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avenir'e座談会~池内風×柴田美波~

avenir'e活動一周年を記念して始動した座談会。
二組目は池内風と柴田美波。
『かわいいコンビニ店員飯田さん』の主宰としても活動している池内と、文学座に所属しながらavenir'eの俳優部でもある柴田。
二人が一年を振り返ることで捉える、avenir'eの現在地とこれからとは。

俳優も演出も脚本家も、その職業をやり続ける限りずっと勉強しなきゃいけない(池内)

柴田美波(以下、柴田):えっと、これは聞きたかった…聞きたいことがあって。私たち、まあ他のメンバーもそうなんですけど、お互いに他の所属の場所があって、

池内風(以下、池内):ちょっと水飲んで良いですかごめんなさい。(席を立って水を飲む)

柴田:あははは(笑)

池内:めっちゃ今咳込みそうな感じに(笑)
改めてよろしくお願いします。

柴田:でですね。他のメンバーもそうだけど、例えば、私は文学座っていうのがあって、avenir’eにも所属してて。池内さんは自分が主宰の飯田さんが。

池内:はい。「かわいいコンビニ店員飯田さん」があって、avenir’e。

柴田:avenir’eがあってって、掛け持ちというか二つ場所があるじゃないですか。
それが一年前から始まったっていうことで、なんか変化とか、良かった点とか聞きたいな、というか、話したいな、と思いまして。

池内:あー、なるほど…。答えていいですか?

柴田:もちろん。

avenir'e内で行われたワークショップの後に行われた座談会

池内:僕は、avenir’eとかわいいコンビニ店員飯田さんって予算感が全然違うんです。言ったらリアルに3倍ぐらい違うので、飯田さんの予算て。
その中で出来ることがあったりとかするんですけど…あ、お腹鳴っちゃった。
ですが、ですがですよ、脚本と俳優が、僕は大事だと思っていて、これって予算関係なく変わらないんですよ。
なので、もちろん予算が組めてれば美術が、ちゃんとした美術というか、具象芝居を作ることが多いので美術とかも組めるし、スタッフさんもいっぱい入れられたりとかして、できることが増えるんですけど、基本構造は脚本と俳優なので、この二つは絶対共通してるじゃないですか。
だから、予算感関係なくここがちゃんとしてさえすれば同じクオリティのものが出来るって僕は思っていて。
でも、なんかこうavenir’eだと特に、若い20代の人たちと一緒に今やっているというのをそもそもベースでやっているから、あの…それぞれキャリアが分かれてたりもするじゃないですか。
で、飯田さんの方だと、上だと60とか70とかぐらいの人も出てたりするので、これも違うんですけど、でもキャリアとか関係なく、僕は同じものができると思うんですよ。その証明をしたいっていうのがけっこう強いです。
印象として、お客さんとしてもその予算感とかメンバーとかによって先入観でこの作品の面白い、面白くないを判断しなきゃいけないと思うんですけど、それによって判断されていることがすごく多いなと思って。
ではなくて、才能があるのであれば同じことができるんだからっていうのを証明したいと思って。僕はそこが違うからこそ、同じクオリティのものを出して、それを証明したいっていうふうなのは結構最初から思っていて。

柴田:avenir’eがってことですよね。

池内:そうです。だから関係ないんだよっていう。人なんだよって。そこに打ち込んでる人によって、全然予算も度外視できるし、全然関係なくできるし。
なので、それをちょっと証明したいみたいなのがちょいありつつ、なんか色々こうavenir’eの方には、それを証明するべく力を注ぐ、みたいなことをなんかやっていて。
まあでも、演劇的にも、一段階実験的なこととか、なんとなくかわいいコンビニ店員飯田さんってこういう風なものを出してほしい、みたいな、観に来る人の基準がちょっとあっちゃうので。

