
「金色のガッシュ!!」の再アニメ化を強く熱望する亡霊の話
序文
諸君は、劇場アニメ「遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS」を知っているだろうか。知っているならばこのまま進んでほしい。知らない/観ていない場合は今すぐアマプラかNETFLIXに全速前進☆DA!!

これが何かというと、いろいろと独自設定のあったアニメ版準拠ではなく、原作漫画「遊☆戯☆王」準拠の設定で作られた、という結構ホビーアニメ的には珍しい(というか唯一の)アニメなのである。
これを見て、平成初期に漫画やアニメにどっぷりハマっていた俺はあのアニメの存在を思い出さずにはいられなかった。

――――――――「金色のガッシュベル!!」。
原作の名前は「金色のガッシュ!!」だが、版権かFワードかわからんがアニメ化にさいして“ベル”がつけられた、フジテレビで放映されていたアニメである。2003年から2006年にかけて、何と全150話で放映された、ドラゴンボールがオワコン化していた当時の東映アニメとしてはワンピースに並ぶレベルの長寿番組である。
独自性を持ったTCG(トレーディング・カード・ゲーム)も発売され大ヒット、番組が3年継続する原動力となった。更に劇場版アニメも2作品上映される、といった当時の原作付きアニメとしては破格の人気を博していたこのアニメだが、実は原作ファンからは若干の不満が出ていた事でも知られる。
人気だった「ガッシュベル」、何故不評が?
原作追いつき問題
「金色のガッシュベル!!」は確かによくできたアニメだったのだが、物語終盤―――丁度ファウード編でファウードが解放されたタイミングから東映アニメではお約束の問題が発生する。
未だにワンピースが苦心している「原作追いつき問題」である。
読んで字のごとく、原作の展開にアニメが追いついてしまった結果物語の筋書きが書けなくなってしまう問題である。「週刊連載と週一アニメで追いつきとかある??」と諸兄も思うだろうが、週刊雑誌は休刊になる事がある上、そもそも原作漫画が休載されることだって当然ある。
特に「ガッシュ!!」に関してはファウード編の途中で作者・雷句が骨折という重大トラブルにより3ヶ月の休載、そもそも編集部から引き延ばし要請を受けトラブルになっていた、と「ガッシュ!!」と「ガッシュベル!!」のペースには大きな乱れが生じていたのである。
で、制作はどうしたの?
「原作追いつき問題」が発生した場合制作ができる事は3つある。
①:潔く放送を休止する。
最近ではワンピースや名探偵コナンが良くやるやり口。古い話の再放送を入れたりして時間を大きく稼ぐ。
②:アニメオリジナルの話を入れる。
東映アニメが良くやるやり方。オリジナルのキャラや設定をねじ込み、外伝的な話を作る。ガッシュで言うと「魔鏡編」とか「異世界編」がそれにあたる。


