2020_0810声劇台本based on 落語より『真田小僧』レビュー
2020_0810声劇台本based on 落語より『真田小僧』レビュー
(全敬称略)
原作;古典落語『真田小僧』
台本化:くらしあんしん
総評
小気味よい調子(リズムではない)と
ちょいと口先が曲がったような言い回し。
トントンと積み上がっていくこの
落語の雰囲気っていいですよねぇ。
本来は一人の噺家さんが
二役で上演するものなのですが
このお二人の調子は落語らしく
立て板に水そのものでした。
父親:血なまについて
落語の男ならではの
啖呵を切るようなこの言い回しが
実にいいですね。
こちとら気が短えんだ、
トロトロ喋ってんじゃねえ!と
今にもすごんで来そうな気配です。
こういう粗野な親父が
賑やかにてんてこまいするのが
醍醐味だと思います。
怒って、萎れて、上がって、下がっての
行ったり来たりを繰り返すのが
落語の面白いところだと思うのですが
この方のそれは実に加減がいいです。
拍子がちゃんとあってます。
何より長い言い回しでも
全く噛まないんですよ。
立て板に水で、その水キレが良いんです。
これめちゃくちゃ大事だと思います。
金坊/母親:瀬良について
落語の子供ならではの
賢しくもすっとぼけた塩梅が非常に良いですね。
チャリチャリチャリチャリと
小銭を懐でいじくるような
早い口上を子供喋りのまま
クルクルと回してます。
被せ気味に食っていくのも
調子を保っていて実に良い。
間を取りすぎずにハシっていくことで
起こるコメディ感をちゃんと出してます。
後半、おっかあと金坊との早着替えはお見事。
この鮮やかさがシマリを作っています。
母親のときは、上がってから下がる。
金坊のときは、下がってから上がる。
これを綺麗に使い分けるのは結構大変だと思います。
そして瀬良さんもまた無事故完走。
立て板に水のキレや実に良しでした。