柴田:ファン、というか、求めてる人がね。

池内:だから、それがある種違う、新しい挑戦的なことがしにくい感じにちょっとずつなっている感じがして。

柴田:それは主宰っていうのも大きいですよね。

池内:そうです。だけどもっと「あ、こんなこともやってみたい」とか「あんなこともやってみたい」とか、やれるようになってた方がいいな、みたいなものはavenir’eでわりと実験しやすいなと思って。
実験ってなると失敗ありき過ぎて、クオリティが担保できないという印象もあるので、そうじゃなくて、ちゃんとクオリティが高いものを作れる自信があるから公演を打つんですけど。
それも込みで、自分が今まで触れにくかったものをやりたいなっていうところもあるし、結果それも「あ、こんなこともできるんだ」っていうのをちゃんと証明できるような関係値でありたいなって。
だから対比がちゃんとあった方がいいっていうのが、最初の頃の印象では特にあったという感じですね。

柴田:それこそ、1st create(『音のない川』)はほぼモノローグだったじゃないですか?風くんの作、ディレクターも一応風君。で、飯田さんを私も別に全部見てるわけじゃないですけど、やっぱモノローグは、無い。

池内:無いです。あんま無いですね。何個かしか作ったことないですね。その作中にちょっとあるとか。

柴田:それはずっと、例えば、挑戦したかったことであったりとか、でもやっぱりちょっと飯田さんでは、それこそ『音のない川』をやるってなったら難しいですよね。

池内:あのー、クオリティーは担保できそうだけど、来ようとする人がバッティングする。
こういう会話劇みたいなものをやっぱり求めてくる人が、いきなりモノローグやりますっていった時に、めっちゃ中華料理の達人が「日本料理、じゃ、作ります。」ってなった時に、美味しくはなりそうだけど「じゃあ日本料理得意な人のとこに行くよ。」みたいな感じになりやすいなという感じがして、ちょっとなかなかそこは手が出せないっていうのがあるという感じですね。
でも昔は結構、カメレオン劇団って言われてて、一回やったことはやらないって団体だったんですよ。常に新しいことをやろうとする団体で、だからファンがつきにくかったっていうのがあるんですけど、毎回来るたびに変わる。

柴田:作風が違う。

池内:作風が変わるっていうのが、それを特色としてた団体だったので、前半は、特に最初の方は。最近はもう長編とかもたくさん作るようになってきたので、なんとなく寄ってっているという感じなのでその分外れにくい、作品自体が。

柴田:良い意味でも悪い意味でも。

池内:そうですね。それを求めてくる人は集まってきているけど、それ以外のことをやるとあれってなる人も多くなっちゃってる、という感じですね。

柴田:そういう意味で言うと、例えばその、飯田さん…「エクストラ」みたいな感じで作るんじゃなくて…それも可能じゃないですか?例えばだけど。

池内:可能です、可能です。

柴田:じゃなくて、また全然冠が違うavenir’eっていうのがあるのが今はすごく、良い?

池内:これが大事。それが、多分さっきの話にも繋がって、「アネックス」とか「なんとか企画」ってやると本公演より質が低いものが出るっていう印象が最初に乗るし、なんかこう、ワークショップの延長線の公演とか発表公演とかっていう打ち方もできなくもないですけど、それで参加する俳優ってちょっとテンション下がるんじゃないかなって思うんですよ。
同じことやってんのに、なのにそれで敷居を下げて金額を下げてってやると、その人たちの価値を勝手に低くしたものを出す可能性がすごい高いなと思うし、なんかこっちもすげー守った感じになるから、絶対にその企画公演っていう形は今はやりたくないんですよ。
だったら違う団体を、だからこそ、それが企画の公演とか、まあ実験って言いましたけど、っていうもので集約されて、質の低いものっていうことが前提として創られているのではなく「これだけ予算が違うのに、感じる影響は同じことが起きてんじゃん。っていうことは人なんだ。」っていうとこにフォーカスして、要は、脚本と俳優さえいれば。同じことが全部できる。
どの空間でもできるし、どの撮影場所でもできるっていうことを証明したいっていう話ですね。
それができてれば、やっぱり人にファンがついてくるって感じになると思います。
俳優ってすごいなっていうところにフォーカスされてくると名前が売れてるとか有名とか、そうじゃないところでのフォーカスがされるんじゃないかなと思っていて、そういうのが今もありますね、っていう感じ。