もう原作勢はまるで意味が分からんぞ!?
――――――で、制作がやったのがこれである。
③:アニメオリジナル展開で進める。
ある意味最悪の手段を取ってしまったのである。何と139話から最後まで全部アニメオリジナル展開。
具体的にどうなったかというと、
ファウード再突入の際にリオウが待ち構えておらず、戦闘が発生しない。つまり清麿が死亡しない。合わせて、清麿の死によるガッシュの覚醒もない。(これに関しては後述)
ロデュウvsウォンレイ、ウマゴン&カルディオvsファンゴ&ジェデュン。なおウォンレイがここで退場する事には変更なし。一方でジェデュンは性別すら改変される悲劇。
ナゾナゾ博士とアポロ、ファウード上空で頭を抱えているのみ。ブラゴとバリーはどうした。
一応エリーの叱咤でサウザーが共闘モードになるのは原作と同じ。冷気と炎でメドローアみたいな事やった結果撃破。ジェデュン退場。
リーヤvsギャロン。アリシエの“戦人”は据え置きだったが、ハリーの「戦うに値する相手じゃないと本気出さない」はオミット。
そのせいかあっさり敗北するが、ロデュウが乱入、何か偽物とか姑息な事やってたらさらに乱入してきたザルチムに退場させられる。というわけでザルチムvsリーヤ。ある意味ザルチム念願の一戦。と思いきや乱入してきたテッドにボコボコにされて一旦退却。哀れ。
キャンチョメ&モモンvsキース。いや無理だろ。と思ってたらどこからともなくやってきたバリーに一蹴。ここでモモンとキースはリタイア。送還はされてないらしいけど…
チェリッシュvsテッド。原作とは違いゼオンのDVは受けていないが、テッドが吐いた暴言が実質バルギルド・ザケルガとなって彼女を追いつめていた。その勢いのまま原作みたいな姐さんモードを出さずに退場。
リオウvsアース。両者の一族設定は原作と同じっぽいが、アニメオリジナルで因縁がつけられている。しかも何かギミック解除役みたいなムーヴをしてそのまま退場。ぶっちゃけ原作より退去数多くなってねえか…?
ようやくゼオン登場。ザルチムナレ死。
レイドバトルと化していたリオウ戦もゼオンが来たことで30秒ぐらいでフルボッコ。あ、やっぱりテオザケルは感電攻撃として使うんスね…で、ゼオンとデュフォーの設定がようやく開示されるわけだが…ぶっちゃけていうと、「ゼオンとガッシュが双子の兄弟」以外は全部アニオリ。ベル兄弟は王族ではないし、デュフォーはアントカじゃない謎のESP能力者だし、テレポとかしてくるし…
ガッシュ覚醒。流れる「カサブタ」は熱いが、能力的には術がパワーアップしただけ。本は金色になったが「シン」も使えない。そもそも第8以降は未収得。つまりバオウ除く最大火力はザケルガのまま。テオザケルぐらいあげてよ…
で、ボコボコにされたゼオンは嫉妬に燃えたまま退場。ついでファウードのコントロール鍵を破壊していくヴィランぶり。でもそもそもこのファウード、覚醒バオウで倒せるぐらいクソ雑魚なんだよなあ…
とまあ、やりたい放題である。丁度原作ではブラゴ登場だのディオガ・ゾニスドンだので大盛り上がりしていた時期なので、まあちょっと白けてたのもある。
本題に戻るよー
つまり!!
俺が言いたいのは!!
遊戯王みたいに、今の技術で原作「金色のガッシュ!!」をアニメ化or映画化して欲しいんだよ!!って事なんだ!!!
「金色のガッシュ!!」アニメ化への道
「ガッシュ!!」をアニメ化する、となったらまず考えなければいけないのは具体的なアニメ化範囲である。
ここで考えられるのは大きく分けて3通り。
原作全部アニメ化ルート
所謂「ハガレンFA」「ダイの大冒険」方式。1年以上かけて原作を1からフルアニメ化する。当然予算と枠が必要になるが、一番満足度の高いであろうルート。ファウード編以降のみアニメ化ルート
「ガッシュベル!!」でオリ展開化した部分だけを原作準拠にするルート。ただガッシュの物語はファウード編~クリア編だけで全体の半分以上ある為、枠を2クール分は取っておかないと「からくりサーカス」のような有様になりかねない。原作設定でオリジナル話
「遊戯王DSOD」方式。原作準拠の設定にしながら、物語自体はオリジナルの話を展開する。「○○のシーンが見たい!」系の期待には応えにくいが、アニメ化していない原作設定の多い「ガッシュ!!」では効果的か。
この中でまだ可能性のあるのは2,3だろうか。
では続いて、それぞれの問題点についてみていこう。
2-1:ファウード編までの回想をどうするか?
ガッシュと清麿との出会いから現在に至るまで、場合によっては半パート分でこなさないといけない。状況的に、コーラルQ戦でねじ込むしかタイミングが無いのがネック。2-2:尺が足りるのか?
こっちの方が問題。ファウード編~クリア編は物語の半分以上を占める為、ストーリーの長さ的に2クールあっても厳しい。余分な所をカットしようにも、基本的に全ての話が重要になっている為それが難しい。下手に省くとナレ死する魔物が多発する。3-1:どのタイミングにするのか?
実はファウード編がスタートすると、基本クリア編が終わるまで登場人物たちの行動は著しく制限される。
ファウード体内での出来事は緊急事態であり時間制限もあった為余裕などないのは当然だが、実はファウードに侵入するまでも時間的余裕がなかったりする。何故ならウォンレイペアが行方不明(リオウと合流している)為。ウォンレイ達がそんな状況なのに悠長に別の案件に関わっている暇はないのである。
で、ノンストップのファウード編が終わると、アホのビンタを経てすぐさまアシュロン戦。で、このタイミングで魔物の数が10体を切り、魔界の住民全員が魂化する為魔界を舞台にする事は不可能になる。さらに生き残りの魔物は全てネームドキャラの為、新しくボスを生やす事もできない。
―――――――と思っていたんだ、この時までは。
希望の兆し、不明の魔物

このリストは、原作LEVEL.85で「残り40体」となった後退場した魔物を順に並べていったものである。見てわかるだろう。ゼオンの後2か所、空白が存在している事実に。
つまり、ファウード編からクリア編で残り10体になるまでの間に、一切詳細が判明していない魔物が2体存在するのである。
これには俺も驚いた。何せ「ガッシュ!!」はかなり厳密なコントロール下でストーリーが進行していた為、そんな余裕はもはやないと思っていたからだ。
―――ちなみに、「ガッシュベル!!」においては異世界編やら『魔界のブックマーク』やらでオリ魔物が出ている為この空きはない(どころかオーバーしてしまっている)―――
となると、ルート3ががぜん現実味を帯びてくる。時系列としてはアシュロン戦からアース退場までの間、登場人物は空いている分の魔物2体といつもの「チームガッシュ」…で簡単に話が作れてしまうからだ。加えて、ガッシュは次のクリア戦までにマントを盾に使えるように訓練しておく必要がある為、タイミング的にも申し分ない。

ガッシュがマントを使えるようになるまで若干時間があった事がわかる
ガッシュたちにはちょっとハードなスケジュールだし、別に新しい呪文が出てくる、とかではないんだけど、できればここを上手く使って映画の一つでもお出しして欲しい。ガッシュ2により人気が再燃している今が最後のチャンスなんや…
…雷句先生、なんとかならんもんですか…!!!
どっとはらい。