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【開催報告】Impact Frontiers:「インパクト・マネジメントの基本」(AVPN TOKYO Visionaries' Gathering 2024.9.20)

「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」は、AVPNメンバーの皆さまが毎月集まるクローズドな会合です。戦略的フィランソロピーとインパクト投資の推進による社会課題の加速度的解決を目指すアジア最大のネットワークであるAVPNが厳選する、先進的な取り組み・ベストプラクティスを共有し、社会的インパクト創出に向けた質の高い資金提供のあり方について議論・学び合い・協働の場となっています。


2024年第六回「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」のご報告

2024年第六回目の「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」が9月20日(金)、一般社団法人 官民共創HUBにて開催されました。今回の話題提供者は、Impact FrontiersのDirectorである須藤 奈応氏です。Impact Frontiersは、インパクト・マネジメント業界における知識構築を専門としている米国の非営利組織であり、須藤氏はアジア担当としてご活躍されています。須藤氏はインパクト投資の第一人者であり、「インパクト投資入門」の著者でもあります。

須藤 奈応氏

まず前半に、須藤氏からインパクト・マネジメントの基本的な考え方やコンセプトについてご説明いただきました。インパクト・マネジメントは、データを可視化し、事業改善を図るとともに、投資家の多様な視点を取り入れて企業価値を向上させる手法です。特に、インパクト・マネジメントに関する意思決定では、アウトカム(社会的、環境的、または経済的なウェルビーイングの観点で取る行動や出来事の状態)を経験するステークホルダー(直接的な顧客のみならず、すべての関係者)に対して、インパクト(企業の行動によって引き起こされる結果の変化)を生み出せたかどうかが重要であることが強調されました。

真剣に聞き入る参加者

後半はチームに分かれ、コンゴのコーヒー農家をテーマにしたケーススタディーに取り組みました。各グループは、ステークホルダーの観点から最も重要なアウトカムは何かを議論しました。この問いには正解はなく、所得改善、価格の適正化、地域社会の生活向上など多様な意見が出されました。2016年にImpact Frontiersの前身のImpact Management Projectが開発・公表したインパクトの5つの基本的要素(5 Dimensions of Impact)を取り入れ、チームでインパクトについて「What(どのようなアウトカムがあるか)」、「Who(誰がアウトカムを享受するか)」、「How much (アウトカムはどの程度見込めるか)」、などの5つの項目に沿ってアイディアを出し合いました。

グループワークは活気が溢れ、参加者間の交流が積極的に行われました。農家の賃金、販売量、心の変化、労働者のウェルビーイング、プライド(密輸しなくても買ってくれる人がいる)など、各々のインパクトを特定するために必要な追加情報について、様々な意見が出ました。須藤氏は、関係者間においてどのアウトカムを重要視するかの議論そのものが大切であること、そして、インパクト・マネジメントのツールを活用し、事業をインパクト拡大につなげる重要性が言及されました。

白熱した議論が交わされるグループワーク

セッション終了後のネットワーキングの場では、メンバーの皆様による名刺や情報交換が積極的に行われました。財団や金融機関、政府機関や中間支援組織など、所属は異なるものの、資金の出し手としての立場を同じくしたメンバー間での貴重な交流の機会となりました。

当日の参加者:18名(Foundation/Trust、Impact Fund、Government-related、Intermediary、University/ Research、Corporate/Financial Institutions、Service Provider、Network、AVPN staff)
参加者のご感想:
チームに分かれて行ったグループワークでは、多くの方から「ディスカッションを通じて理解が深まった」とのご意見をいただきました。

ネットワーキングの様子

次回は、12月13日(金)を予定しております。詳しくは、以下をご覧ください。

AVPNからのお知らせ 

◆AVPN グローバル&リージョナルカンファレンスの日程
直近では2024年12月9日から10日にインドのチェンナイで、AVPN主催の南アジアサミットが  「新しい現実、新しい機会」 をテーマに開催されます。本サミットでは、地域に根ざした解決策を紹介し、新たなアイデアを引き出し、気候変動対策、ジェンダー平等、医療インパクトなど幅広い分野で協力関係を促進するプラットフォームを提供します。また、社会的インパクトを推進するために、カタリティック・フィランソロピー、インパクト投資、ブレンドファイナンスなど、さまざまな資本動員の方法も議論します。

AI Opportunity Fund: Asia Pacificへの応募受付中
【10/30応募締切】AVPN はGoogle.org とアジア開発銀行 (ADB) の支援を受け、AI による労働力変革の影響を受けるアジア太平洋地域の労働者を支援するユニークな機会を提供します。非営利団体、営利団体、民間セクター、またはこれらの労働者のエンパワーメントに取り組む政府系機関であれば、ぜひご応募ください。採択された団体は、資金援助、トレーナー向けの AI 研修、ネットワーク構築の機会などの支援を受けることができます。

◆AVPN Philanthropy Fellowship開催
【10/11応募締切】本フェローシップでは、慈善資本をどのように最適に活用してインパクトと長期的なシステム変革を実現できるかを考察します。フェローたちは、新興市場における慈善家の活動を分析し、彼らが国の開発計画や国連の持続可能な開発目標(SDGs)と調和させて、大規模で高インパクトな持続可能な成果を提供するための課題と機会を探ります。2024年11月にオンライン学習セッション、2024年12月にインドのチェンナイで開催される南アジアサミットでの対面イベントというハイブリッド形式で行われます。

◆AVPN Global Leadership Academy Workshop開催
【10/4応募締切】2024年11月18日から20日に、タイのバンコクにて3日間の対面型リーダーシップワークショップを開催いたします。本ワークショップを通じて、SDGsの課題に対し、地域に根ざした解決策を促進し、十分に声が届いていない人々の声を拡大しようとするグローバルインパクトリーダーたちの一員となることができます。多様性、包摂性、不確実性、複雑さを受け入れ、力関係を平等にした環境で、3日間の集中型リーダーシップ開発プログラムにぜひご参加ください。

AVPNについて ”Moving Capital Towards Impact”

AVPNは、シンガポールに本部を置く戦略的フィランソロピーとインパクト投資の推進による社会課題の加速度的解決を目指すアジア最大のネットワークです。AVPNには現在33の国と地域から資金提供者である600以上の財団、企業、インパクトファンド、大学、政府、金融機関等がメンバーとして加盟しており、アジアを中心に世界14か国に90名以上のスタッフが所属しています(2023年7月時点)。アジア中のあらゆる資本を動員し、社会的なインパクトを生み出していきます。

メンバーの皆様には、アジア最大のインパクト投資カンファレンス「AVPN Global Conference」への割引参加、年に一度の「AVPN Social Investment Forum Japanご報告)」のご招待、定例の「TOKYO Visionaries' Gathering」等の特典があります。

「AVPN Global Conference 2023」
アジア各国でのAVPNメンバーの共創
定例の「TOKYO Visionaries' Gathering」

AVPNメンバーには、資金提供者である財団、企業、インパクトファンド、大学、政府、金融機関等のみが加盟できます。ご関心がある資金提供者の方は、以下までご連絡ください。

お問い合わせ先(日本語・英語での対応)

japan@avpn.asia

日本語でのお知らせは、以下でも発信しています。
https://jfra.jp/avpn
https://www.facebook.com/avpnjapanoffice 
https://twitter.com/AVPN_Japan


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