柴田:それで言うと、最初のavenir’eの説明の時からそうだったなと思ったけど、俳優の存在を尊重する、なんか…甘やかすとか優しくするっていうことじゃなくて尊重し…何て言うのかな?
育てるって言い方だとちょっと目線が上からだから違うんですけど…言葉が私あんまり今思い浮かばないですけど、一緒に挑戦するというか…なんていうのかな?

池内:なんか、でもその…俳優も演出も脚本家も、その職業をやり続ける限りずっと勉強しなきゃいけないし、ずっと何かを付け加えていかなきゃいけないじゃないですか。
研ぎ澄ましていかなきゃいけないので、全ての人がずっと勉強段階で最後まで終わっていくっていうのが、僕この業界の人たちだと思うんですよ、全員。
だから、本来はそういうものがベースだと思っていて、だからその教育機関っていう風にしてしまうと、もう立派に皆さん独立してやってる人たちが集まってんのに、なんか「研修生」みたいな扱いになると、これもその人の価値を下げてしまうじゃないですか?
だから、ちゃんとプロの集団であり、集まれば創作ができる機動力があり、その中でより自分がブラッシュアップできるような関係の環境を作っていくっていうことが大事だなと思っているという感じですね。
なので、未熟な人たちが集まってるんじゃなくて、今まで十分できていることがある人たちが、さらに持ち寄って、さらに良いところまで上がっていこうっていうところができる機関、その結果公演は面白い、みたいな感じになれると一番いいんじゃないかな。
そしてそれが安全であるっていう感じですね。

柴田:そこ、伝わるといいなと思います。
例えば、仲良しで元々友達だったみんなを集めてユニット組んでます、とかとはavenir’eはちょっと違うし。
かといってさっき言ったみたいな、演劇初めてですっていう人たちが集まって成長するっていうだけではなくっていう。
たぶんこういうのが面白いよね、っていうのは一致してて、で、今のこのメンバーだったら面白いもの創れるよねっていう、すごい絶妙なラインにavenir’eはいる気がしていて、そこが面白いし。
だから今日もあったワークショップとか、俳優のツキイチ活動とかもあるけど、あくまで何て言うか、持ち寄るみたいな、知恵を共有するみたいな、何て言うのかなあ…。

池内:あ、でも、そうだと思いますね。

柴田:で、劇団じゃないじゃないですか。感覚として私たちって。なんかそこの良い曖昧さがもっと伝わっていくといいなと、伝わって欲しいなって思うんですけど。

池内:どっちかっていうと場所っていうのが近い…そういう場所、機関っていう感じが。

柴田:あー、寄り合い所、みたいな。

池内:みたいな。そういう「場所」っていう方が印象強いんじゃないかなと思っていますね僕は。
だから、なんか結果育つし、結果育っていくためのことをみんなでやっていきましょうっていう訓練の場ではあるんですけど。
でも、なんだろう、これを作るのに必要だったから集まった人たちであって、未熟な人を向上させていくっていう機関ではなく、必要だったから集まった人たちが、よりそれがいいものを創っていくために技術をシェアして話し合いをし、わかんないことは紐解き研究していく場所であり、それを成果として発表していく場っていう。
それが2年間という縛りがある中で、その2年間の中で、結果的に出来ることがものすごい増えていて、向上もしていて、あとは調べるとか、研究する癖がついているっていうような状態で継続して団体の中にいるのか、一旦抜けて個人でまた活動していくのかっていうのは自由なんですけど…みたいな場所っていうのに近い。
だから新メンバー入ってくると思うんですけど、1期2期みたいな分け方は全くしないで、あいうえお順でプロフィールとかも並んでるし、ただその創られたルールをトレースしていくっていう時には差があるから埋める時間があるけど、基本は1期2期とか、そういう分け方をしない。

