濱田太貴のホームランを見上げて ○S×DB●18回戦
カメラ女子(女子)になってから、たくさんの瞬間を切り取ってきた。
すべては独学。レンタルで初めて一眼レフ?のカメラを手にした。使い方が分からない。カメラが趣味の上司に、組み立て方から聞いた。
ピントの合わせ方が分からない。何度、鎌スタの素敵なネットを激写したことか。手探りで、動きを止めない被写体を追い続けた。
だんだん増えていく野球選手の写真は、人生に書くことが加わって、ヤクルトへの愛情を裏付ける“証拠写真”になった。
家で写真整理をしていて、初めて知ることもたくさんあった。
こんな表情をしていたのか。何を話しているのだろう。あ、ユニフォームが破けてる!
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
今日、神宮で見た、濱田太貴のホームランを、私は撮っていない。
もちろん今日が、すべての柱に邪魔をされ、誰のこともまともに写せない席だということも理由のひとつだ。
でも、そうじゃなくて。
たいきが高く打ち上げたボールを、追っていたからだ。
いつもなら、歓声の大きさでホームランを確信しながらバッターを追い続け、入った瞬間の、ちょうど1塁から2塁へ走りながら思わず飛び出る笑顔を連写し続けているところだ。
そんなことも忘れる、たいきのホームランだった。
真っ暗闇に浮かぶ白球は、今年から入れ替えられたLED照明が、綺麗に映し出してくれた。
神宮の屋根に大きな弧を描く、力強い打球は、入ることが確実なことを確信させた。
思いっきり上げた私の顔は、絶対に笑顔だったはずだ。
緑が待ち受けるレフトスタンドに突き刺さった、濱田太貴の初ホームラン。ここから、歴史が始まる。今宵のヤクルトファンは、生き証人だ。
ファインダー越しじゃない濱田太貴を楽しんだ私は、カメラと出会う前の私がどうやって神宮にいたか、思い出した。
思えばこうして、たくさんのホームランを見上げてきた。
証拠写真はない。いつもなら、相当悔しがっているところだ。
だけど今、清々しい。
この目と記憶に刻んだホームランは、私の宝だ。
濱田太貴選手 プロ初ホームランおめでとうございます。
R2.9.17 thr.
S 9-0 DB
明治神宮野球場
\たいほー!/☂️