西谷和希 2023
俺たちの和希
J2第15位(勝点49)でシーズンを終えたヴォルティス。シーズンの大半を降格圏ギリギリで過ごした苦しい一年だった。そんなチームを全力で支え続けた西谷選手。彼の涙ぐましい献身と努力が無かったら、徳島はJ3に降格していたかも知れない。ファン投票でシーズン "Most Impressive Player (MIP)" に選出されたことが物語っている。それほど、和希の頑張りに、ファン・サポーターの多くが胸を打たれた。そんな2023シーズンだった。
試合後、下を向き、顔が曇りがちだったシーズン。その中で、清々しい、気持ちのいい表情を魅せてくれた試合がある。2023年10月28日に行われたアウェイ長崎戦。後半44分までプレーし、チームは1-2で勝利。J2残留に向けて大きな3ポイントを勝ち取った試合。冒頭に掲載したカットは、試合後、ゴール裏へ挨拶に向かう際に捉えた一瞬。和希の一途で、美しい笑顔を見て欲しい。
では、シーズン振り返り、行ってみよう!
春(2月~5月)
シーズンを通して、本職のSB/WB不足に悩まされたヴォルティス。和希は、チームの求めに応じて、LSHやLWBとして、攻守の要、特に守備のタスクを多くこなしてくれた。このカットは、CBだった安部選手と擦り合わせる様子を捉えたもの。和希がカバーしてくれる広い守備エリア。DFにとっても有り難かったに違いない。
前半12分にゴラッソを決めた西谷選手。けれど、その後、2点を奪われてしまった。後半34分、ようやく曜一朗の同点弾で2-2ドローに持ち込んだアウェイ千葉戦。これは試合後のカット。終始、サイドで上下動を繰り返し、攻守の要だった和希。なぜ勝てない。選手もサポーターも持って行きどころのない悔しさを飲み込んだ試合・・・
持ち前の運動量に加え、絶妙なポジショニングで魅せてくれた和希。本当に幅広いエリアを受け持ってくれた。端的に言って、和希のいる左サイドを攻略するのは難しい。相手が諦めて、反対サイドに攻撃を集中させるシーンが多かった。それほど、和希のカバーリングは凄く、前線がボールロストするや、脱兎のごとくプレスバックし、スペースを埋め、DF陣と連携して、攻め込んできた相手を刈っていく。その才能を、守備の面でも開花させたシーズンだった。
副キャプテンを務めた今シーズン。ゲームキャプテンマークを巻くことも多かった。この試合では、柿谷からキャプテンマークを引き継いだ和希。決して雄弁・多弁ではないけど、背中で引っ張っていくタイプよね。誰にも負けず、最後まで走り続ける姿が印象的だったシーズンだった。
これも今シーズンの和希を象徴する一枚。裏のスペースにボールを通されるや、最前線にいた和希が懸命にプレスバックし、カバーリングに走る。その俊敏さは、本来そこに戻るべきSBやボランチの選手を凌ぐ。その戦術眼といい、チームの危機を察して即行動に移す機動性と運動力といい、脱帽するばかりだった。
LWBとして先発。攻守に幅広いスペースを受け持ちながら、チャンスと見るや、なかに絞ってゴールに向かう。これはドリブルでファイナルサードに斬り込む瞬間を捉えたカット。3-1で勝利した試合だったけど、サイドに蓋をした献身性が光ったけど、こうして攻撃にも加わる姿は圧巻だった。
2-1で勝利したホーム町田戦。90分通して出場しても、課題があったり、たとえ完勝したとしても、浮ついた表情を見せることは少ないよね。和希ってストイックだなあと感じることが多かった。裏返せば、くたくたになるまで走り続けないといけないWBとしての役割。それを常に完遂したシーズンだったと言える。感謝、感謝、感謝です。
夏(6月~8月)
キャプテンマークを巻いて先発した試合。LWBとして大外に開くことが多かった。これはタッチライン際でボールを貰いに行く様子を捉えた一枚。清志郎のゴールで先制するも、3点を奪い返されて、3-1で敗戦した水戸戦。後半は右サイドに回ったため、交代で入ってきた颯也を多くファインダーで納めることになった。このカット、自分なりに上手く撮れた一枚だと思っています。そんな状況でも冷静さを失わない和希のスタイル。惚れる。
スコアレスドローに終わったアウェイ東京V戦。この日もLWBとして先発しフル出場した。チームの状況も結果もなかなか上向かない。そしてナイトゲームにも関わらず、30℃近い条件での戦いだった。選手もサポーターもフラストレーションを貯める状況(6試合も勝利なし)では、さずがの和希も憮然とした表情だった。けれど、カメラに気付きながらも、視線を反らさず、まっすぐこちらを見返してくる姿が印象的だった。
これはアウェイ町田戦でのカット。エウソンに代わりケサダが出場したことで、右サイドに回ってきた和希。RWBとして守備に奔走する瞬間を捉えた一枚。スプリントしながら、ものすごい体勢でボールにアプローチする瞬間。体幹や股関節、いったいどうなってんの?!と言いたくなるカットです。体の使い方といい、求道者のようなアスリートよね。
渡のゴール(後半46分)で、なんとか2-2ドローに持ち込んだ試合。10試合も勝ちのない状況で、ゴール裏も厳しい雰囲気に包まれた。和希のこのなんとも言えない表情がやるせなかった。ブーイングはあくまで選手達を叱咤激励するもの。選手の側も申し訳ないという気持ちが伝わってきただけに、出口の見えないもどかしさに悶々とした栃木の夜だった。