柴田:うん、したくないですね。

池内:で、仲間で、当たり前のように今までいた人たちのような空間の中で話していくっていう団体の方がいいんじゃないかな、と。

しゃべるっていう事が良いコミュニケーションツールになってる気がする(柴田)


池内
:逆に柴田さん、文学座とここのavenir’eってどういう感じなんですか?

柴田:文学座の方はなんと言っても大所帯なんですよ。
200人弱ぐらいいるんですけど、それこそよく会う人は会うけど、あくまでやっぱ株式会社としても動いてるんで、いわゆる…何ですかね?
好きなことやったりとか実験的なことしようとしつつもやっぱりこう、それこそお金、めちゃくちゃ予算大事だし、黒字赤字っていう話もめちゃくちゃするんですけど。
なんかその、関わり方が難しい。大きいからこそどうにでもなっちゃうというか、全然参加しなかったら参加しないこともできるし、めっちゃ関わろうと思えば関われるしっていう。
ただそれこそ、文学座の良い所だと思うんですけど、こんだけ数が多いから「こういうのが面白いよね」っていうのがそれぞれ分かれてる気がする。そのごちゃ混ぜが面白いと思う。
それがどんどんあればいいと私は思うけど、中々難しいこともあるから…。

池内:人数が多いから、不自由さは絶対出てきますよね。 

柴田:すごい自由、っていうか放任だなって思う部分もあるし、逆に全然進まんぞってなる部分もある。
それで言うとavenir’eは、やっぱ機動力があるっていうのが一番大きいし、何て言うんですかね…。
これは1年経って、やっぱ私はちゃんと出たのが1stと3rd(3rd create『#VALUE!』)は声で出ましたけど、でもやっぱavenir’eのメンバーとは会話ができる気がする。その会話っていうのは演技っていうこともそうだけど、話ができるというか、

池内:日常的なことも。

柴田:日常的なことも。それはすんごい大事なことだと思っていて。やっぱり精神的にも安心するし、何て言うのかな?居やすいですよね、その場に。
それこそ新しいメンバーが入ってきて、人数が増えた時にどうかなるのかっていうのはまたちょっと変わってくるのかもしれないし、変わんないのかもしれないんですけど。
なんか…そう、挑戦したいこととか、やってみたいこととか、みんな思っていることは違うけど、一緒で。
だから稽古中とかも受け入れられるし、みたいなこの環境が、すごく私は今居心地がいいしベストだなと思っていて。
前の座談会でも出たんだけど、やっぱおしゃべり…私たちはすごくよくしゃべるじゃないですか。
私はもう元来おしゃべりだし、すごくしゃべりたいんです。なんなら別に演技しなくていいかもぐらい(笑)

池内:しゃべってりゃいいぐらい。

柴田:しゃべってりゃいいぐらいみたいな感じで。それが楽しいと思う人間なので、思ったことがあったらすぐ「こうだよね」とか言いたい。
それがうまく働いてる気がする。それが働かない時もあると思うんですよ。しゃべってて終わっちゃったみたいな。なんか今日何もなかったね、みたいなことがある時もあるとは思うんですけど、avenir’eではあんまそれがない気がする。
しゃべるっていう事が良いコミュニケーションツールになってる気がして、しゃべらないでツーカーっていう良さもあるのかもしれないけど、私たちは結構そこが面白い点であり、本来のコミュニケーションの形として、人間のコミュニケーションの形としてというか、すごく、私は居やすいなあ、っていうのがあります。
全部の団体がそうしろとは思わないけど、それでもこう、ちょっと難しくなっちゃう時もあるじゃないですか、しゃべれないとか発言ができないとか。

