
娘:一緒じゃないよ。あの人はホクロでもないし、真っ赤で大きいよ。
僕:世の中にはいろんな人がいるんだよ。(周囲を見渡しながら)
みんな同じ顔してる?目の大きさ、鼻の形、口の大きさ、
背の高さだって違うよね。
娘:そうだね。
僕:世界には、いろんな人がいていいんだよ。
娘:そうなんだ!うん、わかった!
僕:(その男性に会釈をして、その場を去る)
僕の考えは、子供は悪気があって発言しているわけではなく、見たことがない人に驚いていたり、表現力や語彙力不足から、ストレートな言葉を使ってしまいます。だから、丁寧に説明してあげることが大切かな、と思います。
一方、娘を「怒る」という行動は簡単ですが、正しい方法とは思いません。
娘の立場からすると、なぜ怒られているのかわからないですよね。
ましてや、怒った場合、「見た目問題」の方には、”ふれてはいけない人たち”、と誤った認識がされる可能性もあります。
だから、大人がきちんと説明すべき、というのが私の意見です。
と、堅苦しく語ってきましたが、
講師からは「仲良くしようね」と言えばいいのです^^
という言葉に、僕は「ハッ!」としました。
子供に色々説明しても混乱する場合があるから、一言「仲良くしようね」と伝えれば、子供も子供なりに理解してくれるようです。
なんていい言葉なんだ!と感銘を受けました。
ちなみに「優しくしようね」という表現もありますが、少し上から目線で、あまり適切な表現ではない、ともおっしゃっていました。なるほど。
それを聞くと、余計に「仲良くしようね」が深い言葉に感じてきます!
僕は思いました。
今度、街を歩いているときに、僕の体を見て驚いている子がいたら
「仲良くしようね」と僕から言ってみたいと思います!
きっと、「嫌だー」「怖いー」と言われそうですが笑。
長くなりましたが、僕にとっては非常に気づきの多い研修でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。