声劇レビューの書き方

声劇レビューの書きかた

書く前に気をつけること

あくまで持論ですが
レビューはプロモーションを
兼ねるものがベストだと考えています。

あなたのレビューを読んだ人が、レビューされた上演に
「へえ、聞いてみようかな」という気持ちを持ってくれたら
そのレビューは傑作レビューということになります。

批評的な記事を書くこと自体を
否定するわけではありませんが
その段階には到底至ってないと私は思います。

これは、
「相手を傷つけてはいけない」
「全てを承認しなければいけない」
という倫理的な意味だけの話ではありません。

上演のレビューや感想を第三者にも開示するような習慣が
当たり前になって、全体数が多くなってそこで初めて
批判的なスタンスは意味を持つという考えによるものです。

今は蹴り出し、加速を始めるその一歩手前ぐらいの段階なので
スピードが出すぎてない状態でブレーキは要らないわけです。


上演がレビューを生み、レビューが新しい観客を呼び、
新しい観客が次の上演を生む、という循環が発生すると
この文化の規模は大きくなっていくでしょう。

そうしてある程度の飽和状態になって初めて
批判や批評というものはフィルターとして機能します。
その前段階ではただの毒でしかないと思います。

無理に褒める必要はないのですが
建設的なスタンスを崩さないことが
先々大きな成果を生むと私は考えます。

そもそも長所と短所なんてひっくり返せば
ほとんど同じものであることばかりです。
芸事なら尚更だと思います。
ぜひ好きな演目、好きな演者をレビューしてください。

レビューを書くのに向いてる方

これは適性の話ではなくて、立ち位置の話です。

(1)声劇が好きな方
これはもう説明不要ですね。
嫌いなものをレビューする苦行は
お金が発生するところでやったらいいと思います。

(2)推し、贔屓がいる方
もしあなたに好きな演者さんや
贔屓のアクターさんがいるならば
その人をベースにレビューを始めると良いと思います。

リアルな観客の声は非常に喜ばれます。
好きな人を喜ばせるのは、これまた至上の喜びですよ。

書き方の雛形は後ほどご紹介します。

(3)演じるのも好きだけどなかなか劇に参加できない方

この層が実は狙い目です。
私は一切創作も演技もしない『専業観客』なのですが
諸々の都合で頻回参加はできないけど劇が好きな方は
『兼業観客』の素養があります。

逆に、週に何度も狂ったようにやっている方は
兼業観客になるのは結構難しかったりします。
それは、時間的な制約以上に
自分の演技に縛られているためです。

この辺の話をすると大きく脱線するので
詳細は割愛します。

「好き!だけどあんまりできない!」
という方が別の形で声劇に携わる手段として
レビューっていいと思うんです。

絶対的な愛が根底にあるから、
ほぼ間違いなくいいレビューになります。

ここからは実際の段取りを簡潔にご紹介します。

総評を書く

上演を拝聴して全体を通しての感想を書きます。

この辺が良かった〜この辺が面白かった〜
程度の、いわゆる『ハイライト』というやつです。

私は、総評に関しては極力ザックリ書くようにしてます。

細かい部分は、演者ごとに書く方が
レビューの意味があると思うからです。

各配役とキャストについて書く

もしあなたに特定の贔屓や馴染みが居ても
全員分のレビューを書くことをお勧めします。

何故なら、全員を細かくレビューすることで
あなたの推しや贔屓の見方、聞き方に
グッと深みが出るからです。

別の役者さんのおかげであなたの秘蔵っ子は
光を当ててもらっているわけです。

そういう意味でも参加者全員をレビューするのが
レビューを楽しむ上でのコツだと私は思います

具体性は全ての要素に勝る

レビュー本文の重要要素は何でしょうか。
私は、具体性が全てだと思います。

独自性や精緻さ、文体のリズムや美しさなど
レビューを作る要素は様々ありますが
全ての他の要素をひっくるめても
具体性という一つの要素に勝てません。

よかった、とか、楽しかった、という
漠然とした内容を綺麗な言葉と構成で綴るよりも

構成がぐちゃぐちゃで、正直やや的外れでも
非常に具体的なあなたの言葉でひり出した
レビューの方がはるかに強い魅力を持ちます。

参考までに、直近の声劇のメモには

「この人は待ちガイルじゃなくて当て身ギース」
「おじさんのカラメルをぶるんぶるんさせてる」
「ししおどしがカコーンって鳴ってる」

という二日酔いの朝の夢日記みたいな記述があります。
もちろん、これを最低限見られるような文に整形します。

音響的に、この表現が合っているかどうかでいうと
正直自信がありません。

でも別にそんなことはどうでも良いのです。

私はこう感じて、こう書きました。

レビューを書いたら押し付けよう

この考え方には賛否あるかもしれませんが
せっかくレビューを書いたなら
出演者さんに押し付けてしまいましょう。

SNS経由でしょうから、
ご理解いただければ拡散もお願いしましょう。

上記の手順を守っていれば
あなたのレビューはほぼ間違いなく
喜んで読んでいただけると思います。

ちゃんとしたレビュー読むと
めちゃくちゃやるが気出ます。
誠実で建設的なレビューは
本当に相手を変えてしまう魔力があります。

この文化を楽しんでいる人にとって
回り回って途轍もない恩恵が生まれると
私は思っていますので
面白そうだなーと思った方は
是非試してみてください。

あ、もしレビューを書かれたら
私にも見せて欲しいです。

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