池内:これちょっと言葉を選ばず言うと、このシステムでうまくいくのはそれぞれのメンバーが民度が高くないとできなくて…この民度というとちょっと炎上しそうな感じがありますけど。

柴田:ふふふ。

池内:あのー、やっぱりわがままだったりとか、我慢ができないとか、自分の主張を通さないと気が済まないとか、そういう人が入ってくると多分無理で。

柴田:人間性ですね。

池内:そう。そこが多分すごく重要な場所なのと、人に委ねるんじゃなくて、そういう環境なんだよっていうことを構築したことが大事だと僕は思っていて。
入り口のワークにせよ、権威の分散化をしお互いリスペクトして、誰も傷つけないで、誰からも傷つけられないみたいなものをちゃんとやりながら、どこまで行ったら人を攻撃している言葉になり、そしてそれを止める人がいて「その誇張の仕方は多分…」とかって止める人がいてって中で、意見を伝えるし、渡せるし、破棄もできる環境だし、そして悔しくもあるし。
「これの方がいいのにな」って当たり前のようにあると思うんですけど、だからといって今みんなで創ってることの、一番いいのはこれなんだっていうのが分かれば、割とみんなそこに向かっていけるっていうのが、みんなで共有できてるから、多分この座談会もそうだし、色んなことが平和に、というかいい形でまわってんじゃないかな、とは思うので。
でも、なんか、本質的に多少ちょっとわがままだな、みたいな人が仮にいたとしても、多分この場のこの環境は「それはダメなんだよ。」っていうことがちゃんとルール化されてるので、なかなか出しにくいんだと思います。良い意味で。
だからと言って、何でもみんなの意見に合わせなきゃいけないわけじゃないっていうか、むしろ「意見が違うことばんばか言ってくんだ」ってすごく思うんですよ。

柴田:そうですね(笑)

池内:(笑い)

柴田:それこそ全体のミーティングの時とかに、ちょっと言葉が遠回りになりすぎちゃって何を言いたいかわからなくなってるとか、その結果、健康的な安全な創作が改めて難しい、みたいな話もちょっとしたと思うんですけど。
だからなんか「安全です」とか「4Cやってます」って言うと、みんなが「それいいね」とか、なんか全部がオッケーみたいなイメージをされるかなと思うんですけど、意外と全然違うこと言うじゃないですか?

池内:そうですね。

柴田:我々は。そこがいいなっていう。

池内:そうですね。やっぱみんな、そのバランス感覚がいいなって思いますね。
ここは黙ってちゃだめだなって時は割と言うし、ここはそれに合わせた方がいいんだなっていう時には合わせるし、とか、今じゃないんだなって時もあるじゃないですか?

柴田:ありますね。

池内:今、これを通さない方がいいんだな、とか。そういうのも割とバランス感覚がいい人たちが揃ってるんじゃないかなと思っていて。
だから成立してるって言うのもあるんですけど、僕はやっぱりシステムがちゃんとしてるからなのがすごく大きいと思う。安心してそのシステムに投げられる、身体が。

柴田:あると思います。

池内:っていうのはすごくある。でもやっぱり、今言った通り、けっこう一年間の間でも、かなりブラッシュアップされた状態での今なので。

柴田:そんな気がします。

池内:言っても一年なんでね、まだ。

柴田:そうですね。

池内:けっこう濃い、というか大変な一年だったと思うんですけど「あ、こんな角度で問題降りかかってくるんだ」みたいなことは当然ありますし「あ、これは予想してたのにさらに上回るな」みたいなのもあるし「あ、これはここで経験できてたことだから割と対応して潰せてるな」みたいなのも結構あるなと思うので。
一年間できた事とできない事って、ちゃんとしっかりありますけど、もう 一年やるとまたちょっと全然違う形でいいものが多分積み重なっていくって。
これはシステムがちゃんとさらに構築された時に割と安定して、他のそういう興味がある団体のとこにシェアしていけるんじゃないかな、とかっていうのは最近思います、ハイ。

