阿佐ヶ谷にカウンター、失敗
私は中央線に乗ったことがない。というか、できるだけ避けて生きてきた。何故なら、中央線に"如何にも"だという偏見を持っているからだ。勝手にサブカルチャー、カルチャー好き、カウンターカルチャーの詰まった線であるという偏見を持っている。私は音楽、映画、芸術、カルチャーとして括られるものは好きだが、サブカルチャーが好きなわけではなく、サブカル好きと言われるのがマジで嫌いだ。
たしかに、カウンターは好きだが、それはカウンターが好きなだけで、どちらかというと構造や立ち位置の話。つまりどの規模の文化圏においても、カウンターを発生させたくて仕方ない私は、サブカルチャーがマジョリティになる街に対してはサブカルチャーにカウンターしたくなる。
そう、カルチャー好きとかではないのだ。カウンターしたい病。カウンターラバー。そういった意味ではカルチャーを過小評価しているのかもしれない。
カウンターカルチャーに対してもカウンターでありたいそんな私は、阿佐ヶ谷に行く予定ができた。少々抵抗はあったが、阿佐ヶ谷にカウンターしてやる!!!と意気込む。
ちなみに私は60年代70年代カルチャーが好きで、阿佐ヶ谷に対してサブカルの偏見を持っている。これ以上何も補足はする必要はない。
そう、結局偏見が先行して全然阿佐ヶ谷のことは知らないのだが、とにかく現在のメインストリームにない文化が蔓延っていることを予想し、それに対抗する音楽を街中で聴くことで阿佐ヶ谷にカウンターしてやろうと決意した。
作戦① テイラースウィフト、プレイリスト聴き
音楽好きというのはな、音楽好きというのはな、アルバム聴きを強制してくるのだ。※この偏見まみれの音楽好きネタは自虐なので、笑えないなら今すぐ見るのをやめてくれ。
そして、テイラースウィフトはもう世界的に愛されているので、テイラースウィフトのプレイリスト聴きをすることで、メイン✖️メインで阿佐ヶ谷に対抗できると考えた。
よし、再生
「テイラー•スウィフト人気曲」
老害の音楽好きが文句を言いそうなプレイリストで実に良い。
……
いや、普通に良すぎる。そもそもテイラーは今こうなっているけど、カントリーミュージック時代から推してる私としては、この音楽をマスでサブカルチャーと対立したものとしてだけの評価に留めるのは非常にバカだ。
作戦①、失敗😞
作戦②日本トップ50
これはいける、何故なら、今日におけるトップ50など、TikTokとか?リール?でサビしか評価されていない曲とかが詰め込まれてることが多いからだ。へっへーーーーん。これで阿佐ヶ谷にカウンターしてやるさ〜
わ!!一曲目から、リールで人々が踊ってる曲が流れてきたぞ!!!!!
……
普通にいいな。てかCreepy Nuts、好きだしな。2017年のサマソニで見て、MCの童貞ネタがつまらなすぎて幻滅したのは今でも覚えている。
Creepy NutsがHIPHOPか否か論争もあり、勿論そういう論争はあってもいいと思う。私個人の意見としては、否定派に対しては、HIPHOPというジャンルをアンダーグラウンドの"特権"にしてしまう構造、"結局マスと同じことをしている感"を思い、肯定派には自分達の築き上げたカウンターを"盗用されるの嫌悪感"みたいなどちらも感じて、どっちにも反論できる。カウンター精神が強いから。というかこれはカウンターではない、ただ単に屁理屈が好き。正直どっちでもいい。誰かにとってジャンルは大事なものだと思うが、私にとってはジャンルはそこまで大事ではない。まあ、ジャンルを確定してしまうこと自体、音楽の可能性に制限を設けてるようにも思えるが、ジャンルを確立させることで歴史的なものが可視化されるので、悪いことでもない。
あはは。気持ちよく話が脱線した。えへへ。
まあ結局、このプレイリストじゃ阿佐ヶ谷にカウンターできなかった。再生してもカウンターカルチャーとメインストリームについて考えて、日本でたくさん再生されているってだけで、その作品を阿佐ヶ谷に対抗させるのは間違っていると、強く思ったのだ。
作戦②、失敗
作戦③イビザ音楽
イビザ音楽をご存知か。これといった一般的なジャンルではないわけではないんだけど、いや歴史的でもあるのでイビザというキーワード自体はアツい。イビザ音楽で通じることは多い。イビザってスペインの島なんだけど、地中海にあるクラブが多いブチアゲの島。パーティーアイランドとか言われちゃっているらしい。気になる人は検索してみてね。バレアリックも、一つのキーワードとして挙げておきたい。とにかくダンスミュージック。そういう文化の聖地的な。で、こんなブチアゲちゃったら阿佐ヶ谷にカウンターできると思ったんだよ。
で、イビザ音楽のプレイリストを再生。
いやーー、単純に構造としてのカウンターとか、もうやめようぜ自分。街に合わなすぎる。イビザにも失礼だし、阿佐ヶ谷にも失礼だよ。阿佐ヶ谷のこと、別に偏見で嫌がってただけだし、私が勝手に思い描いていた阿佐ヶ谷って嘘だったじゃん。全然良い街じゃん。何をしてるんだい。流石にイビザ音楽が合わなすぎて嫌な気持ちになった。
実際全く接点がないわけではないと思う。80年代以降の音楽ではあるが、阿佐ヶ谷自体、文化価値が70年代で止まっているわけではないし、おそらくイビザにインスピレーションされた音楽も生産されているのであろう。
つまり
作戦③失敗
あ〜あ、何聴こうかな、
2年前に阿佐ヶ谷ロマンティクスの「大人幻想」、渋谷で初めて聴いて良かったのは覚えている。
あれ!!!新譜でてるじゃん!!!
しっくりくる、良い新譜。街にもピッタリ。
阿佐ヶ谷、好きになっちゃうな〜。意味のない構造だけのカウンターなんてやめちまおっと。
カネコアヤノ氏がバイトしていた喫茶店とか、変わったあとのyaesuブックセンターとか、スターロードとか、商店街とか、サブの典型すぎてメタな視点が働いてしまい、嫌悪は生じる。しかし、一緒に時間を過ごした人が素敵人間で、その人のおかげで素敵な時間を体験してしまった。くだらないメタは捨てちまっていいね。
カルチャーをファッションにしたくないから、典型的な楽しみに対して嫌悪していたのだが、結局、本質を見失って、私がカルチャーをファッションにしていたみたいだ。
あ〜あ、人と同じことして生きるの、嫌だな〜〜〜、この考え自体が大衆的でスタンダード。私はカウンターに囚われているだけで、中身がないので、何者にもなれません。今回だって時を過ごした人間によって楽しめてしまったし、人間の作り上げてきた空間で試行錯誤していたので、結局全てひっくるめてヒューマニズムが着地点なのかもしれん。
はぁ〜チクショー、素敵な街だった。
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