コロナ禍で久しく行けてなかったTSV。たぶんこれが4年ぶりくらいの練習見学だった。そこで改めて思った。試合で魅せてくれるスプリントも運動量も、日々のトレーニングで積み重ねたものだと言うことを。繰り返し、全力でスプリントを続ける後ろ姿を追った一枚。改めて「格好いいな」と思った瞬間。あんなストイックな姿を魅せられたら、男だって男に惚れるんよね
待望の勝利。なんと11試合ぶり。90'フル出場し、勝利に貢献した和希の表情は晴れやかだった。でもJ3降格の危機が去った訳ではなく。どこまでも控えめな笑顔だった。そして、この山口戦を最後に、ラバインの監督退任がリリースされた。保持型のスタイルを維持しながら、縦に速いサッカーを標榜したラバイン。そのサッカーを体現しようと、そして駒不足のSB/WBの代役となって必死に努力したのが和希だったと思う。とにかく「報われて欲しい」と思ったシーズンでした。
吉田監督に引き継がれたヴォルティス。緒戦がアウェイ金沢戦だった。和希のゴール(前半39分)で先制し、ウノゼロで試合を締めた徳島。ヒーローインタビューを終え、ゴール裏に挨拶に来てくれた和希。決して浮かれることなく、深々と頭を下げ、サポーターに感謝の気持ちを現す和希の姿を見た。どこまでも真摯なスポーツマンなんだなと思ったなよな。
秋(9月~11月)
チャンスを作りながらもスコアレスドローに終わったアウェイ清水戦。強力な個の力を持つ清水のアタッカー達と対峙した徳島。右サイドは石尾・浜下が、左サイドはケサダ・和希がしっかりと締めてくれた。勝てないまでも噛めない戦いができる。特にアウェイで上位と対戦する時に。光明が見えた試合だった。
降格圏に沈む大宮が相手だった。誰もがホームで勝利を確信したが、結果は0-1で敗戦。多くの人が嘆き、憤慨したと思う。試練は終わらないなあと思った試合。挨拶に来た選手達も一様に暗く、沈んだ表情だった。感情の起伏が少ない方だと思うけど、和希もこの表情だった・・・
ホームでまさかの2連敗を喫した熊本戦。このシーンは、サイドチェンジのボールが大きく反れたけど、マイボールにするためタッチライン際まで必死にスプリントした時のカット。この逸れたパスを出したのは、怪我明けで久しぶりに出場した杉森選手。まだ試合勘が無い仲間のミスを必死に庇おうとして、懸命にボールに寄せようとした和希。思わず胸が熱くなり、心のなかで泣いたな。どこまでも純粋なアスリートなんだと。
#ファン感謝祭2023 でのひとコマ。試合中の険しい表情から一転、柔和な和希の表情を見ることができた。とても優しい、柔らかい雰囲気。TSVに行って良かった。たくさんの人が和希のサインを貰おうと列を作った。ひとりひとりに丁寧にサインを書き、ちゃんと相手の眼を見て、感謝する和希の姿。僕ら親子も完全に魅せられたよ!
これはホーム磐田戦。春と秋のデイゲームは、こういう風に強烈な紫外線がピッチに降り注ぐ。眼がまともに開けられないくらいに。こういう時、写真は白飛びするか黒潰れすることが多い。露出が明部か暗部かに偏ってしまうと、そうなるんよね。春夏秋冬、選手を美しく撮る。そのためにはポカスタの光りを学び、光りとともに生きること。
これはアウェイ長崎戦後のカット。貴重なアウェイ勝点3をもぎ取り、清々しい表情の和希。今シーズン見た公式戦のなかで、一番美しく、柔和な表情だったと思う。この3ポイントでJ2残留の可能性がグッと高まった。しかも相手はPO進出を狙う上位チーム。大きな仕事をやってのけた安堵感に包まれる表情に、僕らも癒やされ、救われた。長崎まで遠征して本当に良かった。
ホーム最終戦。残念ながら0-0のスコアレスドローに終わった試合。けれど、最後の瞬間まで、サイドを駆け抜け、藤枝ゴールに迫った和希の姿は忘れられない。今シーズンを象徴するようだった。ファン投票による2023シーズンの"MIP"選手に選出。それでも決して浮かれることのない和希。その努力と貢献、献身性は正当に評価され、そして報われて欲しい!
シーズン最終戦でのカット。1-1ドローで終わった試合は、キックオフ時、公式記録では4.3℃だった。けれど、雨が降りしきり、体感温度は零度近かった。試合後、雨に濡れながら荷物をまとめていると、体の震えが止まらなかったくらい。90分、左サイドで上下動し、機を見て、なかに斬り込む和希の勇姿を捉えた一枚。本当は守備の負担をかけずに、もう一列前でプレーさせてやりたい。もっとゴールに近いエリアで躍動させて上げたい。だからこそ、今シーズン、攻守にハードワークし続けた和希の偉大さが身に染みる。
2023シーズン、西谷選手が累積警告で出場できなかたのはアウェイ岡山戦だけよね。リーグ戦41試合、そして天皇杯1試合を戦ってくれた。リーグ戦を全通した僕が、もっともたくさん写真を撮り、ファインダー越しに追い続けた選手でした。その頑張りに、心から感謝し、頭が下がる思いでいっぱいです。一年間、ありがとうございました。
そして、2024年もともに
徳島を頼みます、和希🔥🔥🔥
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