良い物を創ってるのに届いてないのがすごい悔しくて(柴田)

好奇心をもって足を運べば何かしら面白いものと出会えてくっていうような団体になっていくといいなと思う(池内)


柴田
:それで言うと、この一年で風くん的に、この一年じゃ出来なかったというか、達成できなかったけど、やりたい、やりたいというか…なんかありますか?若干ぶつかったけど、次の一年ではどうにかしたい事とか。

池内:えーっと、この一年間は特にその、今言ったルール創りと、それをちゃんと体に、お互いみんなで馴染ませ、共有し合うことが結構時間としては多かったと思うんですよ。
なので、これ以降入ってくる方もそれなりにそれに慣れる時間はあるにせよ、この一年間っていうのは大変だったと思うんですよ、皆さん。
いい所もあるけど、あんまりしない創作スタイルなので結構大変だったんじゃないかなと思うんですけど、ある程度安定してきたというか、やることが決まってきてるので、なんか僕はこの次の一年間は、より自分たちが売れるとか、自分たちが次のステップに、目的としている場所があるはずなので、そこに向かっての時間をちゃんとどれだけ確保できるようなものを創れるかっていうのが大切。
いかに本気で次のステップに行こうと思えるかっていう環境をちゃんと創れるかと、その時間を作れるか、そういうコミュニケーションを取れるかっていうのが、多分この一年間ですごく大切なんじゃないかなと思います。
なんか、二年間で成果を出さなきゃいけないとは思ってないんですけど、でもこの二年間、ある程度ちゃんと居たんだから、ちゃんと何かが積み重なってできてることが増えてないと、果たして居た意味あんのかっていうふうなとこに、仲がいいだけで居る意味があるのかっていうところに立ち返っちゃうと、その二年間を無駄にさせるので、そうであってはいけないなと思うからそういう環境を整えたいと思っています。

柴田:それで言うと私はavenir’e に入って、今まであんま…言い方ちょっと違うかもですけど「売れたい」って思ったことがあんまなかったんですけど。
そのいわゆる「売れたい」っていうのが、例えばテレビに出るとか大きい舞台に出る、みたいな気持ちがあんまりなくて、面白い作品だったらどんな媒体でも出たいけど、それがなんか必ずしも大きいものではない、みたいな気持ちがあったんですけど。
avenir’eに入って、やっぱりavenir’eは結構長い期間やるから、お客さんの、言うても三日間で何十人とかじゃないから、結構お客さんの集客率も必要ってなった時に「売れてたらいっぱいなのに」とか「もし私が、めちゃくちゃインフルエンサーだったらこの公演全部埋まるのかな?」とか思うようになったんですよ。
それは良い物を創ってるのに届いてないのがすごい悔しくて。それは文学座の方もそうなんですけど「これめっちゃおもろいのになんでだろう」っていうことが結構あったんですよね。今もあるけど。
てなった時に、演技の技術はもちろんだけど、なんかそこはもうずっと頑張るのはもちろんだし、その、一人一人が、関わるとみんなすごく魅力的じゃないですか、うちは。部署関係なく。
だから、別にこう、バズりたいとかそういうわけじゃないし、なんか固定ファンを何千人つけたいとかっていうことともちょっと違うんだけど「やるよ」ってなった時に「あ、面白そうじゃん」っていって来てくれるっていう。
これの、サイクルみたいなのが、すごくいい方向に行けばいいなと思うので、そうですね…。
でも同じです。たぶんみんな思ってることは同じだと思うけど、なんかこう、中だけに収まらない、こう、何かができればいいなこの一年、とは思います。

