【開催報告】Earth Company:「Beyond Sustainability: 地球規模の課題整理を通して、自分のあり方(BE)に立ち返る」(AVPN TOKYO Visionaries' Gathering 2024.10.4)
「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」は、AVPNメンバーの皆さまが毎月集まるクローズドな会合です。戦略的フィランソロピーとインパクト投資の推進による社会課題の加速度的解決を目指すアジア最大のネットワークであるAVPNが厳選する、先進的な取り組み・ベストプラクティスを共有し、社会的インパクト創出に向けた質の高い資金提供のあり方について議論・学び合い・協働の場となっています。
2024年第七回「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」のご報告
2024年第七回目の「AVPN TOKYO Visionaries' Gathering」が10月4日(金)、独立行政法人国際協力機構(JICA)にて開催されました。今回の話題提供者は、Earth Company共同創設者&最高探究責任者、Mana Earthly Paradise共同創設者である濱川知宏氏です。Earth Companyは、日本とインドネシアを拠点に次世代につなぐ未来のためにサステナビリティのその向こうである、人と社会と自然が「共繁栄」する リジェネラティブなあり方を追求しています。
冒頭、会場を提供いただいたJICA経済開発部民間セクター開発グループ次長五月女淳氏より、同団体が取り組むスタートアップエコシステム構築に関する概要が紹介されました。五月女氏は、途上国のスタートアップエコシステムの構築支援への取り組みとして、「Project NINJA(Next Innovation with Japan)」など、具体的なプロジェクトについて言及されました。
今回の話題提供者である濱川氏には「Beyond Sustainability: 地球規模の課題整理を通して、自分のあり方(BE)に立ち返る」をテーマにお話しいただきました。現代社会の構造的な課題として、東南アジアの漁業における現代奴隷の問題や畜産業による温室効果ガス問題などが挙げられ、私たちが無意識のうちに社会課題の加害者・被害者となっている現状が指摘されました。さらに、プラネタリー・バウンダリー(地球で人々が安全に活動できる範囲)に基づき、気候変動問題の緊急性についても触れられました。また、現代社会ではストレスやメンタルヘルスの悪化が、企業経営においてサステナビリティの発想を制約していると述べました。
Earth Companyは、人と社会と自然が「共繁栄」するリジェネラティブな未来を目指しており、その一環としてインパクトヒーロー支援事業において、アジア太平洋地域で変革力を持つチェンジメーカーの支援を行っています。また、Impact Academyでは、無関心や無責任、無力感を克服し、社会課題への意識を高めることを目指して学びが提供されています。このプログラムで得た経験や気づきは、参加者の原動力となり、社会変革へのきっかけになるとしています。さらに、バリ島ウブドにあるエシカルホテル「Mana Earthly Paradise」では、東南アジアのホテルとして初めてB Corp認証を取得し、ソーラーパネルの活用、雨水の利用、コンポストの導入など、リジェネラティブなビジネスモデルの具体例を示しています。
経済的豊かさと心の豊かさについて、従来の「努力すれば良い物が手に入り、幸せになれる」という考えに疑問を投げかけ、自分がどうありたいか、どのような価値観を優先し、どんな時に生き生きできるかを基盤に行動し、幸福を追及する生き方が提案されました。この考え方は企業のあり方にも通じており、単に経済的な追求だけでなく、組織としての理念や目指す未来に沿ったリジェネラティブな活動が重要だとされました。
また、同団体の2022年のインパクトヒーローに選ばれたサミール・ラカーニ氏の事例が紹介されました。ラカーニ氏は、カンボジアで廃棄されるホテルの石鹸を再利用する事業を展開しており、事業が拡大するにつれて石鹸廃棄の削減、女性の雇用創出、衛生改善といった効果が広がるリジェネラティブな活動を実践しています。
最後の質疑応答では、時間が足りないほどの多くの質問が寄せられました。インパクトヒーローを選ぶ基準については、団体ではなく個人を選ぶ理由として、団体が存続しなくなっても、個人の活動は半永久的に続くからと回答がありました。また、資金調達については、Earth Companyが特定の国に絞っていないことから資金集めが難しくなる点が挙げられました。事業への資金は集まりやすい一方で、経営基盤を支える資金集めの難しさについても説明がありました。
セッションの前後に行われたネットワーキングの場では、参加者同士による名刺交換や情報共有が積極的に行われました。特に、会場提供者であるJICAからの参加者が多く、JICAのさまざまな部署の方々と情報交換する貴重な機会となりました。
次回は、12月13日(金)を予定しております。詳しくは、以下をご覧ください。
https://note.com/avpn_japan/n/n4ea2fe467093
AVPNからのお知らせ
◆AVPN 2023-24年の年次レビュー
AVPNの昨年度の取り組みをまとめた「2023-24年の年次レビュー」が公開されました。13,000人以上の人々とつながり、「ImpactCollab」や「AI Opportunity Fund: Asia-Pacific」などの取り組みを開始しました。
◆AVPN 北東アジアリージョナルサミット
2025年4月23日(水)、東京都内にて「AVPN North East Asia Regional Summit」を開催予定です。
詳細が決まり次第、AVPN日本チームのSNSでもご案内いたしますので、よろしければフォローいただければ幸いです。
https://www.facebook.com/avpnjapanoffice/?locale=ja_JP
https://x.com/avpn_japan
◆AVPN グローバルカンファレンス 2025
アジア各国の社会的資金の提供者が一堂に集まる「AVPN Global Conference 2025」が、2025年9月9~11日香港で開催されることが決定いたしました。
ホストパートナーは、香港ジョッキークラブチャリティ基金です。詳細は、今後AVPNのLinkedInや日本チームのSNSでもお知らせしてまいります。
AVPNについて ”Moving Capital Towards Impact”
AVPNは、シンガポールに本部を置く戦略的フィランソロピーとインパクト投資の推進による社会課題の加速度的解決を目指すアジア最大のネットワークです。AVPNには現在33の国と地域から資金提供者である600以上の財団、企業、インパクトファンド、大学、政府、金融機関等がメンバーとして加盟しており、アジアを中心に世界14か国に111名のスタッフが所属しています(2024年12月時点)。アジア中のあらゆる資本を動員し、社会的なインパクトを生み出していきます。
メンバーの皆様には、アジア最大のインパクト投資カンファレンス「AVPN Global Conference」への割引参加、年に一度の「AVPN Social Investment Forum Japan(ご報告)」のご招待、定例の「TOKYO Visionaries' Gathering」等の特典があります。
AVPNメンバーには、資金提供者である財団、企業、インパクトファンド、大学、政府、金融機関等のみが加盟できます。ご関心がある資金提供者の方は、以下までご連絡ください。
お問い合わせ先(日本語・英語での対応)
japan@avpn.asia
日本語でのお知らせは、以下でも発信しています。
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