障害当事者が感じた居心地の良い空間の正体とは。~杭州アジアパラ競技大会を通じて感じたこと~
こんにちは。会社員&パラアスリートの阿渡(あわたり)です。
2023年10月22日~28日まで開催された「杭州2022アジアパラ競技大会」に出場してきました!
本大会は、”アジア版のパラリンピック”とも言われるビックイベントで、今回が4回目の開催です。
中国開催ということもあり、スケールの大きさを感じる大会でした。とくに選手村や試合会場の規模や設備が充実しており、とにかくすごかった!(語彙力なし)
開催都市は中国・杭州市。
44の国や地域の選手が参加し、日本選手団は監督、コーチらを含めて430人以上が参加しました。
試合結果
僕の試合結果は、Instagramで写真とともに報告しているので、気になる方はこちらをご覧ください!
本大会を通じて感じた2つのこと
一つ目は、冒頭にも書いた通り、とにかく中国のスケールの大きさを感じました!
選手村がでかい(添付写真)
食堂がでかい
設備が充実している
バスや移動車は電気自動で排気ガスの嫌な匂いがせず、音も静か
顔認証でセキュリティゲートや支払いを管理している
試合会場がでかい
ボランティアの数も桁違いに多い
など、言い出すとキリがないくらスケールの違いを感じました。(あくまで僕の主観です)
二つ目は、選手村での生活についてです。(こちらがメインの話)
選手村には、当然パラの選手がいるのですが、そこには様々な障害者が存在していました。
目が見えない方
車椅子の方
背が低い方
両手が無い方(僕はこれ)
片足が無い方
下半身が無くスケボーみたいな乗り物でスイスイ移動している方
体の一部が変形している方
などなど。
選手村は多様性に溢れており、いつもと違う風景に違和感を感じると同時に、僕は居心地の良さを感じていました。
「この居心地の良さは何だろう?」と、ふと考えました。
きっと、『自分の存在を否定されていない』という絶対的な安心感なのかな、と感じました。
道を歩いていてもジロジロ見られないし、『あの人、手が無いよ』、『気持ち悪いね』などの目線や悪口も言われない。
このような違和感を感じる反応が一切ないことが、居心地の良さの正体なのかなと感じたのです。
そこには、みんな違って当たり前、という世界が広がっています。
だから、違った形を見ても、驚かない。
むしろ個性を歓迎し、互いに助け合う。
私がYouTubeを始めたキッカケも『僕みたいな障害者が街を歩いても違和感の無い世の中にしたい』という想いからスタートしました。
SNSというメディアを活用し、一人の障害者の暮らしや一部始終を見せることで、
身近に感じて欲しい
見慣れてほしい
障害があっても、みんなと同じように普通に暮らしているよ
ということを伝えたかった。
その理想形が、今回の選手村のような形なのかな!と感じたのです。
最後に、選手村でのとある出来事を紹介します。
食堂で食事をする際に、私が持参した乾燥お味噌汁(お湯で溶かすやつ)の袋を開けるのに苦戦していたところを、背の低いマレーシア人が、下から僕を見て『Can I help you?』と声をかけてくれ、私の持っていたお味噌汁の袋をキレイに開けてくれました。
一方、高い台に置いてあったポットをとって欲しいと、そのマレーシア人に頼まれたので、私がお湯を注いであげました。
これぞ、お互いの苦手をカバーし合う名シーン!と思いませんか?
全部一人でできなくたっていいんです。
できなければ、どうやってできるかを考えて、それでもできなければ周囲に頼ればいいんです。
『自立』とは、なんでも自分でできるということではなく、どうしてもできないことや苦手なことは人や物に頼れる状態のことだと僕は思います。
今大会を通じて、自分の理想としていた世界観を体感できたことが、一番の収穫でした。
最後までお読みいただきありがとうございました!