池内:そう。なんか、僕もじゃあその資本力が高いところが全部面白いかと思うとそうとも思わないですし、小劇場でやってる作品でもめちゃくちゃ面白いものってあったりするじゃないですか。
自分が出たくて面白い作品にちゃんと出れるように、やっぱり生活は豊かであった方がいいと思いますし、僕は多くの人に自分が見られるっていう事が大切だと思うんですよ、やっぱり。
っていうのは生活を豊かにすることと、自分の活動を知ってもらうとかっていうものと、本当に面白い作品っていうのがちゃんとやっぱり守られるべきで、「めっちゃくちゃこれ面白いし、めっちゃくちゃ出たいし、オファーあるのに借金が 200 万あって今無理」みたいなことって悲しいじゃないですか。
大げさに言ったらそういう感じになるので、例えばそれこそギャラリーでやってるけど、この題材めっちゃ面白いなっていった時に、やっぱり出たいし、ギャラ少ないだろうなと思うけど、っていった時にもちゃんと生活も安定しながらやれるっていうためにある場所でも僕はあると思うので。
そういう意味で、資本力があるところのやつに出るって言うのは賛成で、それがめちゃくちゃ面白ければ本当により良いという感じだし、小劇場だとやっぱりその劇場規模自体がやっぱり小さいから、それに沿った演技しかできなくなってきちゃうのが、なんか自分の表現者としての可能性もかなり下げてる気がして。
やっぱり客席数が多い劇場には劇場のやり方とその演技の持ち込み方があるので、それ両方ちゃんと獲得できるってなると、両方行き来できていい作品に関わっていけるんじゃないかなと思うので、それはすごく大切だと思いますね。

柴田:ドラマトゥルクとか脚本チーム「休日の図書館」があって、その人たちも同様だと思います。
例えば、商業の舞台の人が、もしavenir’e の公演を観て「ドラマトゥルク導入してみようか」ってなったら最高だなって思うし、脚本チームはもちろん「面白い」ってなって仕事が来たとかだったらめっちゃ嬉しいし。

池内:ホントそうです。「この人の脚本は見たい」とか同様ですね。

柴田:それがなんか、結構私は並列な気がしてて、どうしてもこう偏っちゃう気がするんですよ。場合によっては俳優が、

池内:俳優だけにそれを求めるとか。

柴田:とか。逆に演出、脚本の人だけとかっていう、結構一点集中みたいのがある気がするんですけど、それがavenir’eは並走な感じがする。

池内:そうですね。

柴田:から、そこがいいところだし、売っていきたいところだなと思いますね。
だからそれでいうと、avenir’eの公演見に来てスカウト…スカウトっていうか「次、この仕事やらない?」みたいなのが増えたらいいですよね、みんな。

池内:あぁ、そうですね。

柴田:それはすごい嬉しいなあと思います。

池内:そう、だからなんか、今年は…多分今年一年でまだ残る人もいれば一回出るっていう人もたぶん分かれるはずなので、出るっていう人にもいい状態で渡せるように、公演ごとにちょっといろいろ計画をしているんですけど、良い、この…

柴田:後押し?

池内:後押しができるといいなとは思いますね。それは公演通して、活動を通してっていう感じですね。

柴田:だし、なんか、お客さんのことでいうと…何ていうのかな?「avenir’eだったら観に行くっしょ」になればいいなって思うというか。

池内:団体自体も、ですね。

柴田:「また全然違う感じじゃん」みたいな「あ、じゃあ行ってみようかな」っていう、気軽な場になればいいなと思うし、なんかどんな作風でもハズレがないといいなと思いますね。

池内:そうですね。

柴田:それは風くんが飯田さんでちょっとこう、不自由になってる、この、狭まるとはちょっと違う、

池内:違います。

柴田:違う…なんて言うんですかね?

