月夜を歩く
今日は中秋の名月ですね。
月を見上げた人も多いのではないでしょうか。
都会に暮らしていると、夜でも様々な光が足元を照らしてくれます。
なかなか夜の自然な光に出会うことはありません。
今日は夜と月と人間の目について書いてみようと思います。
夜に空を飛ぶということ
私たちは24時間365日、空の仕事ができるように訓練しています。
じゃあ夜も昼と同じように飛べるのかというと、全くそんなことはありません。
どんなに訓練を重ねても、技術の粋を駆使しても、夜を昼にすることはできません。
リスクは格段に上がります。
そもそも夜は上下がほとんどわかりません。
飛行計器を頼りにして飛べば良いのですが、常に見ているわけではありません。
外から目で得られる情報がやはり大きいのです。
例えば星空と漁火(いさりび)を見間違えるということがあります。
もやがかった視程の悪い夜ではこれらの区別が難しくなります。
平衡感覚を失うこれを空間識失調といい、最悪の場合墜落事故に発展します。
特に高機動を伴う航空機を飛行する場合は顕著に現れ、墜落するまでパイロットが空間識を失っていることに気づかないということが本当に起こります。
月という存在
月は思った以上に明るいものです。
満月はおよそ約0.2ルクスほどの光を与えてくれます。
私の肌感覚ですが、半月程度(0.02ルクス程度)の月が地面を照らしているだけで、上空の宇宙の黒と、地球の大地の黒のコントラストがはっきりし、水平線や上下感覚を失いにくいなと感じます。
平衡感覚に安心感があると、その他のことに割ける注意配分が多くなるので、仕事効率面でも安全面でもとても助けられます。
私は趣味が釣りのため、真っ暗闇の海岸を歩くときがときどきあります。
もちろんライトを携行しているのですが、空に月があるとライトが無くても歩けるくらい明るさに違いがあります。
自分の目を使って歩けるというのはとても安心感があります。
月が出ていると安心する。
なんか贅沢な感覚ですね。
人間の目
目の網膜では、光に反応する視細胞が光の刺激を信号に変えて脳に映像を伝えています。
視細胞には錐体(すいたい)細胞と桿体(かんたい)細胞の2種類があります。
錐体細胞は明るい場所で働き、色を認識することができます。
逆に、桿体細胞は色を区別できませんが、わずかな光でも感知できるため、暗い所で働きます。
おそらく半月程度の明るさで照らされる地面や雲が、人間の桿体細胞で見える限界の明るさなのでしょうか。
月夜を歩く
先ほどランニングがてら月をみたとき、その明るさにあらためて驚きました。
ど田舎に住んでいるというのもあるのですが、街頭が無い場所でもしっかりと足元を照らしてくれています。
最後に月明かりによってできた自分の影を見たのはいつでしょうか。
今日は1年で一番月が主役になる日です。
外に出て月の明るさを感じてみてはいかがですか。
Aviator.