池内:むしろ多ジャンルな面白さが、そのジャンルが突き抜けてちゃんと面白いっていう状態が一番理想ですね。
「この団体次何やってくんのかな?」って好奇心をもって足を運べば何かしら面白いものと出会えてくっていうような団体になっていくといいなと思いますね。

柴田:だし「全然ハマらなかったわ」でもいいんですけど、なんかそれでも「継続してちょっと見守りたいわ」って思ってもらえるような団体でありたいし、なんかそれは周知させたいなと思います。
っていう感じですかね?何かありますか?なんか、最後にあれば。

池内:最後に何かあれば?

柴田:別に無くてもいいんですけど。

二人:(笑)

池内:最後に何かあれば…。

柴田:あっという間でしたね、でも。

池内:あっという間でしたね。最後に何かあれば…。

柴田:私たち割と真剣に話した方です。

池内:これ?

柴田:うん(笑)

池内:(見守っているメンバーへ)チョケたのか?

柴田:真剣ってわけじゃないですけど(笑)

池内:チョケたのかあ?

柴田:いやチョケてはないけど(笑)

池内:(笑い)

柴田:あの、なんかすごい、

池内:真面目。

柴田:真面目かもしれない。

池内:真面目、ああ、真面目。

柴田:真面目な回があっても良いんじゃないかっていう。

池内:良いと思いますね。

柴田:ハイ。

池内:最後になんか…。

柴田:あ、じゃあ、avenir’eの強み(笑)

池内:強み。

柴田:強みを一言で言うと?私も考えよ。

池内:avenir’eの強み?

柴田:アピールポイント。他と違うアピールポイント。

池内:アピールポイント?

柴田:これがね、考えてもなかなか言葉にできなくて。

池内:あ、いやでも、やりたいことがあればすぐに試せるっていうことだと思います。

柴田:ああ、それは確かに。

池内:やりたいことがあればっていうことですね。企画持ち込んでくれれば公演だって打とうとできるし、打てるかどうか最後はわかんないけど、打とうとできるし。
やりたいって思うやつは基本相談に乗って、みんなで話し合って考えて「あ、じゃあこうか」みたいなことができる場所だし、人もいるしっていう感じですね。はい。

柴田:私は、まだ、そうなれてる部分となれてない部分があると思うけど、結構どの作品観ても、人間の本能みたいなものに、こう、ちょっとぶすっと刺さる作品であるって事は…。
まあ、でもいい作品は全部そうだと思うんですけど、そのストライクゾーンが結構広いよっていうのは、なんかこうお客さんに言いたいかもしれぬ、というか。
「いやいや他の劇団もそうだろ」とかって言われたらそうなんですけどって感じだけど。

池内:少なくとも、でもそういうものを、しがらみなく挑戦している団体ではありますよね。

柴田:ああ、そうですね。そこ、そうっすね。それです(笑)

池内:それはあると思いますね。

柴田:そこのなんか過程…この、本番までの過程にお客さんが不安を持たない団体ではあると思います。

池内:はい。そうですね。

柴田:それは強みです。

池内:うんうん。

柴田:です。以上です(笑)

池内:本日は、

柴田:ありがとうございました。

池内:ありがとうございました。

左:池内風(いけうち ふう)
かわいいコンビニ店員飯田さん 所属
1985年生まれ 静岡県出身
柔道整復師免許 取得
ENBUゼミナール11福原クラス卒。
卒業後かわいいコンビニ店員飯田さんを旗揚げ。以降本公演全て脚本演出を担当。

右:柴田美波(しばた みなみ)
文学座 所属
1994年2月28日生まれ 神奈川県出身
特技:インラインスケート
桐朋学園芸術短期大学演劇専攻卒業。
その後、文学座附属演劇研究所に入所。2019年座員に昇格し、現在に至る。

編集、録音/斉藤沙紀
構成/柴田美波
撮影/江藤みなみ、斉藤沙紀、髙橋龍児、谷川大吾

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